「根津青山(Nezu Seizan)の茶の湯」の展示品
<数多くの重要文化財・重要美術品>
私が拝見した今回の第2部では、一つの国宝と、桃山時代の「鼠志野茶碗」を
始めとする20数個の重要文化財や重要美術品が展示されていたが、根津嘉一
郎蒐集品のほんの一部であるという。今回の展示品は、別に「コレクション展」
として茶の湯以外のものが沢山展示されているが、その内の半分以上が中国
のものである。
<沢山の中国、朝鮮の作品>
しかも中国の作品の中に沢山の重要文化財や重要美術品があることに驚きを禁じ
得なかった。特に展示室2は中国の13~16世紀の作品、展示室3は中国の6世
紀頃、展示室4は古代中国、特に紀元前13~11世紀殷周時代の作品(青銅器)
となっており、展示室2にある国宝「鶉図(うずらず、伝 李安忠筆)」も中国・南宋時
代の花鳥画の名品で、我が国において長く賞玩されてきたものだという。
東洋の古美術蒐集に心血を注いだ根津嘉一郎の面目躍如といったところである。
なるほど、文化財保護法第2条の一に、我が国にとって歴史上又は芸術上価値の
高いもの並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料を有形文化財
というと書いてあるが、文化財の中でも、我が国にとって特に重要な中国の作品
を沢山所有しているということは驚きである。これら中国の作品が本国の中国で
はどの程度の重要度(価値)があるのかということも個人的な関心事ではある。
<重要文化財の基準とは>
当館の展示品に限らないが、いつも鑑賞していて思うことは、あの作品が重要文
化財なのにこの桃山時代の千利休作の竹の「茶杓」や細川三斎作のあの竹の
「茶杓」はどうして重要文化財でないのか、いう基準が分からないことである。
誰がどのような判断基準で決めているのか大いに興味がある。
NHK教育テレビの日曜美術館「誕生!新・根津美術館 国宝ずらり名品大公開・・・」
という番組で女性のナレーターが「16世紀、朝鮮時代の「青井戸茶碗」(重要文化財)
は抹茶茶碗の最高峰と言われる・・・」と述べていたが、最高峰と言うからには我が国
の作品を含めて我が国に1~2個しかない抹茶茶碗ということであろうが、これまでに
もすばらしい抹茶茶碗を見てきた経験から、この朝鮮の抹茶茶碗が「最高峰」である
という評価は誰がどのような基準で決めているのか知りたいものである。
<5000坪の庭園、100種以上の樹木>
<切妻風の大屋根>
新創なった現代建築の美術館は切妻風の大屋根で平屋風に
見えるが、実際は地上2階・地下1階構造の大きな和風建
築である。展示室は1から6まであるが、この他にホール、
講堂、ミュージアムショップ、ラウンジなどがあり、床面積
は延べ4000㎡と従来の2倍の広さを誇る。
<安らぎの空間>
なんといってもこの建築物のすばらしいところは、外観も内部も超現代建築なが
ら和風の落ち着いたイメージが全体を包んでいることである。ホールの天井の角度
や造りまでが大屋根風のイメージを醸し出しており、加えて多くの箇所に屋根ま
での大きなガラス窓を配することで寛ぎの空間をつくっていることである。広大な
庭園との一体感も見事で、庭園には1階からだけでなく地下1階からもドアを開
ければそのまま庭に出られる。加えて四つの茶室と川のような池を配した広大な
庭園だけでも一見の価値がある。
。
庭園を一回り散策して戻る最後の寛ぎの場として、ホールから見える庭園の一角に、
NEZU CAFEがある。
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門の外へ出る
(「新・根津美術館を訪ねる」は終わり)
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