雨過天晴

ジャズとホークスとファッションなどなど
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そして時々飽きます

TACHIBANA

2018-08-17 | 音楽

昨夜は涼しかったし、今日もそれほど暑くありませんでした。

酷暑に慣れたせいもあるんでしょうか。

秋雨前線のおかげらしいのですが、このまま酷暑が終わるとも思えない。

できればこれくらいがいいんだけど。

 

さてジャズのご紹介なのですが、今日は今年のジャズ界で話題の作品です。

和ジャズの再販盤。

相澤徹カルテットで『TACHIBANA



TACHIBANA +2 (世界初CD化、限定生産紙ジャケット仕様、解説、ボーナストラック付)
DEEP JAZZ REALITY/OCTAVE-LAB
DEEP JAZZ REALITY/OCTAVE-LAB


 

1.Philosopher’s Stone
2.Sacrament
3.La Fiesta
4.Dead Letter
5.Samba De Orfeu

Tetsuya Morimura(ds)
Tohru Aizawa(p)
Kyoichiroh Morimura(ts,ss)
Kohzoh Watanabe(b) 

 

和ジャズの世界では中々手に入らない逸品として知られた存在だったようです。

そして和ジャズが人気の欧州で、ドイツのレーベルBBEから再発されました。

私はそれまで正直全く知らなくて、今年再発されたことで初めて知った次第です。

 

これがなかなか凄い作品で、なおかつドラマ性のある作品なんです。

詳しく知りたい方は、英文サイトですが下記をご覧ください。

 

"How a Japanese medical student and local businessman made one of the most coveted records of all time"


端折りますが、75年に作られた本作のリーダーはピアノの相澤徹。

このとき医学生。

そしてメンバーは森村恭一郎(音大生)と森村哲也(法学部生)の兄弟と、哲也の法学部の友人である渡辺好造。

全員学生だったのです。

 

そんな学生たちが群馬で活動していた時に彼らに目をつけたのは、地元の有力者でジャズ狂の橘郁二郎。

橘がパトロンとしてリリースしたのが本作になるのです。

タイトルは彼の名前から。

そしてアートワークは橘家の家紋。

本作はこのカルテットの名刺代わりに配布していたとのこと。

その数は150枚とも200枚とも。

その希少性と作品の強烈さとで幻のレアアイテム化していったのです。


オープナーは森村哲也の作曲。

70年代当時の雰囲気がある曲で、鋭い1曲目。

 


2曲目は森村恭一郎が作曲した叙情的な1曲。

ファラオ・サンダースやジョン・コルトレーンに傾倒していたという恭一郎なので、その影響を受けているのがわかります。



3曲目はチック・コリアの人気の1曲。

個人的にはミッシェル・カミオの演奏が好きです。

これで一気に盛り上がります。



4曲目は相澤徹作曲。

彼曰く「自分の精神から湧き出してきた」と言います。

出だしからピアノで圧倒していきます。

 


ラストは圧巻のサンバ。

熱気ある演奏でやはりドラムが輝いてますね。



このような作品が当時評価されて、発売されていなかったのが不思議です。

そして彼らのような十代の若くて優秀な日本人学生がいたことに改めて驚く次第です。

もしかすると私自身リアルタイムでジャズを聴いている今も、このような人たちがどっかのライブハウスで演奏しているのかもしれないですね。

だとすると後年「もったいなかった、観たかったなー」なんてことになりそうです。

名前を知らないとなかなか足を運ぶことがないのですが、ちょっとお試しでライブに突撃してみようかな。

 

ところで本作品の後日談。

平昌冬季オリンピック スピードスケートの小平奈緒が所属しているのは長野の相澤病院というのはニュースで知られたところ。

神様のカルテ」のモデルとなった病院です。

 

神様のカルテ (小学館文庫)
夏川 草介
小学館

 

ここで糖尿病の医師として活躍しているのが、本作のリーダー相澤徹です。

 

糖尿病センター | 各科・診療部門トップ | 社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院

 

本作をもってカルテットとしての活動はなくなり、相澤自身ジャズの世界から離れたようですが、別の分野で活躍されているのが素晴らしい。

いつかお世話にならないように生活習慣を改めねば。




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