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治らぬなら
治してみせよう
SLE
※SLEとはステキなレディーがなるエレガントな病気である。

ラヂオの時間

2006-02-08 12:16:10 | ☆映画・ミュージカル☆
【あらすじ】
あるラジオ局。いままさにラジオドラマ「運命の女」のリハーサルが終わり、本番を迎えようとしている。そんな直前になっていきなり主演女優千本のっこが自分の役名律子が気に入らず、メアリー・ジェーンにしたいと言い出す。すると、他の俳優達もわがままを言い出し、結局熱海が舞台のメロドラマがシカゴが舞台のアクションものへと、登場人物の名前もドナルド・マクドナルドなどはちゃめちゃなものに変更になってしまう。今回脚本が初めて採用された主婦の鈴木みやこは、どんどん変更される自分の台本を言われるがままに書き換えることとなる。俳優のわがままやスポンサーの都合などいろんな要素で組み替えられてしまう台本。みやこもずっとだまってその変更を手伝っていたが、最後に結末までかえるといわれ、それだけは反対した。どうしても主人公の二人には結ばれてほしいのだ。だがみやこの意見は無視。結局結末まで変えられて放送することになった。しかし、生放送の最後の最後でディレクター工藤の計らいで主人公の二人を無理矢理ハッピーエンドにもっていって放送は終了する。

【情報】
1997年に公開された三谷幸喜の第一回監督作品。

もともと、1993年に三谷幸喜が主宰する劇団「東京サンシャインボーイズ」の作品として上演された。三谷が初めて手がけた連続ドラマ「振り返れば奴がいる」の脚本が、三谷の与り知らぬところで書き直されていた、という経験から生まれた作品。

日本映画には珍しい、テンポの良い展開と、絶妙な笑いで大人気を博し、賞を総嘗めにした。またベルリン映画祭に出品された作品であり、「ドイツ人がこれほど笑うところをみたことない」と三谷は語っている。

【所感】
 たくさんの人が協力し一本の作品を創り上げるというのが通常の演劇作品の特徴であるが、この物語では、一本のラジオドラマを作るのに、みんながみんな自分の都合を主張し協力しようとしない。まさに意表をついた内容であり、たくさんの人が自己主張をしてできた作品なのに最後には全員が一つのものを創り上げた達成感と共に終わっているのが面白い。ささいなわがままからどんどんはちゃめちゃになっていくラジオドラマの内容にも注目である。メアリー・ジェーンやドナルド・マクドナルドなど突拍子もない登場人物の名前や設定もパチンコ店の主婦から女弁護士、漁師からパイロットなど破天荒なものに変更になってしまうところが笑いをさそう。元々舞台の脚本だからか、映画を見ているというより舞台を見ているような感覚である。そんな舞台の要素を含んだ今までの邦画にない新しいコメディーの形である。