サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

サンタナ・ハンコック・ショーター in 横浜アリーナ

2005年07月31日 02時03分50秒 | ライブ
「Emissaries for Peace」、平和の使者
という意味の副題がついた、
カルロス・サンタナ、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター
という音楽界の凄い三人の共演が見ることが出来る!
ということで、勇んで7月27日水曜日に
横浜アリーナに駆けつけました。

水曜という平日にも関わらず17時半開場18時半開演と無茶な
時間設定を嘆き、仕事を早く終わらせて神保町から、
言葉通り横浜アリーナまで駆けつけるものの(遠い!)、
既にコンサートは始まっている!

のっけからパーカッションの洪水に、
一音で分かるサンタナ特有の高音のチョーキング、
更にうわ!誰だこのチョーキングは?
と思ったら、ウェイン・ショーターのブロウだった。
ん~今日は凄い一日になりそうだ!と思い席に着く。

先にセットリストを紹介すると、

SET LIST
1.NOVUS
2.I AM SOMBOY
3.EL FUEGO
4.PUT YOUR LIGHTS ON
5.AYE AYE AYE
6.CONCERTO/MARIA MARIA
7.FOO FOO
8.SPIRITUAL/SUN RA/YALEO B & D SOLO
9.WAYNE AND HERBIE
10.IN A SILENT WAY/IT'S ABOUT THAT TIME
11.EXODUS
12.JINGO
アンコール
13.APACHE
14.LOVE SUPREME

始めに断っておくと、私は正直サンタナの全キャリアを知っている訳でもないし、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターの両名についてもちょっとばかりの知識とアルバムを何枚か持っている位なものである。なのでSET LISTを載せてみたものの、知らない曲が多い。しかし知らなくても、サンタナのギターや各プレイヤーの妙技は、やはり皆さんキャリアが長いだけあって充分楽しむことが出来た。

ステージの見た目の印象は人が一杯いるなぁ、ということ。
全体的には、サンタナのバンド
(アナウンスがないのではっきりとは分かりませんが)
にショーターとハンコックが加わった形をとっていて、
ドラム、パーカッション、二管、ベース、サイドギター、
キーボード、シンセギターのバックに、この三人が加わる。
ということでステージはなんだか所狭しとなっている。
更にハービー・ハンコックは、
グランドピアノと様々なキーボード群に囲まれている。

そしてステージ上の進行もサンタナお得意のラテン・ロック、
更にはスーパーナチュラル以降顕著になっている、
ラテンロック風味のポップス(この時にはボーカルが出てくる)
中心に進行。バンマスもサンタナのようで、ソロの振り分けを
やたらと指示している。その分熱いギターソロがおざなりに
なってしまう部分があるようでちょっと残念。
そしてサンタナの曲中心なので、ショーターやハンコックの
出番も少なめ、ソロをとるときも若干無理をしていそうな
感じさえしました。

ようやく面白くなってきたと思ったのは、
ベーシストとドラマーのソロが終わってからのこと。
(ちなみにベーシストは、ベースで「イマジン」を弾いてました)
この間、メンバーは幕の中へひっこんでいたので、
あるいは第二部的な意味もあったのかもしれない。
その9曲目は曲名は分からないが、
ショーターとハンコック二人だけの曲。
ひょっとすると完全な即興かも知れない。
この辺りは詳しくないのでなんとも言えないのですが、
最初ハンコックのシンセの音に様子を見ながらショーターが
サックスでもって対戦する。その掛け合いは徐々に熱くなり・・・
それは静かなやりとりながら見てる側も熱くなるような演奏で、
私は単純にクール!と心の中で叫びました。

続いてはこの日一番嬉しかったかも知れない、
本格的なジャズ・ロックの歴史を切り開いた、
マイルス・デイヴィスの「イン・ア・サイレント・ウェイ」!
私の以前の記事でも、初期サンタナがこの曲をフィルモアで
披露したという話はしましたが、2005年の今、サンタナの
サイレント・ウェイが聞けるなんて!

サンタナはマイルスに影響を受けたと公言しているが、
当時はそれと同じくらいジョン・マクラフリンにも影響を
受けていたのではないだろうか?この曲は元々マクラフリンが
ギターを弾いていたし、サンタナとバディ・マイルスとの
ライブ盤でもマクラフリンの曲を取り上げている。
その思いはアルバム『魂の兄弟たち』という
サンタナとマクラフリンの大いなる邂逅によって
果たされた訳だがこのアルバムでのフレーズがマクラフリンに
酷似しているので影響を受けていたので間違いないだろう、
と思う。

そんなリスペストする二人のミュージシャンが参加した
「イン・ア・サイレント・ウェイ」だが、今回は
その時にピアノを弾いていたハービー・ハンコックと
サックスを吹いていたウェイン・ショーターの
本物のマイルス・チルドレンが二人もいる。
サンタナは相当嬉しかったのではないだろうか。
見ているコチラも相当ワクワクして見ていました!
あのEの印象的なギターリフ?から始まり、
そこにウェイン・ショーターの幻想的なサックスが絡むと
あたかも当時の様子が垣間見ることが出来るような
熱いステージが現出した。
この曲ではハンコックもショーターも充分にそして自由に
ソロをとっており聞き応えがあった。
惜しむらくはもうちょっとサンタナに熱いソロを
とって欲しかったということだけ。
あのロックなリフに展開した時点で格好良いソロ
聞きたかったなぁ!

そして「JINGO」でもってクライマックスへ。
ラテン・ロックは大好きですが、席をたってワーワーって
どうも苦手なんですが、この曲はいつ聞いても格好良い。
ここぞとばかりに高音チョーキングをキュイン・キュイン
言わせまくり!ほぼ12フレット以降、
それも17フレット付近が多いと思われるが、
歪んではいるものの、音そのものに全く曇りがない。
非常にクリア。なんて素晴らしく、
スピリチュアルな音なんだろうか!私が目指すのは
クラプトンと並んでこのサンタナのチョーキングです!

いったんこの曲で終わるものの、
すぐにメンバーはステージに復帰。
アンコールで二曲を演奏。
その最後の曲はショーターの重厚なサックスからゆっくりとした
テンポで始まったものの、このベースラインといい、
サンタナが歌っているというか唱えている呪文の
ようなものといい、これは正しく「至上の愛」ではないか!
この曲も元々先ほど挙げた、ジョン・マクラフリンとの
アルバム『魂の兄弟たち』の一曲目に収録されていたもので、
ジョン・コルトレーンの曲である。
まだまだ未熟なので本元であるコルトレーンVer.を聞いたこと
がないのですが、『魂の兄弟たち』は行きの電車の中で
ウォークマンでちょうど聞いていたので、
こんな嬉しいことはない!と思いました。

関東ではこの日一夜限りの公演。平和の使者ということで、
長崎や大阪を巡り最後に広島での公演で終わりとなる
このツアー。純粋なサンタナファンは、ショーターハンコックが
いることを承知しつつも、「あの曲やってないぞ!」や
「もっとギターを聞かせろ!」と思ったかも知れない。
ショーターやハンコックのファンだって、
あまり活躍していなかったので釈然としているかも知れない。

しかしこの3人の組み合わせだからこそ、
出来た曲があったと思うし、そういった曲というのは、
普段の各自のコンサートでは、
滅多にやらないような曲であったに違いない。
私は上でも述べたように、
「イン・ア・サイレント・ウェイ」と「至上の愛」
がこの三人によって奏でられ、
それを目撃出来たことだけでも、幸せです!

追伸、
ここであげたセットリストは、
珍しいことに終焉後のロビーにセットリストが掲げられており、
それをメモして応用したものです。
それによると10曲目と11曲目の間にもう二曲予定されて
いたらしいですが、黒塗りになっていました。
元々なんだったかわかりませんでしたが、
時間の関係かなにかで演奏されなかったというのは
非常に残念です。もっと聞きたかった!

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2 コメント

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ありがとうございます (あきら)
2005-08-02 13:40:27
とても詳しい内容に、やっぱり行きたかった…と後悔です。



セットリストを見ただけでも充実した曲目で、好みです。

『至上の愛』生で聴いてみたかったな~。

ちょうど、『スイング・ジャーナル3月号』に

今回のライブについて特集が組んでありました。



そこで、サンタナのマイルスへの敬愛する気持ちなど

綴られておりまして、ますます聴きたかったのです。



着いたときの、舞い上がって来る気持ち。。。

いいですねー!!



ホントありがとうございました。
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Unknown (Matsuoka)
2005-08-03 08:15:50
あきらさん、大変お待たせしました。気に入っていただけた様で光栄です。やはり至上の愛などの珍しいナンバーはとっても嬉しかったです!スウィングジャーナル読んで見ますね!そういえば、ハンコックのソロ作にサンタナが参加するらしいですよ。でもサンタナ本人のソロアルバムは延期みたいです・・・
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