スピリチュアリズム・ブログ

東京スピリチュアリズム・ラボラトリー会員によるブログ

【スピリチュアリズムの12の救い】(6)魂は孤独ではない

2011-01-03 00:01:19 | 高森光季>スピリチュアリズムの12の救い

 一人一人の魂は、「類魂」と呼ばれる集団に属しています。
 類魂のメンバーは、共に生まれ変わりをして、家族や恋人・友人になったりすることもありますし、またまったく見知らぬままの場合もあります。メンバーの数はまちまちですが、一桁から二桁という規模だとされています。ただし、類魂の中には、四ないし五ほどの魂からなる「心霊原子集団」(psychic atoms)があり、また、類魂がさらに結びついて大きな「心霊族」を形作っているとされています。大きく捉えれば、人類はみな、巨大な心霊族グループの仲間とも言えます。
 類魂は現実にかかわりあったり、見えない仕方で連絡を取り合ったりしています。愛し合ったり、憎み合ったりする場合もありますし、ある大きな活動の中で影響を与え合ったりする場合もあります。

 類魂という概念を初めて伝えたのは、20世紀前半のマイヤーズ通信でした。そしてその概念は、その後の「死後存続研究」の中で、追認されるようになりました。それぞれ独立した探究の中で、「魂はグループを作っている」ということが明らかになっていったのです。
 中でも、類魂問題を多くの人に知らしめたのは、「前世療法」の実践者たちでした。彼らは、被験者が前世の記憶を甦らせた際、「現世で知っている人(親や配偶者や友人など)が、(関係性は違うが)前世でも周囲にいる」ことをしばしば報告することに気づきました。
 前世療法を世に広めたのは、ブライアン・ワイスの著作でしたが、そこでは、運命の恋人である「ソウル・メイト」をめぐってのロマンティックな物語が描かれました。それを読んだ人々の多くは、「自分にも運命の恋人がいるにちがいない」といった夢を抱いたようですが、ソウル・メイトは、必ずしも恋人とは限らず、場合によっては憎み合う家族や知人であったりします。

 このほかに、ITC(機械を使った霊界交信)でも、ブラジルのスピリティストでも、「マイヤーズの類魂説」は言及されています。マイヤーズ通信より少し後から始まり、20世紀後半まで継続した「シルバー・バーチの霊言」でも、同様の見解が述べられています。

      *      *      *

 類魂の問題は、単に魂がグループをなしているといった単純な問題ではありません。それは、魂の進化成長や生まれ変わりといった問題と深くかかわる、非常に奥の深い概念です。類魂説は、スピリチュアリズム霊魂論の中核をなす考え方なのです。

 マイヤーズ通信では、魂は高次の霊界(普通に「死んで生まれ変わりをする」といったコースよりさらに高い霊界)において、「類魂の経験を共有するようになる」と言っています。
 《自我が意識の階梯を登っていくに従って、他の種類の魂たちの心に近づいていく。私はすでに、千とか百とか、あるいは単に二十ほどの魂が一つの霊に養われていると述べたことがある。類魂の意識は存在のレベルが上昇するにつれて増大する。いつしか彼らは類魂の中の他魂の記憶の中に入りこみ、その経験を知覚し、あたかもそれが自分自身のものであるように感ずることができるようになる。精神は最終段階においては共通のものとなる。霊にとっての統一原理とは、たえず大きな調和、言い換えれば、より大きな統一体を生み出そうという傾向なのである。様々な個体はだんだんと混じり合い、経験と心において一つになり、やがて夢にも思わざるほどの巨大な知力の次元を達成するのである。》(『不滅への道』第4章)

 つまり、類魂は、高次の次元に行けば行くほど、一つに融合されていく(それぞれの個人性がなくなるということではない)ものであり、逆に言えば、今の私たち一人一人は、こういう「大きな魂」の一部分であるということになります。

 《類魂は一にして多である。一つの霊が全体に生命を吹き込んで多数の魂を一つにまとめている。》(『不滅への道』第6章)
 《死後のこちらの世界で、われわれは進歩の度合いに応じて類魂というものに気づかされていく。結局われわれはその中に入っていき、わが仲間たちの経験を自分のものとする。それゆえ魂としてのわれわれの生活は――自分の個人的自我は別として――二重生活なのだということを理解する必要がある。私は同時に二つの生を生きる。つまり、一つは形態の中での生活、また他の一つはわが属する共同体〔類魂〕の意識の中での心的な生活である。》(同前)

 この問題は、生まれ変わりの不思議さとも関わってきます。私は幾度も地上に生まれ変わっている。しかし、それぞれの私は、現世の私と同一の私でありつつ、現世の私とは異なる(私の前世人格は霊界に存在し、場合によっては別個の人格のように現世に出現することもある)。
 こういった神秘的構造について、シルバー・バーチは次のように語っています。

《“今のあなた”という意識とは別に、同じく“あなた”と言える大きな意識体があります。それのホンの一部(分霊)がいま地上という物質界で“そのあなた”を通じて表現されているわけです。そして、あなたのほかにも同じ意識体を構成する分霊が別の世界で表現されております。個々の分霊は独立していません。あなたも他の分霊も一個の中心霊の側面です。つまり全体を構成する一部であり、それぞれがさまざまな媒体を通して自我を表現しており、時おりその分霊どうしが合体することもあります。ですから、分霊どうしが霊的に無縁というわけではありませんが、互いに意識するのは何らかの媒体を通して自己表現し始めてからのことです。そのうち合流点にたどり着いて、最終的には全体としての一つに再統一されます。》(『シルバー・バーチの霊訓』4、56-7頁)

 難しい内容ですが、要するに、類魂のそれぞれも、また、私のいくつもの前世人格も、すべてが「大きな魂」の一部であるということになります。私は、私という個人でありながら、その大きな魂でもあるというわけです。

      *      *      *

 ですから、どんなに孤立しているように見えても、魂は孤独ではありません。私たちは、自分の人生を生きていると同時に、多くの類魂とともに生きているのです。
 今、社会の様々な共同体が崩れ、人との濃密なつながりを失っている人が多くいます。若い「引き籠もりニート」の人たちは、「孤独」「友達がいない」ことを嘆いています。
 それでも、人は類魂とともに生きています。そのつながりは目に見えないものかもしれない。もっと先にならないとわからないものかもしれない。今は孤独に自分と向き合うことを課せられているのかもしれない。

 孤独だから、世間とつながりがないから、生きていても仕方がない、などと思わないでもらいたいのです。次の項でもまた触れますが、どんな魂の体験も、類魂の、そして人類全体の体験を富ませるものです。私たちがするどのような体験――苦しみも悲しみも――私たち個人のものではなく、類魂全体の体験となるのです。
 マイヤーズ霊の次の言葉は、何と言う勇気づけになるでしょうか。
 《あなたのおかれる境遇がどうであれ、あなたは人生を生きた芸術につくりあげ、あなたの属するグループ〔類魂〕の人たちの生活を富ませることができる。そのことをどうか忘れないように。》(『不滅への道』第3章)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿