5日に56歳で死去したアップル前最高経営責任者スティーブ・ジョブズ氏が育ち、同社を興したのも、東西を山で囲まれたこの谷あいの地域だ。ジョブズ氏スタンフォード大での演説で、が育った家は、名門スタンフォード大からほど近い、街路樹に囲まれた静かな住宅街にある。三つの話がある 「点と点をつなげること」「愛と喪失」そして「死」。時に感情を抑えられないような声色を交えた物語は約15分間。大学院生の未婚の母のもとに生まれ、すぐに裕福ではない家庭に養子として引き取られたこと、アップルの誕生とその光と影、そして自分の病のこと――。人生を凝縮した演説は、今も語り継がれている。
ハイテク産業が集積し始めた1970年代のシリコンバレーで、コンピューターの魅力にとりつかれる一方、ヨガや仏教などに傾倒した青春時代。変わり者と言われ、周囲と衝突しながらも、信念を貫き、自由に生きようとした姿は、若者だけでなく、多くの企業経営を目指す人々の共感を得た。
ジョブズ氏は最後にこう訴えていた。
「貪欲であれ。愚か者であれ」