Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ローカル線のこれから

2009-06-30 12:24:56 | つぶやき
 鉄道という縦割りされた空間は、JRという会社の管理空間であって、部外者には入れこめない空間である。ようは車が往来している道路とは大きく異なる。しかし、どちらも公共性の高い空間であって、その空間を個人的に利用するのは制限されるべきものなのだろうが、やはり鉄道と道路は全く異なる。道路の端で無人市を開くことはできるが、鉄道敷の駅のホームでそれをすることはできないのだろう。そもそも駅にしか停まらないのだから、駅ではない場所で開いても何の意味もない。そして駅のホームはそれほど広い空間ではないから、そんな場所で店を開くなんていうのも簡単にできるものではない。そもそもろくに客の乗っていない空気だけを運んでいるような飯田線のホームで物売りをしたところで買う人はまずいない。だからこそKioskですらめったに販売店を置かないのだ。

 かつてわたしの生家のあった駅には、駅を降りるとそうした乗客が立ち寄るような店があった。もちろん乗客だけでは商売にならないから、地域の住民も少なからず利用していたのだろうが、その店で売られているものはタバコと菓子、そして気休め程度の日用品だった。いわゆる一銭店的な存在だったのかもしれないが、いずれにしても駅前にあった店はその店一軒だけで、町の中の店ではなく、田舎にぽつんと看板もなく開いていた店であった。そういえばおばさんが同じ町内の別の地区に住んでいて、そこへ行く際も最寄の駅で電車に乗ると、二つ目の駅で降りて行った。電車とホームの間が数十センチも空いているような駅で、そこで降りて急坂を降りて行くと、四つ角に店があった。その店は電車を利用する人だけを対称にしているというよりも、むしろ地域の人たちを対象に食料品などを扱っていたから、わたしの家のある駅に比べれば店の構えも大きかった。そんなこともあってのことだろうが、数年前そこを通った折に飲み物を買った覚えがあり、「まだ営業をしているんだ」と思ったものだ。

 無人駅の多い飯田線の駅にも、こうして近くに店がかつてはあったものなのだが、今では多くの店が姿を消した。電車のマニアに限らず、電車でゆっくり旅をする人に、けして駅を降りて近くで里のものを手にしたり、購入するという人は少ない。よくテレビの旅番組ではそうした設定で沿線を紹介したりするが、あんな具合に電車を利用して地域に足跡を残すケースは稀な人だろう。

 ふと駅に電車が停まるごとに思うのは、そこに地域を知ることのできるスペースがあったり物を売る人がいたら楽しいということだ。実情はそんなものではないのだろう。わたしは全国のほかローカル線のことは知らないが、ローカル線の沿線でまるで道路を走っているようにその地域に触れられる路線があったら乗ってみたいと思う。単なる地域の足としての鉄道ではなく、もっと旅の想いをめぐらしてくれるような鉄道があっても良いと思うのだが…。特急クラスでないとない車内販売やもっといえばガイド役でボランティアが乗り込むなんていうのもある。JRという巨大な権力の主がそんなことを許してくれるはずもないが、例えば分割民営化された路線で、赤字覚悟でもっと楽しい路線を描いたら、きっと観光目的の乗客が増えるのではないかとわたしは思うし、地域も大事にしてくれるのではないだろうか。そんな楽しいローカル選を知っている人はぜひ紹介して欲しい。
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