さてさて……友人Kの黄色いスーパーコルサに、すっかり魅せられてしまったわたくし。。。
清泉寮で食事をとり、ひと登りで、今回のコースの最標高地点であります東沢大橋に到達したのでございます。
この橋は、八ヶ岳の最高峰・赤岳の山服から流れ出る川俣川東沢にかかる橋でございまして、通称、赤い橋と呼ばれておりまする。
この真っ赤な橋を、真っ黄色なスーパーコルサが駆け抜けてゆく様を、想像なさってくださいませ~。
ええと……いちおう、友人Kが走っているところも撮影したのですが、豆粒みたいに小さくて、イマイチだったので、とりあえず、↓空絵でお許しください。
ああ! こんなことなら、一眼レフのカメラと、望遠レンズを持ってくるのでしたわ!
後悔先に立たずでございます。
……で、東沢大橋を過ぎたところで、わたくしの理性はついにブチ切れたのでございました。
あろうことか、このすばらしい黄色のスーパーコルサに、「ちょっとだけ乗らせてちょうだい」という、常人ならありえない図々しいお願いをしたのでございます。
ああ、みなさま。。。先だっての、ヤビツ峠での「1本しかないチューブ恵んでちょうだい」事件といい、今回の「ちょっとだけ乗らせてちょうだい」の一件といい、わたくしのことを、さぞや、厚顔無恥な、ふてぶてしくも図々しいオバッチョだとお思いのことでしょう。。。
ですが、みなさま。。。わたくしは、スタート地点の道の駅こぶちさわから、最高地点の東沢大橋まで、この美しいスーパーコルサの後ろをヨダレまみれになりつつ、走って参ったのでございますよ。
その間、灼熱の太陽かと見まごうばかりのシャイニングな真っ黄色のフレームと、プラチナの輝きを放つメッキ加工のシートステイ&チェーンステイを、凝視しつづけて参ったのでございますから!
いかにわたくしが、地図屋という職業がら、マゾヒスティックな性質を擁しているとは申しましても、もう、我慢の限界でございます。
いいえ、Mだからこそ、いったん忍従の臨界点を越えると、抑えがたい欲望が理性の壁を突き破ってしまうのでございます。
ああ、CAAD9少佐というお方がありながら……背徳の炎に焼かれつつも、わたくしの心は、もはや黄色いスーパーコルサに支配されてしまったのでした。
「ちょっとだけ、乗らせてちょうだいね。(答えはきいてない)」と言うがはやいか、CAAD9少佐のハンドルを友人Kに押し付けて、自分はホイホイとスーパーコルサに跨るやいなや、あっという間に八ヶ岳高原の中を走り出したのでございました。
すぐ後ろで、友人Kが何か叫んでおりましたが、わたくしの耳には届きません。。。(これが、後に悲劇を生むのでございますが……)
ああ、なんという夢のような乗り心地でございましょう。。。
路面を捕らえる重厚感、そして、安定感……
そして、あこがれのエルゴパワーの握り心地は夢のよう。。。細身のラバーが手にしっくりとなじんで、レバーに指がかかりやすいのです~。
おそるおそるシフトチェンジしてみますと、思っていた以上に軽い!
「こ、、、これが、カンパニョーロのエルゴパワーなのか。。。からめらさまがおっしゃっていた、夢のように軽いレバーとは、このことなのか……」
もう、カルチャーショックでございますよ。
いえ、けして、シマノがよくないということではございませんの。
こればかりは、好みの問題かと思いますけれど、わたくしが感じたアテナの感触というのは、スルスルしている……というのでしょうか、ひっかかりがない……というのでしょうか。。。
よくいえば、スムーズ。わるく言えば、曖昧?(汗)
わたくしのCAAD9少佐のSTIは105なのでございますけれど、105の場合はシフトチェンジ1回ごとに、カシャン、カシャン……と、確実にシフトが変わった実感があります。
けれど、このカンパのアテナにおきましては、ふにゃり……という感じで、スルスルとシフトしてしまうので、気が付いたらギアが軽くなっている(あるいは、重くなっている)という感じなのです。
自転車の善し悪しについて論評できるほどの知識と経験がないので、なんともわかりませんが、確実に申し上げられることは、シマノで組んであるCAAD9少佐と、カンパ仕様のスーパーコルサとは、ロードバイクというカテゴリこそ同じであっても、まったく違いすぎるほど違う自転車である、ということでございます。
そして、さすがは上質なスチールのフレームだけあって、路面からの衝撃吸収が極上なのでした。
フルアルミのCAAD9少佐は、路面の凹凸をダイレクトに伝えるので、軽妙な一方、荒れた路面では、ポンポンと跳ねるような衝撃が襲ってまいります。
けれど、スチール製のスーパーコルサにおきましては、わたくしのような未熟なものにでさえ、衝撃をフレームが吸収してくれている感じがはっきりと実感できるのでございます。
その感じは、うまく言葉にできないのですが……路面の情報は正確に体に伝わるのに、アタリがやさしい……という、なんとも、よい意味で矛盾した乗り心地なのです。
CAAD9少佐の場合は、衝撃がくるごとに跳ねるので、かえって路面情報が断片的になり、心もとない感じがあるのです。
たとえば、ちょっと舗装状態のよくない下り坂で、スピードを出した場合……CAAD9少佐は、バイクを力で押さえ込まないと反動でバタついてしまうのですが……スーパーコルサの場合は、ビシッと安定した状態で走ることができるという感じです。
ただし、登り坂で、力まかせに踏み込む場合は、CAAD9少佐に分があるようでございました。
CAAD9少佐は、踏んだぶんだけヒラリと前へ進む印象がありますが、スーパーコルサでは、若干、遅れを感じるのです。
ああ、何もわからない素人の分際で、生意気を言って申し訳ございません~。
あくまで、素人が感じた印象のお話ですので、聞き流してくださいませ~(汗)
それでも、このスーパーコルサは、カンパのシャマルという高性能な軽量ホイールがついているので、クロモリとしては、相当、軽くて、グイグイ進むほうなのだと思います~。
でも、CAAD9少佐にも、少しは花を持たせてくださいませ。。。せめて、急な登り坂は、CAAD9少佐に軍配を上げてくださいませな。。。
ところで、CAAD9少佐を押し付けられた友人Kは、どうしたのでございましょう?
後ろを振り返っても、どこにも友人Kの姿が見えません。
わたくしはさすがに気がとがめて、待避所にいったん停止して、友人Kが追いついてくるのを待ったのでございます。
しばらくしてから、CAAD9少佐に乗った友人Kがものすごいスピードで下ってまいりました。
わたくしは、ここでスーパーコルサを返そうと思って、手を振ったのですが……
友人Kはわたくしにまったく気が付かず、ものすごいスピードでカーブを曲がり、そのまま先へと下っていってしまうではありませんか!
わたくしはびっくりして、再びスーパーコルサで後を追ったのでございましたが……ほんの数秒の遅れとは思うのですけれど、おそらく時速60kmくらいのスピードが出ていたと思われるため、友人Kの乗るCAAD9少佐はみるみる遠くへ走り去ってしまうのでした。
たぶん、友人Kは、わたくしを追い抜いてしまったことに気が付かず、わたくしに追いつこうとして急いでいたのだと思います~。
こうなるともう、わたくしは友人Kに追いつくことはかないません。
どこかで友人Kがわたくしを追い抜いたことに気が付いて、停止してくれることを祈るしかないのでございました~。
しかし、わたくしにとってこのことは、不幸中の幸い……
なぜなら、この先もしばらく、このすばらしい黄色のスーパーコルサに乗っていられるということだからでございます~。
東沢大橋から先は、八ヶ岳南麓の巨大な斜面をトラバースする最高に気持ちのよい道なのですから、このようなすばらしい道を、スーパーコルサで走れるなんて、まさしく夢のようなのでございます~。
そしてその後も、わたくしは友人Kに追いつくことはなく……ゴールの道の駅まで、すべての下り坂を、スーパーコルサ独り占めで、走りきってしまったのでした。
道の駅にたどり着いたとき、駐車場でCAAD9少佐と共にたたずむ友人Kを発見したときは、さすがのわたくしも、罪悪感にさいなまれましたわ~。
なぜって、今回のコースのいちばんオイシイところを、わたくしが全部、味わい尽くしてしまったのでございますもの~。
後で、事のなりゆきをききましたら……
わたくしがスーパーコルサで走り出した直後、CAAD9少佐のツール缶のフタがなぜか、突然はずれてしまったそうなのです。
それで友人Kは、あわててわたくしに「待って!」と叫んだそうなのですが、スーパーコルサに乗って舞い上がっていたわたくしは、友人Kの叫びを無視して、どんどん先へ下っていってしまったそうなのです。
そして、ツール缶のフタを閉めなおした後、友人Kは、一刻もはやくわたくしに追いつこうと、暴れるCAAD9少佐を必死に操って、猛スピードで走ったあまり、うっかりわたくしを追い抜いてしまった……ということなのでした。
ああ、友人Kが、苦労の末にようやく手に入れたスーパーコルサの初乗り記念日を、わたくしは、かくもグダグダにしてしまったのでございました。。。
あいかわらず、迷惑千万なわたくしでございます。
こうして、わたくしは、クロモリ・ロードバイクというもののすばらしさを、チネリのスーパーコルサで体感したのでございました。
そして、同時に、カンパニョーロのコンポーネントの味までも、うっかり、知ってしまったのでありました。
(合掌)