10月28日、第2回目の「庁舎整備有識者会議」(7月22日開催)を受けて、市議会庁舎整備特別委員会が開かれました。
2回開かれた「有識者会議」と、非公開で6回開かれた「耐震性能分科会」の概要について報告の後、質疑が行われました。
「有識者会議」の本格的論議は「耐震性能分科会」の結論を得てから
「有識者会議」の内容は、第1回目が「今後の審議に向けての意見交換」、第2回目が「1回目の振り返りと今後の論議のすすめ方について」となっており、本格的な審議に入っていません。
この点では、「耐震性能分科会の結論を得た後に、本格的に議論していくので、耐震性能分科会の審議を急いでいる」との回答がありました。
「建替えありきではないか」の意見が、他の委員からも
本格的論議に入らず、自由な意見が出されている「有識者会議」の議論に対し、私はもちろん、他の委員からも「建替える方向での議論になっているようだ」との意見が相次ぎました。
これでは、充分審議もしないうちに、「建替える方向」が独り歩きしてしまいます。
情報提供の不十分さ
冒頭、他の委員から、「議会へ適切な情報提供を行ってほしい」と苦言が呈されました。
「耐震性能分科会」の非公開の決定は、有識者会議と耐震性能分科会の責任者
一番問題な、「耐震性能分科会の『非公開』を決定したのは、有識者会議の会長と耐震性分科会の会長である」との答弁がありました。
自ら「非公開」を言い出すような有識者会議会長と耐震性能分科会長は、大いに問題です。
耐震性能分科会は、科学的根拠に基づき、判断をしていくところなので、公開の場での議論によって、何ら結論が変わるものではありません。
むしろ非公開にしたことで、結果に疑念が持たれてしまいます。
有識者会議の委員選任が変更になりましたが、ますます狭い範囲での人選に
財政分野の委員が都合により変更となりました。
第1回目に参加した関西学院大学大学院の小西砂千夫教授から、東洋大学の沼尾波子教授になりました。
有識者会議の構成は、大学別にみると、東京大学が4人、東洋大学が2人、一般財団法人 計量計画研究所から1人の、合計7人です。
同じ大学のメンバーが増えたことになります。
東京工業大学関係者で占められている「耐震性能分科会」
「耐震性能分科会」は、東京大学大学院1人、東京工業大学2人の合計3人ですが、東京大学大学院の山田哲教授は長年東京工業大学に在籍し、東京大学に移りまだ長くありません。
要するに、「耐震性能分科会」は東京工業大学関係者で占められています。
身内の議論にならず、第3者的検証のためにも、幅広い委員構成であってほしいものです。
「取りまとめの段階」に入っている耐震性能分科会
6回開かれてきた耐震性能分科会は、「取りまとめの段階に入っている」との回答がありました。
しかし、耐震性能分科会も、有識者会議もいつを目途に結論が出されていくのか、全く示されませんでした。
「住民意見の正しい反映」についても、市は有識者会議任せ
第2回目の有識者会議議事録を読んでいくと、資産マネジメント分野の専門・根本氏が、「有識者会議は行政・議会・住民が判断するための材料を提供すること、『住民意見の正しい反映』のプロセスが予定されるかは大きな論点であある。パブリックコメントよりも踏み込んだ『合意形成の仕組み』が必要」との意見がありました。
この点で、「市が住民意見の反映のために何か考えているか」を質問すると、「有識者会議の結論を踏まえて」との答弁がありました。
何もかもが有識者会議任せ、市として庁舎整備について何も考えていないような答えばかりが返ってきました。
400億円超とも考えられる市政の重要課題について、あまりにも考えのない熊本市の姿勢は大いに問題です。
こんな状態で、建替えをすすめるべきではありません。