雨過天晴

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長い長い殺人

2019-02-09 | 

久しぶりにガツンと身体に響き渡った本に出会いました。

宮部みゆき『長い長い殺人』。

 

 

長い長い殺人 (光文社文庫プレミアム)
宮部 みゆき
光文社

 

言わずとしれた人気作家。

私も知ってはいましたし、何度か手に取ろうとしましたが、結果読んだことがなく、今回が初めての宮部作品です。

 

本作のストーリーテラーは「財布」。

持ち主のキャラクターに合わせてそれぞれの意思を持ち、話の展開を伝えてくれます。

「財布」なので、自律行動はとれませんし、彼らから見えないものは伝わらないので、その辺りの不自由さがむしろ読者に状況を積極的に考えさせてくれます。

 

1件の交通事故死から話は始まり、それは連続保険金殺人事件へと繋がります。

疑惑をかけられた不倫カップルの状況証拠はいろいろと出てくるものの、それぞれに対して必ずアリバイがあり、物的証拠は見つからない。

本当に犯人はこの二人なのか、他に真犯人はいるのか。

 

宮部氏は本書をロス疑惑からの発想とのことでしたが、あの事件も含めてマスコミの報道スタイル、世論の動き、被疑者の立ち位置など考えさせられます。

そして人間の欲望についても。

自分の存在意義。

 

本書は20年以上前に執筆されていますが、全く色褪せない話の作り方に私は感心しきり。

彼女の代表作『模倣犯』を絶対読んでみたいと思いました。

 

模倣犯 全5巻完結セット (新潮文庫) [文庫] by 宮部 みゆき
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