悠々time・・・はなしの海     

大学院であまり役に立ちそうもない勉強をしたり、陶芸、歌舞伎・能、カメラ、ときどき八ヶ岳で畑仕事、60代最後半です。

富良野のイメージ「ラベンダー」と「風のガーデン」の「カンパニュラ」の花

2010-03-02 20:52:59 | 自然
<初めて行った22年前>
若い頃から長く東京に住んでいましたが、殆どの方がそうであるように、大都会とは正反対の気候風土である北海道の大自然、特にラベンダーの咲き誇る美しいイメージだけで富良野に憧れました。行ってみて矢張りそのイメージ通りでした。

その後テレビの特集番組で、あの美しさの裏には生計を立てていくための園芸や農業の厳しさ、難しさと、生き残るための戦いの歴史があったこと、そしてあの美しい光景が簡単に手に入ったものではなかったことを知りました。

季節的にみても、そこに住む人々が一面雪に覆われた冬の厳しさを堪え忍ぶことによって、やがてくる春には園芸や農作業に精を出し、夏には再びあの美しい美瑛・富良野の光景を私たちに見せてくれるのだということ、そして、そこには一年を通じての生計のための循環があるということを知らされました。

<1981年放映の「北の国から」>
私が富良野へ行ったのは22年前です。倉本聰の「北の国から」が放映されたのはそれより7年前の1981年からでした。この壮大なドラマは日本国中に「北の国から」ブームを巻き起こしました。富良野の雄大な美しさと、東京から帰郷した、いや不倫した妻の元から故郷へ逃げ帰ってきた黒板五郎と息子の純と娘の蛍の、厳しい生活と壮絶な人生が展開されるのですが、私を含めて、富良野における生活の厳しさはドラマの中のことと無意識に思い込み、雄大で美しい光景だけが脳裏に焼き付いていたのではないかと思います。

「風のガーデン」の原点は、29年前のこの「北の国から」ですが、このドラマが放映されたとき当時18歳だった人は現在47歳になっています。これ以下の年齢の方は多分「北の国から」は歴史上のドラマとしかイメージできないのではないかと思います。

また、「北の国から」と後の2作品、「優しい時間」と「風のガーデン」は夫婦の関係や親と子の愛の葛藤、子供たちが大人になっていくための葛藤、友達としての友情、男と女としての友人関係などのテーマは一貫していますが、味付けはかなり違うようです。

<「風のガーデン」のテーマ>
特に「風のガーデン」が他の作品と異なる点は、主人公の父親が携わる在宅医療や訪問医療という分野と、先進医療に携わる大学病院の優秀な麻酔医である息子が末期がんに冒される、という現代医学・医療の抱えるテーマを前面に出してきたことです。

しかも大学病院の優秀な麻酔医である主人公自身の不倫が招いた妻の自殺と、それに伴う主人公とその父親との断絶、そして息子である麻酔医の子供たち(娘と障がいのある息子)の面倒を見る父親の心の葛藤、という現代風のテーマを取り込んでいること、一方、死期の迫った親と子の心の交流や愛の葛藤、周囲の関係者や郷里の友人たちとの交流は今回も健在です。

また、妻の自殺の原因となった看護師長が、ドラマの後半で死期迫る主人公の痛みを心配して北海道までやってきたことも、女性としてまた看護師として、それが愛の表現だとしてもその役柄に嫌みは感じられませんでした。

<主な出演者の印象>
女性には奔放だが医師としては優秀で仕事一途に生きる役柄と、最後に自分の子供たちに対する清々しい愛情を見事に表現した中井貴一、訪問医師として在宅医療を真摯に支える老練の医師、死期を目前にした息子とその孫たちに寄せる深い愛情、そしてこれが最後の演技となった緒形拳の心にしみる演技、女優として貫禄のある演技をさりげなく演じた伊藤欄、新鮮な感じの黒木メイサ、それぞれに印象的でした。感じ方は人それぞれです。時が過ぎればまた違う見方をするかもしれません。それでいいと思っています。

<主題歌「ノクターン/カンパニュラの恋」歌:平原綾香>
最後に、平原綾香の主題歌・劇中歌「ノクターン/カンパニュラの恋」は、ドラマのテーマに合わせて編曲したたショパンのノクターンですが、ピアノの音を背景にして、独特のリズムと愁いに沈んだような、心に響く歌声と歌い方は最高でした。主題歌「ノクターン」は英語の作詞(:史香)で2008年大晦日のNHK紅白歌合戦で歌われました。そして「ノクターン」に日本語詞をつけた劇中歌の「カンパニュラの恋」は、平原綾香自身の作詞です。英国式の風のガーデンに咲いていたカンパニュラの花は、別名、風鈴草、釣鐘草、ベルフラワーといわれる白い花ですが、歌詞の中でイメージができるように「ベルのように揺れる花が時を数える」という表現があります。詞全体がすばらしいものでした。











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