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寺田鎮子・鷲尾徹太著『諏訪明神』をお薦めします

2011-08-31 00:43:01 | 高森光季>その他

 なかなかブログで取り上げる機会がありませんでしたが、小生の知り合いが書きました本をご紹介させていただきます。
 寺田鎮子・鷲尾徹太著『諏訪明神――カミ信仰の原像』、岩田書院、2010年3月、2400円+税

 この本は、長野県茅野市・諏訪市に鎮守する「諏訪大社」の信仰を歴史的にたどり、その基底にある「カミ信仰」を明らかにした本です。
 諏訪大社というのは、あの「御柱祭り」(6年に一度、山から大木を伐り出し、神社各社殿の四方に柱として建てる祭)で有名です。
 けれども、御柱祭りは、実は中世に発達したもので、一番大切な祭りではありません。諏訪信仰の核心にあるのは、生き神「大祝(おおほうり)」を中心にした「ミシャグジ」への信仰でした。
 「大祝」は古くから「神(みわ)氏=後の諏訪氏」によって代々世襲されてきたもので、本来は、童子の時に即位し、嫡子が即位するまで在位するそうです。冬の間三ヶ月ほど「御室(みむろ)」に籠もり、春には盛大な祭を行なって、領内に「代理の童子」を派遣して「ミシャグジ」の「豊穣力」を分け与えます。この春の祭り「御頭祭(おんとうさい)」は、かつては贄として鹿の頭がずらりと並べられたという奇祭です。(大祝は明治初期まで一応形式的には存続していたようです。)
 こうした不思議な諏訪信仰のありようを通して、日本の「カミ信仰」の原像に迫ろうとしたのが本書で、「神道とは何か」を考える上で重要な研究と言えるでしょう。

 諏訪明神信仰が面白いのは、次のような点があるからです。
 ・縄文の信仰を受け継いでいる(八ヶ岳山麓は縄文文化のメッカでした)
 ・生き神「大祝」が中心(祭司王としての天皇を考える上でも貴重な事例)
 ・6年ごとの遷宮という古く貴重な形式を保持している
 ・古態的な狩猟文化(信仰)の色彩を強く残している
 ・「ミシャグジ」という、おそらく「自然霊(のパワー)」への信仰を持ち、「カミの人格化」や「神仏習合」以前の、古態の神道を彷彿とさせる
 ・「御室入り」という、日本の典型的民俗宗教儀礼「籠もり・生まれ清まり」の儀式を持っている

 神道の一つの柱は、「自然霊・土地霊」信仰です。その側面を様々な儀礼から明らかにした、面白い本ですので、ご興味のある方はぜひご一読ください(つか、どうか買ってあげてくださいw)

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 神道についてシリーズで書いてみようかとずっと思っていたのですが、なかなか重い腰が上がりません。そこでまずは上記の本を紹介した次第です。


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