乗鞍岳への自転車道

40歳で突如、自転車乗りになろうと発心して早15年。CAAD9少佐と畳平へ駆け上がる日はくるのでしょうか。。。(汗)

城山→小下沢→小仏→大垂水

2006年08月29日 | トレーニング

今日の東京地方は、暑かったですね~。

いえ、、、その、、、わたくしの住む八王子の場合、

東京の基準値にしていいのかどうか判断に迷いますが。。。

     *     *     *

昨日は、初秋のような爽やかな空気のなか、小仏峠の往復を

遂行したわたくしでした。

もちろん、下りの途中では、珈琲専門店・ふじだな で、

おいしいアイスコーヒーをいただきました。

そして本日。

灼熱の太陽が照りつける、残暑の本日。

仕事もそこそこに、わたくしは、またも小仏峠方面へ向かいました。

なぜ、今日にかぎって、「方面」か、、、

それは、今日は、途中から道を分けて、城山の山頂に続く林道を上ってみようと

たくらんでいたからです。

Photo_13

いつものように、西浅川の信号のところで20号を左折して、

小仏方面への都道へ入ります。

アップダウンを繰り返しつつも、少しずつ標高を上げていき、

珈琲専門店・ふじだな の前を通過。

ふじだなの先、きつい右カーブを曲がる途中あたりに、

城山へ向かう登山道の分岐点があるのです。

わたくしは勇敢にも、この道へとルートをとったのです。

もうまったく、、、勇敢というか、無謀でした。。。

この道は、車道ではなくて、林道、、、それも、限りなく登山道に近い

林道でした。

もちろんダートです。

山道なので、とがった岩がゴロゴロしています。

出合から100mくらいの地点で、すでにわたくしは後悔していました。

斜度はきついし、道は荒れています。

さらに致命的なことに、わたくしのMTBのタイヤは、スリックでした。

ものすごくゆっくりなら、なんとか上れる坂なのですが、

下りのことを考えると不安になります。

しかたなく、途中で向きをかえ、今来た道を分岐まで

戻ることにしました。

しかし! 恐れていた通りのことが!

スリックタイヤは、ものすごく滑ります。

ブレーキを握っていても、ザザーっと横滑り。

しかも、わたくしのMTBはフルサスではありません。

ハードテールなのでございます。

おまけにスリックタイヤです。

わたくしは顔面蒼白。

ドカッ、バキッ、ズササーッ、ボコッ、ベキベキ、、、

もう、何の音なのか、どこの音なのかもわかりませんが、

とにかく、大変なことになっております。

ですが、さっきの都道との分岐まで戻らないことには、

どうしようもありません。

わたくしは、悲鳴を上げるMTBをなだめすかしながら、

なんとかデコボコの山道を降りました。

     *     *     *

自転車をチェックすると、とくにどこも壊れた箇所はないようです。

ほっとします。

えらいぞ! GT! よくやった!

GTが意外にも丈夫なのに気をよくして、わたくしは、またも

よからぬことを考え付きました。

今度は、北高尾山稜の関場峠に続く、小下沢林道を登ってみようと

思ったのです。

Photo_14

しかし!これがまた!

ほんの少し坂を登って、中央高速道路の下をくぐったとたんに、

またダートです~(泣)

林道だから、未舗装なのは当然なのかもしれませんが、

けっこう細い道になります。

すぐ左側に、小下沢が流れ、なかなか雰囲気のよい道ではあるのです。

しかし、登山者ひとり見当たりません。

林道は、山に向かって、どこまでも続いていきます。

わたくしは、怖くなってきました。

(こんなところで、もしも、、、もしも、、、変質者の人とかに

出くわしたら、どうしよう!)

こんな山奥の林道には、変質者の人もいないと思いますが、

しかし、、、万が一ということもあります。

道はどんどん山の奥へと続き、わたくしもどんどん進んでしまいます。

すると、前方に、小さな人影が!

成人男性です。

最初は、登山者かと思いました。ところが、ザックを背負っていません。

ザックがないどころか、手ぶらなのです。

わたくしの恐怖は頂点に達しました。

(こんな山奥の林道に、手ぶらの人が歩いているなんて。。。

もしかして、あの人は、変質者の人なんじゃないか。

そのターゲットは、この道に入ってくる女性ハイカー

なのではないか。。。)

もう、ダメです。

わたくしは、高速回転で自転車の向きを180度かえて、

必死にペダルをこいで逃げました。

ダートとはいえ、下り坂ですから多少スピードは出ます。

(でも、もしかして、変質者の人が元・陸上部の選手だったら

追いつかれてしまうかもしれない)

人間、逃げているときには、ありえないことを連想してしまうものです。

わたくしは必死にペダルをこぎました。

しばらく進んで、後ろを振り返ると、追ってくる様子はありません。

(あー、よかった。あの人は、変質者の人じゃなかったんだわ。

きっと、林道を散歩していただけなんだわ。。。

疑ったりして、申し訳ありません。。。)

わたくしはようやく落ち着きを取り戻しました。

そして、ふと、足元を見ると、、、、

自転車も、自分の足も、ドロだらけです。

そういえば、林道にはいくつもの沢が流れ込んでいて、

あちこちに小さな小川ができていたのでした。

逃げるのに必死で、メチャクチャに走ってきたものですから、

ドロを跳ね上げて、こんなに汚れてしまったのです。

しかしまあ、、、汚れるくらい、どうということもありません。

変質者の人に出くわすことに、くらべれば。。。

わたくしは、気を取り直して、都道の分岐へと急ぎました。

     *     *     *

小仏峠への都道は、通いなれたいつもの道です。

このときも、特に大バテするということもなく、峠に到達いたしました。

来た道を、いっきに下ります。

いつも思うことですが、登るときには時間も体力もとられる坂道ですが

下るのは一瞬でございます。

今日も、あっという間に、国道20号の分岐まで下ってしまいました。

この交差点には、ちょうどいい具合にコンビニがあります。

今日は、たくさん走ってボトルの水もなくなってしまいましたので、

750ccのスポーツドリンクを買いました。

半分はその場で飲んで、残った分は、ボトルに入れたわけですが、、、

ここで、また、わたくしのよからぬ考えが、、、

(あとは家に戻るだけなのに、ボトルいっぱいのスポーツドリンク、、、

もったいないなぁ。。。大垂水峠でも往復しようかしら。。。)

私の両脚が、(やめなさい、よしなさい)と言っています。

ですが、城山と小下沢のダート道を走ったわたくしとしては、

きれいに舗装された国道20号の峠など、

どうということもないと思えてしまったのでございます。

とにかく、ゆっくり往復することにしました。

大垂水峠への傾斜は、小仏峠にくらべれば、距離が長い分、

ずっと楽なのです。

そうです。。。大垂水峠は、距離が長いのです。

太陽が照りかえす、午後1時、、、

暑いです。暑すぎです。

それでも、いつかは着くだろうという、たるんだ気持ちで

ペダルをこいでおりました。

すると、その時、、、

シャーッという音と同時に、ハヤブサのような勢いで、

わたくしを抜き去っていく、1台のロードレーサー。

速いです! 腰を高々と持ち上げて、ダンシングで登ってゆきます。

(かっこいい~!)

わたくしは、ヨタヨタとペダルをこぎながら、

心の中で拍手喝采を贈りました。

ん? あのジャージ、、、

あのオレンジベースの、ハデハデなジャージ。。。

どこかで見たことあるぞ。

どこだっけ?

わたくしの海馬くんがめずらしく稼動します。

(あ!ショップAのチームジャージ!)

そうです! そのロードレーサーの人が着ていたジャージは、

バンビちゃんのいるショップAのチームジャージだったのです。

(じゃ、じゃ、もしかして、さっきの人は、バンビちゃん?)

わたくしは、バタバタとペダルをこいで、なんとかスピードを

上げようとあがきますが、オレンジジャージの若者は、

どんどん小さくなっていきます。

(うむ~。。。バンビちゃんだろうか。。。。)

追跡を諦めつつも、わたくしは、しつこく考え続けました。

後ろ姿だけでは、識別できるわけもないのでした。。。

それに、あのショップには、わたくしが知っているだけでも

4人の店員様がいらっしゃいます。

その誰もが、自転車乗り特有の痩せ型の若者です。

さっきの人が、どの店員様であってもおかしくありません。

それにしても、ショップAのバンビちゃんや、ボクちゃんたちが、

大垂水峠なんかに、自転車に乗りに来るでしょうか?

謎は深まるばかりです。

そうこうしているうちに、ようやくわたくしも峠に到着です。

これだけ走れば、満足です。

わたくしは、大垂水峠から高尾方面へと引き返し、

無事、家へと戻ったのでした。

総走行距離は、33.6kmでした。

山道だと、意外と距離が伸びないモンですね。。。

Ws000000


クランクセット・バトル、第三の道

2006年08月28日 | 自転車

(前回、前々回のつづき)

CAAD9のクランクセットの選択について、

バンビちゃんとの対決を決意したわたくしは、こぶしを握り締めて、

ショップAを訪れました。

今日こそは、クランクセットをトリプルにしてもらうように宣言するつもりでした。

(わたくしの自転車なのよ、わたくしのすきなようにさせていただくわ!)

バンビちゃんの潤んだ瞳に負かされないよう、

わたくしはさまざまに理論武装していました。

『サイクルスポーツ』を読みました。

『FunRide』も読みました。

『自転車人』も読みました。

そして、今日はバンビちゃんの目を見ないで話せるようにと、

近視のメガネもはずして、裸眼でお店を訪問です。

少し体が震えていましたが、武者ぶるいだと自分に言い聞かせて

入口のドアを開けました。

すると、、、

見知らぬお顔の店員様が、「いらっしゃいませ」と声をかけてくださいます。

なにやら、威風堂々たる雰囲気です。これは、、、ただものではありません。

わたくしがあっけにとられていると、

カウンターの奥からバンビちゃんが顔をのぞかせ、

さわやかな笑顔で「こんにちは」と、ご挨拶です。

クラリ、、、ああ、、、 もう負けそうです!

わたくしは混乱する頭の中で必死に状況を整理しました。

(うむ。つまり。。。今日の店員様のペアは、

バンビちゃんと、この威風堂々たるお兄さんなのだ。

勝気なボクちゃんと、仔鹿のボクちゃんは今日はお休みなのだ。)

ちなみに、威風堂々たるお兄さんは、ある意味、勝気なボクちゃんの系列です。

つまり、勝気なボクちゃんの兄貴分が、威風堂々お兄さん、

仔鹿のボクちゃんの兄貴分が、バンビちゃん、、、という

タテ割の構造が、見て取れるのでした。

あくまで雰囲気の問題ですが、、、

Photo_12   

事態を把握したところで、気を取り直し、さっそくクランクセットのことを切り出します。

すると、わたくしの愚にもつかない話に耳をかたむけてくださっていた

威風堂々としたお兄さんが、ズバリひと言、

「オススメは、コンパクトですね」、、、と。

ひょへー! 今度は、コンパクトですか?

ダブルでもトリプルでもなく、お次はコンパクトですか?(汗)

ダブルとトリプルのセレクトについては、

これでもかというくらい理論武装してきたわたくしでしたが、

コンパクトのことは、ノーチェックでした。

動揺を隠し切れません。

早くも、負けそうです。

     *     *     *     *

来店直後から狼狽し、脂汗をかいているわたくしを尻目に、

バンビちゃんは、相変わらず

「ふつうのダブルで大丈夫ですよ」を、連発します。

わたくしは内心、(なぜだー! なぜなんだー! 根拠を述べよ!)と雄叫びつつ、

現実には一言も発せず、ただただ、バンビちゃんの愛くるしい笑顔に

見とれるばかり。

一方、威風堂々のお兄さんは、しきりにコンパクトを勧めます。

「無理することはないですよ。コンパクトにすれば、すべて解決します。」

(甘く、危険な言葉。。。もう、苦しまなくてもいんですか?)

その理由として、ご説明してくださったのは、

最初にコンパクトをつけておけば、万一、途中でふつうのダブルに

戻したくなった場合、最小限の部品交換で済むというのです。

しかし、もし初めにふつうのダブルをつけておいて、後からコンパクトに

しようと思うと、フロントディレイラーなど、交換しなくてはならないパーツが

多くなってしまう、、、と。

それは当然、お金もかかるということでありまして、

貧乏なわたくしには、負担が大きいわけでございます。

ということから、クランクセットに関しては、「小は大を兼ねる」というのが

セオリーだというご説明です。

なんという説得力のあるお言葉でしょう。

ちなみに、この威風堂々たるお兄さんに対して、バンビちゃんは常に敬語で

話かけていましたので、おそらくこのお兄さんはバンビちゃんの上司なのだと

推測できます。

その上司の人が、コンパクトを勧めているのですから、

バンビちゃんも、今日はちょっと寛容です。

コンパクトなら、いいかなぁ~みたいな、ゆるい方向に話が進み、

結局、わたくしはコンパクトにしていただくようお願いして、

この問題には決着がつきました。

わたくし自身、コンパクトというセレクトは、想定外だったのですが、

しかしまあ、34/50(コンパクト)ならば、39/52(ふつうのダブル)よりは、

多少、ギアが軽い印象になるでしょう。

トリプルは 30/39/50 だったので、最後まで30歯に未練は残りましたが、

バンビちゃんが頑強に、

「30は、しっくりこないですよ。それに、フロント3段は、扱いにくいですよ」と

しきりに豪語するものですから、主体性が欠落しているわたくしは、

すっかりバンビちゃんに感化されてしまったのでした。

しかも、このとき初めて気が付いたのですが、

バンビちゃんは、お客を説得するときには、小首をちょっとかしげて、

いかにも愛らしげな感じで話をします。

ただでさえ純粋無垢なバンビ光線の威力が、これで倍増されるわけです。

たとえ、ド近眼のわたくしが、裸眼で立ち向かったところで、

バンビ光線の威力から逃れることはできません。

最初から、勝負はついていたのでした。

しかし、負けてなお、わたくしは爽やかな気持ちです。

このように気持ちよく負けさせてくださるバンビちゃんは、

やはり日本一の自転車売りだと思うわけです。

                (クランクセット・バトル 完)


ダブルか!トリプルか!カオスだもんね!

2006年08月27日 | 自転車

(前回のつづき)

さてさて、前回、勇気を振り絞って、クランクセットのことについて

バンビちゃんに相談の電話をかけたあげく、

バッサリと返討ちに遭ってしまったわたくしでしたが。。。

バンビちゃんの説明に、なにひとつ納得していなかったわたくしは、

当然のことながら、その後、いっそう悶々とした日々を送るハメになりました。

(バンビちゃんは、ダブルで大丈夫だと言ったけれども、

本当は、トリプルのほうが安全じゃないのか。。。)

自分のヘタレぐあいは、自分が一番よく知っているのです。

しかも、わたくしが目指しているのは、小仏峠じゃありません。

かの、3000m峰、乗鞍岳の畳平なのです。

そんなところへダブルで出かけた日にゃ、麓の三本滝あたりで

とっとと敗退することになるかもしれません。

もちろん、トリプルなら易々と上れる、などとも思ってはおりませんが、

しかし、呼吸が苦しくて、脚が回らなくて、どうにもペダルを踏めなくなったときに、

緊急事態用のおミソ仕様として、三段目があるのとないのとでは、、、

肉体への備えというだけでなく、精神的な部分でもずいぶん安心なのではと、

素人なりに思うわけでございます。

実際、わたくしの胸の中では、トリプルへの依存度が、

どんどん大きくなっていったのでありました。

しかしそのたびに、バンビちゃんの鈴のようなお声が耳元にこだまします。

「トリプルは必要ないでしょう。」

「トリプルは必要ないでしょう。」

「トリプルは必要ないでしょう。」

リフレーンです。

おだやかに、でも、固い意志を秘めたしっかりした口調で

リフレーンしているのです。

そんなときわたくしは、自分の両耳を手でふさぎ、

「ぬぉぉぉぉぉ!」と無意味な砲声をあげてしまうのでした。

     *     *     *     *

バンビちゃんは、わたくしを洗脳し、心情を操作し、

まんまとCAAD9の購入を決めさせた史上最強の店員様です。

10%の割引をしてくれるショップBを蹴ってまで、

わたくしに定価でCAAD9の購入を決意させたのですから、

これはもう、凄腕としか言いようがありません。

それがまた、売る気満々なのとは対極的なアプローチなのです。

欲得に無縁で、もちろん計算高いところもなく、

「ボクはただ、自転車が好きなだけなんです」とでも言いたげな、

ウルウルとした黒眼がちの瞳でうったえてくるのです。

常日頃、欲にまみれた現代社会で生きているわたくしなどは、

これはもう、どうしたって、このお店で買わなくちゃ!という気持ちに

なってしまうのです。

それはすなわち、バンビちゃんの、あの潤んだ瞳に見据えられたら最後、

もう絶対に逆らうことは不可能であるということを意味しています。

わたくしが心の底から、クランクセットをトリプルにしたいと思っていても、

バンビちゃんが「必要ない」と言ったら、そのお達しには従わざるを得ないのです。

わたくしは悩みました。

バンビちゃんに口ごたえなど、許されない行為です。

いっそのこと、別なお店でCAAD8のR800をもう一台注文して

そっちをトリプルにして、こっそり乗っちゃおうかとさえ思いました。

     *     *     *     *

しかし、そこでわたくしはハタと気が付いたのでした。

それは、わたくしが、お客だということです。

バンビちゃんがどんなに可憐だろうと、いじらしかろうと、それはそれ。

わたくしは、バンビちゃんのお客なのです。

それなのに、お客のわたくしが、自分の好きな自転車を買えないなんて、

バンビちゃんの言うとおりクランクをダブルにしなくちゃいけないなんて、

そんなの、何かが間違っているわけなのです。

自分が客だということに気が付いたとたん、わたくしは急に強気になりました。

(なにも怯えることはないんだわ。わたくしは正々堂々と、トリプルを注文する

権利があるんだわ。だってわたくしは客なんですもの。)

目の前の霧が、いっきに晴れていくようです。

わたくしは、ショップAを訪れて、直談判する覚悟を完了いたしました。

(また、つづく)


クランクセットの選択に迷った日々

2006年08月27日 | 自転車

ショップ選びから始まって、ブランドに迷い、モデルに迷い、

さらにフレームカラーにも迷ったわたくしでしたが、

ショップAの店員様にして、潤んだ瞳の「バンビちゃん」に出会ったことで、

すべての悩みが解消されたはずでした。

ところが、、、

まだ、わたくしの迷いは吹っ切れていなかったのでした。

それは、クランクセットの選択です。

    *     *     *     *     *

キャノンデールの今年のカタログをお持ちの方は、

50ページを見てください。

Opitional crankset:

>Shimano 105 Triple 10-speed, 30/39/50

と、書いてあります。

いわゆる、トリプルっていうヤツです。

わたくしが予約したのは、もちろんノーマルのダブル、

歯の数は、39/52 です。

もうちょっとグレードの高いモデルになると、39/53 なんていうのも

あるみたいですが、R800は、39/52 でございました。

     *     *     *     *     *

以前、ショップAでサイズを見てもらったときには、

(もちろん、お目々ウルウルのバンビちゃんに見てもらったわけですが)

クランクセットのことなんて、わたくしの頭には、まるきりありませんでした。

そして、なぜかバンビちゃんも、クランクセットのことについては

いっさい触れなかったのでございます。

つまり、クランクセットのことは、まったくノーマークのまま、

わたくしの注文書は完了してしまったのでした。

それでは、なぜにわたくしがクランクセットのことに

気がついたかと申しますと、、、

わたくしは、ショップAでの注文を完了してからも、

暇さえあれば、キャノンデールのカタログを眺めていたのでありまして、

あまりにも隅々までカタログをチェックしていたために、

ある日、偶然に、このオプションに気がついてしまったのでした。

それからというもの、案の定、わたくしの頭の中は、

クランクセットのことでいっぱいになりました。

もう、小仏峠への道を登っていても、

「ああ、、、もし、次に乗るロードのチェーンホイールが3枚だったら、

こんな坂で息をきらすことはないのかも、、、」

などと、軟弱な空想をしてしまいます。

ついには小仏峠道でロードに乗っている人を見かけると、

かならずチェーンホイールを盗み見て、

こっそり枚数を数えるまでになってしまいました。

しかし、会う人会う人、みんなダブルの人ばかり。。。

トリプルの人は、まったく見かけません。

ここで、さらに「下手な考え休むに似たり」のスタートです。

このようにトリプルの人が少ないのは、

自転車乗りの人たちには、独特の美学があって、

「トリプルだのコンパクトだの、軽いギアで坂道をクリアするのは

鉄人の恥である、、、」

みたいな、ナルシスティックな発想があるのではないかと、

わたくしは、そのように邪推したのでした。

しかしながら、インターネットであちこちのサイトを訪ね歩いて、

先人の教えを乞うてみたのですが、

かならずしも、トリプルを否定する意見ばかりではありません。

「トリプルにすることで、よりグレードの高い山坂をクリア

できるのならば、それもひとつの考え方である」

というような、肯定派もいらっしゃるのでございます。

わたくしの迷いはいっそう深くなるばかりです。

     *     *     *     *     *

明けても暮れても、クランクセットのことが頭から離れません。

しまいには、仕事にまで集中できなくなってきました。

このままではノイローゼになってしまいそうです。

わたくしは、勇気を振り絞って、バンビちゃんのお店に電話をかけました。

電話の向こうでは、「ハイ! ショップA(仮名)です!」

と、明らかにバンビちゃんと思われる声が響きます。

屈託のない、邪念のない、純真無垢な、バンビ声です。

ああ、、、やはり、バンビちゃんが電話に出ちゃった。。。

店員様は二人しかいないもんね。。。50%の確率だもんね。。。

などとちょっと冷めた自分を演出しつつも、

実のところ、正直なところ、血わき肉おどる気分です。

迷えるわたくしに明るい道しるべを見せてくださるのは、

バンビちゃんをおいて他にはいないのでございます。

とはいえわたくしは、バンビ光線で一瞬にして消毒されかねない

薄汚れた人間ですから、やはりカチコチに緊張いたします。

「今、お時間よろしいでしょうか?」

などと、まるで仕事の電話のような、硬い問いかけをしてしまう

わたくしなのでした。

そして、恐る恐る、クランクセットのことを持ち出します。

すると、、、バンビちゃんは、

「あー、、、」

と、いかにもがっかりしたような、深いため息。

えっ? その落胆ぶりは、どゆことですの?

わたくし、なにかいけないことを、申しましたかしら?(汗)

わたくしの背中を、180ccくらいの冷や汗が滴ります。

バンビちゃんは、そんなわたくしの動揺にはまったく頓着せず、

言うべきことを言ってくださいました。

つまりまあ、、、結論から申しますと、

バンビちゃんは、わたくしのお師匠様は、

トリプルを否定したのです。

「先日、お店で乗ってもらった感じでは、よく乗れてましたから、

トリプルは必要ないでしょう。」

これがバンビちゃんの回答でした。

でもですね。。。でもですね。。。

よく乗れていた、、、とおっしゃいますけどもですね。。。

それって、R800を室内用トレーニングマシンに固定して、

それをガシガシこいだだけじゃないですか。。。

それだけで、わたくしの何がわかるというのでしょう。。。

わたくしが小仏峠でバテバテになっているところを

ご覧になったわけでもないのに。。。

反論がノドまで出掛かりました。

しかし、かのバンビちゃんがダブルでOKとおっしゃってくださっているのに、

わたくしごときが反論するなど、畏れ多いことでございます。

わたくしは、どうにも言葉につまり、「ムググ、、、」と

動物的な唸り声をあげるばかりでした。

わたくしのこの異常な反応に、さすがのバンビちゃんも何かを感じたようです。

最後には「それでは、どうしても心配なようでしたら、一度お店に来て、

話をしましょう」と、おっしゃってくださいました。

そのころには、もう、わたくしは激しく動揺して、息も絶え絶えです。

「ハイ、、、ソレデハ、マタ、、、」と言って電話を切ったときには

アドレナリンの出すぎで卒倒しそうだったのでした。(つづく)


小仏峠でトレーニング

2006年08月26日 | トレーニング

トレーニング、、、というほどでもないのですが、

自宅から片道7kmのところにある旧甲州街道の小仏峠を、

わたくしは日常の練習コースにしています。

下記は、自宅がある多摩御陵付近から小仏峠までの高低図です。

Photo_9      

ご覧の通り、ちょっとした上り坂となっております。

多摩御陵の標高は155メートル。小仏登山口は370メートルですから、

標高差はだいたい200メートルくらいでしょう。

、、、つまり、、、まあ、どうということもない峠です。

それでも、 わたくしにとって、この峠を自転車で登ることは容易ではありません。

登山口直下の急勾配付近では、これはもう自転車を降りて押して

歩いたほうが速いのではないかと思われるくらいのスピードになってしまいます。

しかし!

わたくしは、かの乗鞍岳を目指しているのです。

それなのに、たかだか200メートルの高低差に息を切らしていたのでは、

とても標高3000メートルに近い畳平へは到達できません。

小仏峠など、最初の一歩。初歩の初歩。

俳句でも詠みながら登るくらいでなければイカンのです。

このありさまではいけません。

努力のときです。

毎日、小仏峠に上っていれば、いつの日か、その積み重ねが

乗鞍岳につながるかもしれません。

(つながらないかもしれませんが。。。)

こうしてわたくしは、飽きもせず、小仏峠へのアタックを繰り返すのでした。

     *     *     *     *     *

ところで、この小仏峠への道は、駐車場の先は登山道になってしまうので、

自転車では通り抜けができません。

ですから、すぐお隣りを通る国道20号の大垂水峠ほどメジャーではないのです。

しかし、このマイナーな道でも、かならず1人か2人の自転車人には遭遇します。

その自転車人たちのほとんどは、かっこいいロードバイクでして、

MTBの最低ギアでノロノロと蛇行しているわたくしを、

颯爽と抜き去っていかれるのでした。

その後ろ姿を拝見しておりますと、ペダルの回転数のわりに、

ものすごく速いわけです。

MTBのわたくしは、最低ギアで、クルクルクルクル、、、

まるで、犬に追いかけられて逃げている、

オバケのQちゃんの足みたいにペダルを回しているわけですが、

それでも、いっこうに進んでいきません。

しかし、ロードバイクのお兄さんたちは、グイ、グイ、とリズミカルに、

軽快にペダルをこいで、まるで風に背中を押されているかのように、

急な坂道を駆け上がっていくのです。

そんな日常を繰り返すうち、わたくしは、自分の体力不足を棚に上げ、

「自分のスピードが上がらないのは、自転車がMTBだからに違いない!」

と、思うようになりました。

つまり、ロードバイクにさえ乗れば、わたくしのようなものでも

颯爽と峠を登れるに違いないと、そう思ったのでございます。

そしてわたくしは、ロードバイク購入にむけて、情報収集を開始しました。

そして、遂にキャノンデールのロードバイク購入に至ったというわけです。

今にして思えば、とんでもない勘違いでした。

わたくしが遅いのは、MTBのせいではなく、わたくしの脚力が軟弱だから。

すべてがそこに帰結するのは、疑いようのない事実だったのでした。。。。