仕事から戻り、夕食や入浴などを済ませたのち、就寝までの自由な時間。この、夜更けの時間帯の過ごし方は、人により様々なことと思います。
フリーランスの私の場合は、寝る直前まで仕事をしていることが多いわけですが、通勤タイプの友人Kにおいては、この時間帯は趣味に費やすことのできる貴重なリラックスタイムであるらしい。。。
最近は、ポッドキャストのラジオを聴きながら、お気に入りの万年筆の書き味を楽しむ、、、という過ごし方が、わりとデフォルトとなっております。
試し書きに使う紙は、私が仕事でプリントアウトした裏紙であることが多く、就寝時には丸めてゴミ箱に捨てられているか、コタツの上に放置されているのを、翌朝、私が破棄するのが常でございます。
先日、ふと、放置されていた裏紙を捨てる前に、ちらと目を通してみたところ、、、下記のようなことが書かれておりました。
キャンプ、自転車、万年筆、カメラ(写真撮影)、そして釣り(フライ)といった私の趣味をすべて同時に、並行的に体験する方法はないものかと考えてみた。
手始めにまず、移動のための交通手段を考えてみたのだが、これはおのずと、「自転車」もしくは「輪行」に縛られるということとなる。
趣味だと言っているのに、縛られるというというのも、どうしたものかと思うが、一度にすべてを成立させるという苦行なので仕方あるまい。
ここまでの段階で、自転車にキャンプ道具と釣り道具を積載し、万年筆とカメラを持参すればよさそうなことに気が付く。
そこで、心配性な私としてはきわめて気になる懸案事項が現出する。
つまり粗暴なキャンプ道具らの只中おいて、繊細な万年筆をいかにして破損などから守るのかが課題になるのである。
無頼者の集まりであるアウトドアグッズからは隔離された、「ここだけは絶対安心だし安全なの」的空間を、なんとしても確保し、そのような環境にこそ、ガラス細工のような万年筆は置かれなくてはならないのだ。
こんなことは言うまでもないことだ。
そして夜となり、ランタンに灯されたテントの中で、悠然とその安全地帯から万年筆を取り出し、一人、物思いに耽りながら、気に入った文章、そう例えば、「中田ヤスタカの才能は、もう枯れてしまったのだろうか?」などの
問いを自分自身に投げかけつつ、連綿と書きづづっていくのだ。
時折、隣のテントのファミリーから「うおー、何これ!めちゃうまいじゃん」という下世話な奇声が発せられるのも、現世の日常と心に織り込み、これもキャンプ場の一つの味わいよと、目を閉じて噛みしめるのである。
おお、、、友人Kよ、キャンパルよ、、、奇嬌なことを考える男である。
(注:上記の文章は、掲載にあたり、本人の承諾を得ています)