生きるということは苦悩を伴うものです。ブッダは「生は苦である」と言った。生まれること、老いること、病むこと、死ぬこと、愛する者と別れること、憎む人と会うこと、求めるものが得られないこと、物事に執着すること……。要するに生の営みすべてが苦をもたらす、と。 もっとも、世の中には、あまり生を苦と感じない人もいるようです。たまたま恵まれた境遇に生きているせいもあるのかもしれ . . . 本文を読む
静かで、安らかな人生を送りたい。そう望む人は多いようです。 なかなか難しいですね。まずは、経済の問題があります。おおかたの人は苦労してお金を稼いで食べていかなくてはならない。それではなかなか「静かで安らかな人生」は難しい。 ごく少数の人は、何らかの理由で、お金を稼ぐ必要がない。しかし、だからと言って、悩みが何もないかというと、そうでもない。それどころか、とんでもない苦悩や心配を抱えている人 . . . 本文を読む
死への恐怖というのは、一部の人を除いて――死後存続や他界の実在を確信している人などを除いて――、誰にもあるものでしょう。この恐怖は、最大の苦悩のもと、しばしば生の喜びに水を差すものとさえ捉えられています。 ただ、一口に死の恐怖と言っても、そこにはいろいろな相があるようです。 ・自己の消滅ということへの哲学的・直感的恐怖 ・愛する人や慣れ親しんだ世界への決別の恐怖 ・死んでいくプロセスの苦 . . . 本文を読む
人間の欲求に、階層があるということを提唱したのは、A・マズロー(マスロー)でした。彼は、最も根源的な生理的欲求の上に、安全欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現欲求という高次な欲求群があると主張しました。 このモデルの「一番高次な欲求」が「自己実現」です(晩年にはその上に「自己超越」の段階があると主張しましたが)。 「自己実現欲求」とは、ウィキペディアの記述を流用すれば、「自分の持つ能力や . . . 本文を読む
どうもよくわからないのですけど…… けっこう多くの人が「幸福になりたい」と言うようです。 いわゆる「スピリチュアル」(笑)の書名でも、「すぐに幸福になるためのなんちゃら」とかいうような感じのが多いですよね。 正直、私はこの「幸福」というのがよくわからないのです。幸福になりたい? 「こういうものがほしい」「こうなりたい」という欲求は誰でもありますよね。私もそうい . . . 本文を読む
どこかで読んだ言葉にこんなのがあります。 「人生なんて単純なものだ。複雑なのは人間関係に過ぎない。」 まあ、その通りでしょう。人生というのは、食って、寝て、やって、「わあ」と喜ぶか しゅんとするか。しかし人間関係は、ああじゃこうじゃもつれてややこしい。 好きであったのが嫌いになったり、善意で対しているつもりがとんでもない あしらいを受けたり…… 今ふえている引 . . . 本文を読む
人生というのは、食べていく、生き延びていくだけでも大変なものだけれども、往々にして人は自らそれをもっとややこしい、難儀なものにしてしまうようだ。性欲や権力欲・名誉欲などの「無駄に大きくなりすぎた欲望」もその要因だが、さらに手強いのが「性格」というものである。 人の性格にはいろいろとある。十人十色、千差万別。「性格」を持っていない人はいない。ただ、それが当人や周囲の人を苦しめる場合もある。単にあ . . . 本文を読む
私は男です。言わなくてもわかっていると言われるでしょうけど、このテーマは、やはりあらかじめ断わっておかないといけないように思います。つまり男ゆえの偏見が入っていることを。 性の問題は男からの見方と女からの見方は、かなり違うような気がします。 人間は、たいてい、性の欲望を持っています。けれどもそのあり方は、男か女かによって、だいぶ様相と強さが違うらしいのです。 性欲というものは、単に肉体的 . . . 本文を読む
人間にとって一番の苦労は、肉体という牢獄に閉じ込められていることでしょう。 「私は、いかにして〔霊という〕この大いなる富が〔肉体という〕この貧困の中に住むに至ったかに驚嘆している。」(『トマスによる福音書』29) 「地上の普通の不可知論者の考えているような土くれの肉体の中に住むことなどは、われわれからみればまさに死せる状態としか思われないからである。」(『不滅への道』序文) 「地上生 . . . 本文を読む