当ブログ伝統のオフライン・ミーティング『鬼の和田峠』につきましては、すでにご報告申し上げたところでございますが。。。
このイベントを実行するにあたっては、当然のことですが、私自身も和田峠に到達するという大きな負荷を背負うことがセットになっております。。。
かつては、遅いながらも、ロードバイクで正しく和田アタックをしたこともありましたが、、、最近の私は、シクロクロスの伍長さんを担いで陣馬山から下ってきたり、、、あるいは高尾陣馬主脈縦走路を歩いてきたり、、、などと、王道ではないルートを駆使して、このイベントにアプローチして参りました。
しかし、今回、私は久々に、、、「表和田に自転車で挑む」という真っ当なプランを立てていたのでございます。
ええ、さようでございます。
5月に購入したSYNAPSE中尉のギア比に後押しされて、のチャレンジです。
CAAD史上サイコウ(最硬)と謳われたCAAD9少佐。。。いっぽう、このたび私が手に入れましたSYNAPSE中尉は、なにからなにまで、こゝろとからだに優しい温厚な仕様となっております〜。
こんな私でも、、、この方(SYNAPSE中尉)となら、もう一度、真正面から和田に挑むことができるかもしれない、、、
はじめてSYNAPSE中尉に乗ったとき、わたしの胸には淡い期待の炎が小さく灯り、、、それは、しだいに大きくなっていったのです。
しかし、そうは申しましても、私の現状はといえば「体重が重い」「ヒザが痛い」「運動不足」と、ダメな中年の典型的三大疾患をバッチリそなえてしまっているのでありまして、、、そうやすやすと表和田アタックに挑めるコンディションではありません。
下手をすれば、心臓発作とかを起こしてしまうかもしれません。いえ、冗談ではなく、まことに、です!(汗)
そこで私は、考えました。
そうだ! 和田峠の入口である「陣馬高原下」にほど近い、「夕やけ小やけの里」からのスタートにすれば、体力を温存できる!
「夕やけ小やけの里」までは、クルマに自転車を積んで運んでしまおう!
SYNAPSE中尉は油圧式のディスクブレーキなので、ホイールを外して運搬するのは、キャリパーブレーキの自転車と比べると、ちょっとだけ面倒なのですが、、、
こういうこともあろうかと、ちゃんと、ディスク仕様車用のキャリア(フロントフォークの先端幅をスルーアクスル規格に変換できるタイプ)も、準備してあったのでございます。
↑友人KのCAAD12はキャリパーなので、左側のマウントだけ、スルーアクスル用にしてあります。
ところで、普通のロードバイクの場合とちがい、ディスクブレーキであるスルーアクスルのクイックリリースというのは、シャフトのレバーが倒れっぱなしになっているので、このようなキャリアにセッティングするときには、シャフトを回しにくいという問題がありました。
まあ、実際には、問題というほどのことではなくて、ちょっとしたコツさえつかめば簡単なのですが、、、
しかし、そこは、細やかな心遣いが真骨頂の日本企業。
さっそく、マウントの高さを50mmアップさせるスペーサーが、オプションとして発売されています。はい、もちろん、ポチりました!
、、、話が横道にそれてしまいましたが、、、
そのようなワケで、当日は「夕やけ小やけの里」の駐車場まで、SYNAPSE中尉をクルマで運んできちゃいました。
空気を充填しております〜!
よろしくお願いします〜。
↓ 人間(私)のほうは、アミノバイタルを充填いたしました〜!
体力はないけれど、やる気はある!(キリッ)
そして、、、
見ためは黒いが、性格は白いSYNAPSE中尉↓
グフグフグフ、、、フロント50/34、リア11-32 しかも、安全安心の油圧式ディスクブレーキ。
え? なに? ず、ずるい?(汗)
いいや、ずるくありません!(汗)
やらない善より、やる偽善!(意味がわからない)
お願い、SYNAPSE中尉!
私を和田に連れてって!
CAAD9少佐、CAADX伍長、私の勇気あるチャレンジを、なまあたたかく見守っていてください。
陣馬高原下バス停にて、、、↑ や、やるぞぉ〜!(汗)
* * * * *
はい。ここから先は、もう写真を撮っている余裕はいっさいありませんから(汗)
ほぼ、テキストでのご報告とさせていただきます。
この日は、比較的天候が安定している日曜日、、、ということもあり、ハイカーの方々が大勢いらしていたのですね。
高尾駅からのバス便も増発されていたみたいで、陣馬高原下は色とりどりのザックを背負ったハイカーでいっぱいでした。
ロードの人は、、、というと、やせ体型の速そうな3人組が、和田アタックに備えてトイレ休憩しているもよう。。。
できれば、この方々には先にスタートしてほしかったのですが、なかなか出発しそうにないので突入することにしました。(すぐに抜かれるでしょうけれど、、、)
その3人組の前を通過した瞬間、「あんなんで上ったら死ぬぜ」というセリフを背中で聞いてしまいましたが、、、いや、まさか、、、今の会話、、、私のことじゃないよね、、、いくらなんでも、見知らぬ人にそんな暴言を吐くかしら、、、きっと、私とは何も関係のない会話をしているときに、偶然、私が通りがかっただけなんだ、、、私のことじゃない、、、信じてる、、、
はやくも、路面を涙でにじませながらのスタートです。
この一件、、、私の被害妄想であって、私に向けられた言葉ではないと思うのですが、万が一、私のことを言っていたとしてもですよ、いまとなって冷静に考えると、事実を言っているに過ぎませんね(汗)
この表和田に、私のような体型でのぞむことは、たしかに死ぬかもしれないリスクをはらんでいると思います(汗)
仰るとおりでした(汗)
さてさて、、、
前方には、中高年ハイカーのグループが、道幅いっぱいにひろがって、楽しそうにおしゃべりしながら歩いていらっしゃるのでした。
背後に近づいているのですが、道をあけてくれません。。。
オートバイと違って、自転車の場合、エンジン音がしないので、背後にいることに気づきにくいのですよね。
そうこうしているうちに次第に私の息があがり、ハァ、ヒィ、ハァ、ハァ、、、と荒い息づかいになってきたため、異様な気配に気づいたオジサマが避けてくださいました。
しかし、御礼を言う余裕もなく、軽く会釈して通り過ぎるしかありません。
まだまだ、この先、長いのです。
斜度はしだいにきつくなってきました。
12% 14% 15%、、、22%!
・・・ううう、苦しい! リアの最軽ギアはとっくに使い切っております!
だが、案外、、、いける! やっぱり、34×32 は、だてじゃなかった!
でも、和田の核心部はまだこの先。
しばらく行くと、左手に、登山道の分岐が見えてきました。
ほとんどのハイカーは、ここから陣馬山の山頂へ続く山道に入っていきますので、和田林道のほうは、ハイカーの数がぐっと減るのです。
自転車にとっては走りやすくなりますが、走りやすい分、クルマもスピードを上げて登ってくる区間となるため、それはそれで、要注意です。
もう、このへんは、20%越えの急カーブの連続です。。。ああ、、、もう、これ以上、軽いギアはないとわかっているけれど、、、もしかしたら、あと1枚くらいあるかもしれない、、、
ダメ元で、右のシフトレバーをひねってみますが、、、ないものは、ない!(やっぱり)
やっぱ、なかったぁぁぁ〜!(悲)
ハンドルを引き寄せて、、、あーん、また懸垂みたいな体勢になっちゃってる。。。ああ、なつかしい、、、この感じ、、、
そうだよ、いつも、このカーブで後悔してたじゃないか、、、少佐のときも、いつもここらへんから泣きが入っていたっけ、、、
このあたりまで来ると、脳内にエマージェンシーな物質が分泌されてきて、中尉と会話できる境地に入りました。
うり坊:中尉、、、ハァ、ハァ、、、あの、、、その、、、ハァ、ハァ、、、申し上げにくいのですが、、、そろそろ心肺が、、、
中尉:よしよし、よくがんばってるぞ。後ろからクルマが登ってきている。足をつき、路肩によけてやり過ごせ。安全が第一である。
うり坊:え? 足ついていいんですか? ハァ、ハァ、、、
中尉:もちろんだ。許可する。無理は禁物だ。
うり坊:はいっ うり坊二等、足つかせていただきます〜!
中尉の許可も出たので、足をついてクルマを先に行かせ、しばらく立ち止まって呼吸を整えました。
意を決して、ふたたび中尉にまたがりましたが、あまりに急勾配で、漕ぎだしのタイミングがつかめません。
しばらく押してあるくことにしました。
うり坊:申し訳ありません、中尉どの。。
中尉:よい。この先、少し斜度がゆるくなるところがある。そこで漕ぎ出せ。
うり坊:了解しました!
中尉のやさしい人柄に感動しつつ進んでまいりますと、、、お言葉のとおり、少し斜度がゆるくなったように感じたので、ふたたびヨロヨロと走り出しました。
おおお〜! 若干、体力を回復している。
しかも、22〜24%のカーブを越えた今となっては、もはや、14〜16%くらいの斜度は、むしろラクに感じる、、、
人間の感覚というのは、こうも相対的なものなのですね。。。
それでもやはり、きついことはきついわけです。。。
ううう、苦しい、、、苦しい、、、肺が、、、心臓がぁぁぁ〜!
そのとき、背後で「こんにちは!」という爽やかな声がしました。
振り返ると、精悍なロードのお兄さんが、グイグイと近づいていらっしゃいます。
どうも私は、集中力が弱まって、道の中央付近を走っていたようです(汗)
ああ〜! またやってしまった。
私は、自動車でも自転車でも、交通ルールはきっちり守る性格です。
ですが、こういうときに、道の真ん中をヨロヨロ走行したりして、うっかり他人様にご迷惑をおかけしてしまうことが多々あるのですね。
序盤で、道路いっぱいに広がって歩いていたハイカーの方々に、軽くいらだちを覚えた自分を恥じました。
自分だって、こうやって、お兄さんのジャマをしていることに気がつかなかったりするのです(汗)
「すすす、すみません、すみません〜!」と、慌てて道をあけました。
お兄さんは爽やかな笑顔で脇を通り抜け、颯爽と登って行きました。
なんという、軽やかな走りでしょう、、、この和田の激坂を、まるで、紙飛行機が風にのるように、ふわり、ふわり、と登っていくのでした。
ん? 既視感。。。
CAAD9少佐とはじめて和田アタックしたときも、これとそっくりの体験をして、それをブログに書いたような気がする。。。
私という人間は、、、12年経っても、成長というものをまったくしていないのですね、、、
お兄さんのうつくしい背中を見送り、ふたたび私は孤独な戦いに突入するのでした。
この後も、押して歩いたり、ちょっと乗ったり、、、の繰り返しです。
うり坊:中尉どの〜、苦しいです〜、つらいです〜、でも、押して歩きたくないんです〜。
中尉:ふふ、、、愚かな。無意味な抵抗である。いくらでも下りて押せばよいではないか。
うり坊:ですが、、、ですが、、、34×32なのに、、、うぇぇ〜ん、これ以上、歩くことは、自分で自分がゆるせません〜(泣)
中尉:しかたのないやつだ。では、私がよい方法を教えてやろう。50mほど後方を、ハイカーが登ってきている。その先のカーブで、その者に追い越させるのだ。
うり坊:ええ? ハイカーの人に追い抜かされるんですか?
中尉:そうだ。やれ。
・・・追い抜かれました。
歩いて登っている人に、追い抜かれました。。。
うわ〜ん!(泣)
・・・でも、、、なんでだろう。。。こゝろが、軽い。
なんか、吹っ切れた気がする。。。
うり坊:中尉どの、、、私、、、私、、、
中尉:さあ、己のペースで進むがよい。
うり坊:すみませんでした! 今、わかりました、私はかたくなでしたっ!
中尉:よろしい。他人との比較は意味がないのだ。自分らしく戦えばよい。
うり坊:わかりました。「ステレオタイプを超えていけ」って、誰かも言ってましたもんね。
中尉:何を言っているのか意味がわからんが、まあいい。ダメな自分を受け入れたか?
うり坊:はい! 私はダメな人間です。
中尉:そうだ。おまえはダメな人間だ。だが、ダメななりに、がんばればよい。体力がなかろうが、50歳を過ぎていようが、筋肉がなくて脂肪だらけだろうが、そのくせ努力がきらいでトレーニングも続かない意志薄弱な性格だろうが、ヒザが痛かろうが、体重が重かろうが、腰回りのサイズが尋常でなかろうが、近視と老眼を併発していて遠くも近くも見えなかろうが、簡単な計算も間違うほど頭が悪かろうが、日常でよく使う漢字ですら書けないことがしばしばだろうが、、、
うり坊:中尉! これからも私をお導きください!
SYNAPSE中尉に、明るいみちしるべを見せてもらい、新たな気持ちで峠を目指します。
ここから先も、ヨロヨロと乗ったり、下りて押したり、、、を繰り返し、ジリジリと標高を上げてまいりまして、、、とうとう、和田峠(690m)に到達!
半分くらいは押して歩いたと思います。
それが、いまの私。
ありのままの自分なのです。
碑の裏側を覗いてみますと、、、
ありました。。。
私がセッティングしたまま、の状態の、秘密の箱が、、、
中を開けてみますと、、、おおお、予想どおり!
まだ、だれもストラップを持ち帰った人はいないようです。
12個全部、残っていました。
ちょうどそのとき、先ほど、「悪魔のカーブ」で先に行ってもらったハイカーのお兄さんが峠に到着したので、追いかけていって、ストラップをひとつ差し上げました。
お兄さん、突然のできごとに狼狽なさっていらっしゃいました(汗)
そりゃ、そうですよね(汗)
知らない人から突然、手作りのストラップを押しつけられたのですから、誰だって動揺しますよね(汗)
冷静に振り返って考えると、私の行動は異常でした。
しかし、このときは、和田峠に登ることができたよろこびで、平常心を失っていたのだと思われます。
お兄さん、すみませんでした・・・
メモパッドにコメントを書いて、ストラップをザックにぶら下げました。
まだ10時前。。。
待ち合わせの時間まで、あと2時間あります。
峠の茶屋でコーヒーでもいただきつつ、のんびりと皆様の到着をお待ちすることといたしましょう〜。
SYNAPSE中尉どの〜! 励ましながら、ここまで連れてきてくださって、ありがとうございました。
惰弱な私ですが、これからもよろしくお願い致します。
(完)