CAAD9納車まで、残り11日!
ロードバイク乗りになるべく、小仏アタックを繰り返しては
体力づくりに励んでいたわたくしでしたが、、、
そろそろ小仏は卒業して、次なるステージへの挑戦を試みました。
そのフィールドとは、、、
高尾山と並んでハイカーに人気の山であります陣馬山の肩。
標高690mの和田峠でございます。
小仏峠の標高は400m以下なんでございますから、
これはもう、倍でございますよ。
下記の高低図をご覧くださいませ。ものすごい高低差なんでございます。

小仏峠とは、似て非なるトレーニングコースです。
はっきり申し上げまして、八王子市内にあるオンロードのルートとしましては、
最難関と申し上げても過言ではございますまい。
今のわたくしの実力からいうと、ちょっと無理ではないかと思われますが、
しかし、、、女40歳。これから体は衰える一方です。
今登らずして、いつ登るのか!
私は、敗退覚悟でチャレンジする覚悟を完了いたしました。
朝9時。自宅がある多摩御陵付近からのスタートです。
多摩御陵と多摩森林科学園の間を走る都道をぐんぐん登ります。
一つめのピークを越えて、城山大橋の交差点を左折。
ここからは、東京都が運営する公園墓地の山を越えていきます。
二つめのピークを越えて下ったところで、細い道へと左折します。
直進してもいいのですが、この先にはトンネルがあって、
ちょっと自転車で抜けるのには空気が悪すぎるのでした。
トンネルをエスケープして、三つめのピークを越えて下ると、
いよいよ陣馬街道に入ります。
北浅川に沿って車道を走り、まずは「夕やけ小やけふれあいの里」をめざします。
この道は、車の通行量も少なく、自転車で走るには格好のルートです。
北浅川は上流に進むにつれて、美しい渓流へと変化します。
途中にはマス釣りができるキャンプ場などもあるのです。
道は徐々に登っていますが、息がきれるほどの傾斜ではありません。
多摩御陵からちょうど40分ほど走ったところで、
「夕やけ小やけふれあいの里」に到着です。
ここには、物産品の売店や、食事施設、休憩所などがあり、
長休憩をするのにはぴったりです。
わたくしもたっぷり水分を補給し、ひと息いれました。
さて、、、この施設を過ぎると、道は、陣馬街道と醍醐林道に分岐します。
北浅川もまた、ここで醍醐川と案下川に分岐するのです。
今日は、予定通り、案下川に沿った陣馬街道へとルートをとります。
分岐を過ぎると、道はだんだん傾斜がきつくなってきます。
10分足らずで路線バスの終点・陣馬高原下バス停に到着。
いよいよ、和田アタックのスタートです。
もう一度、水を飲み、深呼吸をし、、、、意を決して、ペダルを踏み込みます。
(とにかく焦らず、ゆっくり行こう。どうにも体力の限界になったら、Uターンすればいい)
事前にフリー地図ソフトのカシミールで高低図を確認していたわたくしは、
ここから先の登りが半端なものではないことを、すでに知っています。
あああ! きました!
ものすごい急坂のはじまりです!
ギアはどんどん下がります。それでもケーデンスを維持できません。
(キタキタキター! 和田地獄だー!)
わたくしは額に汗をにじませ、懸命にペダルを踏みました。
つづら折れの道が続きます。
息が上がってきます。
汗が噴出し、頬をつたって顎からポタポタと滴ります。
昨日の雨のせいでしょうか、小さいカエルが道のあちこちで、
ペッチャンコに踏み潰されています。
おそらく、朝一番で車が何台か通ったのでしょう。
そのカエルちゃんの亡骸を踏むまいと、息も絶え絶えにハンドルを切り、
避けながら登るのは、これまた骨の折れることでございます。
だいぶ登ったと思ったころに、前方に看板が見えてきました。
「和田峠まであと2.5km」
ひえええ! 和田アタックは、全部で3kmなのに、あと2.5kmも残っている!
マジマジマジですか! このきつい登りが、今の5倍も残っているのですか?
わたくしは目の前が真っ暗になる気がしました。
しかし、その予測は間違っていました。残りの2.5kmの斜度は、
今までの傾斜よりも、さらにさらにきついものだったのです。
あああ! ものすごいつづら折れの道です。
コーナーの外側でもこれだけきつい斜度なんですから、
インナーの斜度はどのくらいのものだか、想像もできません。
もうだめです。死んでしまいそうです。
肺に大量の空気を吸い込み、少しでも酸素を取り込もうとするのですが、
使うエネルギー量が多すぎて、完全に悪いスパイラルに入っています。
しかも、ペダルをこぐ力が弱まってきて、ますますスピードが落ちてきます。
自転車って、どうして倒れないで走っていられるかというと、
それはジャイロ効果という物理の法則のおかげなわけです。
しかし、今のわたくしのスピードは、ジャイロ効果を維持できないほどに
遅いのでありました。
もう、フラフラです。
右に左に、ハンドルを切り回し、辛うじて転倒を回避しますが、
地獄のような傾斜のカーブが、次々とわたくしを苦しめます。
(あああ! もうだめです~。)
(お許しください、バンビちゃん。
こんなわたくしに、CAAD9に乗る資格なんてないのですわね?
わたくしは、所詮、ママチャリでお買い物でもするのがお似合いなんですわね?
こんなわたくしがCAAD9に乗ろうだなんて、、、ううう、、、、)
さまざまな思いが脳裏をよぎり、おばさんのくせに、泣いてしまいそうです。
悪魔のような急カーブを曲がりきったところで、とうとうバランスを崩し、
足をついてしまいました。
こうなると、もう駄目でございます。
わたくしは観念して、足をついたまま肩で息をし、数十秒、その場で立ち尽くしました。
ボトルを取り、水を飲みます。
(いや、ここで引き返したら、わたくしの自転車人生に未来はない。
まだ限界とはいえないわ。本当の限界までがんばらなくては。)
↑この妙な負けん気がどこから湧いてくるのか、誠に不思議でなりません。
かくして、わたくしは、またペダルをこぎ始めました。
山の上のほうを見上げると、もう少しで峠なのではないかと思われます。
しかし、ニセピークということも考えられます。
次のカーブを曲がったら、峠かもしれない。。。と思って曲がると、
まだまだつづら折れの道が続いています。
期待しては、裏切られ、、、、の繰り返しです。
もう、本当に限界だー!と思いながらカーブを曲がった瞬間です。
前方に峠の茶屋がチラリと見えました。
と、、、とうげ、、、
やった、、、根性が勝った、、、
わたくしは、最後の力を振り絞って、峠の駐車場へと突っ込みました。
* * * * *
時計を見ると、だいたい40分かかっています。
しかし、タイムトライアルが目的ではありません。
今日のところは、峠まで登れただけで満足でした。
わたくしは、、、わたくしは、、、悪魔のような和田峠を制したのです。
記念に写真を撮りました。

峠の風はそよそよと、わたくしの疲れた体を癒してくれます。
わたくしは、達成感で満たされました。
さて、、、さてさて、、、
ここから、どうルートをとるか。
わたくしは迷っていました。
高尾の方面に帰るには、今来た道を戻るのが懸命な判断ですが、
峠から先、相模湖のほうへと下る道もあるのです。
ただ、相模湖方面に下ってしまうと、高尾に戻るのに、
大垂水峠を越えなくてはなりません。
しかも、藤野から相模湖までも、けっこうな距離があります。
今日は、初の和田アタックです。無理は禁物です。
そこまで判っているのに、わたくしの気持ちは、
相模湖方面へと向いていました。
どうしても、無謀なほうへ、無謀なほうへと進んでしまうわたくしの思考。
(ええい。なんとかなるさ。ゆっくり走れば大丈夫さ。)
わたくしは、GTにまたがり、今登ってきたのとは反対の方向へと
いっきに下りはじめました。

東京側と違い、神奈川側の道は、とてもよい道でした。
なんといっても下りですから、疾風のごとく走ることができます。
あっという間に高度が下がり、上野原方面への道を右に分けて、
藤野方面へと、桐原藤野線を下ってゆきます。
この道もまた、川沿いの気持ちのよい道で、
しかも、東京側とちがって、ところどころ民家もあり、
田園的な風景が広がっています。
すぐ脇を流れる沢井川は↓こんなステキな川なんでございます。

気分はルンルンです。
わたくしは、この先、大垂水峠という難関が控えているのも忘れて
すっかり上機嫌で走り続けました。
この先で道は、沢井川から離れて、ちょっとした登り坂となります。
道幅のトンネルを越えると、藤野駅のすぐ脇に飛び出しました。
思っていたよりも甲州街道は近かったのでした。
ここからは、甲州街道沿いに高尾まで戻るわけです。
相模湖ICを過ぎると、とたんに大型の車が多くなり、
追い越されるときにはストレスを感じます。
しかし、高尾に戻るには、他に道はありません。
がまんして、ペダルをこぎます。
ようやく相模湖駅前の交差点まで来た頃には、
街道沿いを走るのに、ほとほと疲れておりました。
この交差点で、多少の車は412号線方面へ曲がりますけれども、
それでも、大垂水峠越えをするトラックも多いようです。
急な峠越えを、この大型トラックといっしょに走るのは相当キツイ感じがします。
ここまで来て、わたくしは、相模湖側にルートをとったことを
ほとほと後悔しました。
(和田峠から来た道を戻っていれば、もうとっくに家に着いていたのに、、、)
悔やんだところで仕方ありません。
家に戻るためには、大垂水峠を越えるしかないのです。
えい!っとばかり、わたくしは、峠への坂道を登り始めました。
まあ、、、標高700m近い和田峠に比べたら、大垂水峠など、
せいぜい400mちょっとなんですから、、、、
わたくしの頭の中では、なんとかなる筈でした。
しかし、、、わたくしの体は、和田アタックですっかり疲弊していたのです。
このボロボロの状態で大垂水峠越えは、ハードこの上ないものでした。
しかも、大型のトラックが情け容赦なく粉塵を巻き上げて追い抜いていきます。
思い切り息を吸うこともできません。
わたくしの大垂水峠越えは、思った以上に辛いものになりました。
ヒィヒィいいながらペダルをこいでいると、ふっと右となりに、
黄色のジャージを着たロードバイクのお兄さんが並びます。
お兄さんはわたくしのほうを振り向いて
「少し水を飲んだほうがいいですよ。がんばって!」と声をかけてくださいました。
そして、颯爽とわたくしを抜き去り、ぐんぐんと坂道を上がっていきます。
「はい!ありがとうございます!」
わたくしはそれだけ答えるのがやっとでございました。
目前のカーブに、路肩が大きめにとってあるのをみつけて、
わたくしはそこで足をつき、水を飲みました。
なるほど、ちょっと元気が出た気がします。
もしかしたら脱水気味だったのかもしれません。
(どなた様か存じ上げませんが、貴重なアドバイス、ありがとうございます。)
自転車人は、みんな親切だなぁ~、、、と感激しながら、
わたくしはなんとか、大垂水峠を越えることができました。
ここを越えれば東京都です。
わたくしの住む高尾は、もうすぐです。
峠を下りきったところで、わたくしはお腹がペコペコであることに気がつきました。
そういえば、朝7時にごはんを食べたきり、行動食もなにも口にせず、
12時すぎまで走り続けていたのです。
そこで、高尾山の参道にあるお蕎麦屋さんに立ち寄って、
名物のとろろ蕎麦をいただきました。
元々お蕎麦は好物なのですが、今日のお蕎麦は、また格別です。
ちょっとしょっぱいおつゆも、疲れた体にはありがたく、
最後の一滴まで飲み干してしまいました。
こうして、わたくしの初めての和田アタックは、ゴールを迎えたのでありました。
いやはや、、、大変なことでございましたよ。。。