毎週土曜日に放送中の「ブラッディ・マンデー」、たまたま、初回を見た流れで、第2話も見てしまいました。
※平日だと、帰宅が遅く、連続ドラマなんて見れないのですが、土曜日だと安心です。
さて、この2話で、不思議なシーンがありましたよね(下記)。
- 最初の患者さんが自分の症状について不安になり、採血中の注射を奪って看護婦さんを刺す
- 看護婦さんは、「自分の人生も終わった」という感じで大パニック
- しかし、結局、発症はせず
というもの。
多分、ドラマ的には「このウィルスは感染力が弱いものだった」という説明で、先に進みそうな気がしますが、もう少し深く考えると、そんな簡単なものではないことが分かります。
それは、
- このウィルスはスプレーのようなもので噴霧されたので、粘膜系からの感染
- つまり、傷口からしか感染出来ないようなウィルスよりも感染力は強い
- で、看護婦さんは血液で汚染された注射針を刺されたので、当然、感染するはず
という点です。
では、最初の患者さんでは発症するのに、次の看護婦さんでは発症しないようなウィルスは作れるのでしょうか?
「ガリレオ」の湯川先生(福山雅治さん)風に言うと、「実に興味深い」ので、考えてみましょう。
まず、こういうウィルスを作る時って、複数のウィルスから良いとこ取り(悪いとこ取り?)をしていきます。
この「他のウィルスから必要な遺伝子を別のウィルスに導入する」といった場合には「プラスミド」という環状の遺伝子が利用されます。
この「プラスミド」の特徴ですが、
- 一般にウィルス等の原核生物が持ち、細胞の核の中の遺伝子とは別に、細胞質中に存在する。
- ウィルス等に+アルファの特性を付与するために働くことが多い(抗生物質耐性etc)。
- 世代が進むと、導入した「プラスミド」が欠落していくことが多い。
- 欠落を防ぐためには、常に「プラスミド」を利用している条件(=選択圧)で生育させる。
- 具体的には、「(通常、ウィルスを殺す)抗生物質」に耐える物質を生産する遺伝子を組み込む。
最後の「組み込み」により、抗生物質を添加した培地での生育では、プラスミドを持つウィルスのみが生き残る訳です。
これで謎が解けました!
つまり、最後の「組み込み」の際、同時に「毒」を生産するような「プラスミド」を作っておけば、
- 抗生物質があるところでは、「毒」を作るウィルスばかりが増える
- 抗生物質がないところでは、無毒のウィルスばかりが増える
ということになります。
あとは、最初の患者さんが抗生物質を常用している(もしくは、風邪などで飲用している)という条件が揃えば、先の状況が起こり得る訳です。
いかがでしょうか? (To 吉瀬美智子さん)
ドラマでは、そこまで説明はしないと思いますが、次の土曜日が楽しみになりましたね!
ウイルスは、原核生物ではないのでプラスミドは関係ないと思います。それとも、炭疽菌のような芽胞を形成する原核生物として、ベクターを使って形質転換したと仮定しても、抗生物質がない状況でも菌は成育するので毒素遺伝子の発現は起こり、残念ながら発症するはずです。
「実に興味深い」ですね。
やはり、むかーしの授業の知識レベルでは「謎は解けない」ということですね。。。
実はドラマの方でも(当然ながら)「どの手のものか」の説明はありません。
が、?な部分が多いですね。
プラスミドで真核生物に相同組換えを起こさせる方法もダメですよね?(常に発症するパターン)
もし、原作の小説版なんていうのがあるなら、目を通してみたい気はします。
いずれにせよ、次の放送を見てみます。
と、私も、もう少し、勉強を致します。
最後に(あらためて)貴重なご意見を頂き、まことにありがとうございました。