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<「書の至宝-日本と中国」展>
東京国立博物館で、1月11日から2月19日までの日程で「書の至宝ー日
本と中国」展が開催されている。初日の1月11日に鑑賞したが、中国の
書聖といわれる「王羲之(おうぎし)」をはじめ、聖徳太子や空海、小野
道風(おののとうふう)など日中の名筆が勢ぞろいする書の展覧会という
ことで、初日は中高年の入場者で溢れた。珍しい展示品をじっくり見よう
とする入場者で一部の作品の前は列をなした。そのため全部の展示物を
じっくり鑑賞しようとすると丸々一日がかりであった。展示物は、大小様々
だが、全部で189点と、なかなか大変な数量である。
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<主催者>
展示会の主催者は、東京国立博物館と朝日新聞社、テレビ朝日、上海博
物館の四者であるが、上海博物館は全189点のうち63点前後の出展を
行い、日中の至宝展を盛り上げた。
<朝日新聞の紹介囲み記事>
朝日新聞社は、主催者ということもあり、毎日夕刊に「書の至宝展きょう
の名筆」というタイトルの囲み記事で、書を1品、写真とコメント付で掲載
しているので、これから行く人も既に鑑賞された方も参考になるものと思
われる。
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<妹至帖(まいしじょう)>・・・王羲之(おうぎし、303-361年)筆
王羲之の筆を模写したものは12点程度展示されているが、そのうちの
1点である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/fe/8e5c36d54f74a8517fe87735cc54fe3a.jpg)
妹 至 ○ 情 地 難 遣 憂 之 可 言 須 旦 夕 営 親 之
7-8世紀ごろに搨模(とうも)されたものと言われているが、日本の
さる大名家伝来の手鑑(てかがみ)の中から発見されたもので、二行
十七文字に裁断されている。最初の二文字をとって「妹至(まいし)
帖(じょう)」と名づけられている。
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<この書から受ける印象>
王羲之(おうぎし)の生存が303年-361年といわれているので、本人
が直接書いた年代は300年代の中ごろであろうか。書聖といわれた人
が今から1650年も前に書いた名筆を目の当たりにして見ている、とい
うことが第一の感銘である。
第二の感銘は、穏やかで、流麗な中にも、しっかりした力強い感じがある
優れた草書体である、ということである。王羲之の書体であるという先入
観もあってか、何か惹かれるものがある。
文字のうまさだけで言えば、現代のわが国の書家の中にもそれ以上の
能書(家)はいる。しかし、上手いということと、名筆家であるということは
必ずしも一致するものではない。心を捉える何かが必要なのである。
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(注)
<搨模(とうも)>
搨模(とうも)とは、「手本」を敷き写して模写をとり、それを石や木版
に刻した拓を採ったもの。その複製本のことを搨模(とうも)本という。
王羲之(おうぎし)が書いた実物は1枚も現存していないため、そっく
りに模写や臨書したものは実物と同等の貴重なものとして扱われている。
<手鑑(てかがみ)>
手鑑(てかがみ)とは、手本とすべき優れた古筆を大量に収めた本のこと。
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