サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

スコーピオンズ/恐怖の蠍団

2005年06月01日 23時06分24秒 | 洋楽
後輩からフーの紙ジャケについてのトラックバックを受け取りました。
彼のみならず、自他ともに認める紙ジャケジャンキーな私です。
思い起こせば、初めて紙ジャケ全タイトルを集めたのはツェッペリン。
(一番最初のものです。その後日本盤の帯を模したバージョンが出た)
そして全タイトル一気に買う大人買いをしたのはフリーの紙ジャケでした。
ユニオンで全タイトルが収まる出来も秀逸なBOXが特典で付きました。
まだ大学の頃の話です。大学時代はお金がなくあまり買えませんでしたが、
働き始めてからは大量買いも当たり前。
クリムゾン紙ジャケまとめ買い(ボックス付き)、
ソフトマシーンまとめ買い(ボックス付き)、バーズまとめ買い(ボックス付き)、
フーもまとめ買い(ボックス付き)、ストーンズまとめ買い(ミニチュア帯付き)、
ピンクフロイドまとめ買い(ミニチュア帯付き)、
コロシアムまとめ買い(帯&箱付き!)
ジェフベックまとめ買い(ボックス付き)などなど・・・
もうバカですね。はは。20代にして完全な紙ジャケジャンキーです。

これからもまとめ買い必須なタイトルが目白押しで経済的には非常に厳しい。
でも嬉しい。これから買う予定をざっと挙げると、
・CAN紙ジャケ全部で8タイトル(二回に分けて)
・サンディーデニーソロ4タイトル
・ジェファーソン・エアプレーン全タイトル(延期になってましたが遂に発売!)
などなど・・・細かく挙げればきりがありません。
はぁ、やっていけるかな。

なぜ紙ジャケなのか。全くのアナログ世代でもないし(あ、でも子供の頃まだ
ソノシートはかろうじて存在してました)。オリジナルを再現する目的なのが、
なんか当時の空気が吸えるような気がたまらないのもあるし、
限定版というのも大きい。私はなんでも「限定」というのが非常に弱い(笑)
また特殊なギミックのある特徴のあるジャケット(ストーンズでいうなら、
スティッキーフィンガーズ、もちろんあの有名なジッパーのものですね)を
果敢にもCDサイズで復刻してしまおうとする、日本人の手の細かさ!
日本人はミニチュア化するのが好きで得意でもある民族であります。
紙ジャケを買うことによって私は強烈に日本人を意識します。
というのは大げさですが。さらにディスクユニオンでは良く特典で、
当時の日本盤の帯を再現した「復刻ミニチュア帯」や
紙ジャケが収納出来るボックスを先着でくれます。
これが嬉しい。私は「箱」よりも「帯」派なんですが、
ジャケットがちっちゃくなるなら、帯も再現されて完璧でしょ!
というわけで俄然テンションがあがります。またボックスも、
家では散らばりがちな紙ジャケを上手いこと収納出来るので便利。
それに箱のアートワークもなかなか秀逸なのです。
マニア心をくすぐりますね。というわけで、当然マニアの中ではこの
特典があるなしで取引される値段が大きく変わるのです。
元々2500円だったものが、ミニチュア帯付きでウン万円というのもざらです。
まぁ興味ない人に取り立てて勧める気もありません。
これはもう完全に趣味の世界ですから。でも私は特典が付くからといって、
やたらめったら手を出しているわけじゃないんです。
買おうを思うのは、やぱっり商品ありきですね。だから今まで持ってなかった
ビッグアーティストものとか元々欲しかったバンドや興味のあるバンドなどです。

というわけで大分話がそれましたが、スコーピオンズのファーストです。

今回の紙ジャケは、ドイツの「ブレイン」レーベル絡みでの紙ジャケの発売で、
その他のタイトルはグルグルやクラスターなどのラインナップだったので、
ちょっと毛色が違うかなぁと思ったんですが、ディスクユニオンでミニチュア帯が
付くというので購入してしまいました(こればっかり)。

そのミニチュア帯には、勇ましくも
「世界を恐怖の毒蠍旋風に陥し入れた荒くれ野郎ども、
 鮮血のスコーピコンズ《蠍》、今その全貌をあらわす!」
とあります。

ミニチュア帯は、当時でしか考え付かないような帯文句が
素晴らしいんです!これは世代とか関係なく楽しめる!
例えば最近紙ジャケ化されたフォザリンゲイの帯には、
「サンディー・デニーの美しいヴォイスが君達のハートを
 ショットするはずなのだ!!」と書かれています!
ショットするはずなのだ!!って(笑)
妙に微笑ましくあり、素敵です。

スコーピオンズといえば、アクセプトと共にドイツを代表する
ハードロックバンドとして知られています。
ギタリストのマイケル・シェンカーはこの筋では「神」として祭られています。
と、書くとあぁそっちの方なのね、と思われがちですが・・・
というわけで、このスコーピオンズの1972年作のファースト、
「Lonesome Crow」、邦題「恐怖の蠍団」。
ずばり言ってしまうとこれはブリティッシュ・ロック・アルバムです!
それもかなりレベルが高くて素晴らしいアルバム!
勿論ドイツのバンドと知ってて書くのですが。

彼らが尊敬していたというジミヘン、クリーム、ツェッペリン、ユーライア・ヒープ、
スプーキー・トゥースといったバンドのエッセンスを取り込み、
そこにドイツ(ヨーロッパ)らしいシンフォニックな要素を盛り込み、
仕上げはマイケル・シェンカーの素晴らしいギターワークを切り込ませる。
そしてその出来上がりは、何とも憂いを帯びながらも熱い血がほとばしる
ブリティッシュ然としたアルバムの完成でした。これにはイギリス人は
びっくりしたのではないでしょうか?ドイツからこんなサウンドを持ったバンドが
出てくるとは?といった感じで。

マイケル・シェンカーのギターはデビュー作ということもあり、
まだまだ甘いところがありますが、それを加味しても素晴らしい出来。
ブルースを基調としながらも手数の多い切れ味鋭いフレーズ。
そして少しジャジーな要素も入っています。
この感じは同時代に活躍したイギリスのハードロックバンド「パトゥ」の
ギタリスト、オリー・ハルソールに似ているかも知れない。
しかしなんとこのデビュー作時、マイケル17歳!!!若!
これは四人囃子の森園勝敏氏よりも若い???(どんな比べ方だ・笑)
そりゃ、神にもなるわ、と納得。

このアルバム発表後、ドイツにライブにきたイギリス勢のバンドの前座などを務め、
そこでUFOの目にとまり、マイケル・シェンカーがUFOに加入。
その後は自己のバンド、マイケル・シェンカー・グループを結成し、
その人気を不動のものにする。未だに彼のギタープレイに
キッズ達(年齢なんて関係なし!)が魅了され続けている!
かく言う私もin to the arenaにはやられっぱなし。名曲です。

そんなマイケル・シェンカーがいたスコーピオンズですが、
先ほども書いたとおり、なんともブリティッシュ然とした佇まいのアルバム。
タイトル曲「Lonesome Crow」は13分を超えるプログレッシブ・ハード・ロック
とも言える傑作を残していますし、その他の曲もスピード感溢れたいい意味での
ハードロックを聞くことが出来ます。ハードロックやマイケル・シェンカーなどに
興味がない諸氏に敢えて聞いていただきたい素晴らしいアルバムだと思います。
勿論マイケル・シェンカー好きにも聞いて欲しいです。

このアルバム時のメンバー:
ルドルフ・シェンカー(g)、マイケル・シェンカー(g)、
クラウス・マイネ(Vo)、ヴォルフガング・ズィオニー(ds)、
ロター・ハインベルグ(b)

紙ジャケの歴史やデータベースは、やはりここ!「紙ジャケ探検隊」のHP