Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

それでも当選する人

2009-06-25 12:19:07 | ひとから学ぶ
 遠い地の話なのでそれほど興味もなかったが、「またか」のようにインターネット上のニュースに登場してくるので、少しのぞいてみた。これは鹿児島県阿久根市でのことである。現在の市長は二期目であるとはいうものの、初当選は昨年の9月のこと。まだ一年にも満たないのにすでに二期目なのである。かつての長野県知事と議会のもめ事も群を抜いた異常さであったが、それを上回るほどの市政停滞である。詳細まで追いかけていないが、ブログ市長と言われる竹原信一市長が市職員との対立を前面に出したことに始まるようだ。最近は市職労の50m2の事務所の退去を命令して対立が深まっている。そもそもブログに市の職員の悪口を書いて、市民の共感を得るなんていう手法はいかがなものだろう。わたしもこの日記に会社の悪口のようなことを書いているが、わたしの場合は実権の無い者が言う場もなくほざいているだけのこと。しかし市長ともなれば立場は全く異なる。いきなり身内のことを掲示板に告発しているようでは収拾がつかなくなるのはあたりまえで、信頼のおける市政には至らないとおもうのだが、再選を果したというのだから、市民はそれが正しいと思っているのだろう。

 市職労に出て行けと言っている理由は「市役所の過剰な人件費を削り、給食費無料化や保育料補助など福祉政策を充実させる」という公約に沿ったもので、職労の事務所を市民の税金で維持している空間には必要ないという考えなのだ。これに喝采を送る時代になっているのも公務員のつらい時代を映し出している。身近でも公的施設内で職員が飲み物を飲んだらそれは適正な場所に自ら処分することという環境になりつつある。そのうちに個人のものは持ち帰れということにもなりかねない。昼をとったらそのゴミを役所内のゴミ箱には捨てない、といった具合に。そのくらいならもっと言わせてもらえば、排便したら持ち帰れということにもなる。それら個人の排出物は税金で処理されている、ということになる。ここまできたらもう驚きの世界である。そもそも報酬の中身とは何かということにもなっていく。排便費用1ヵ月いくら、ゴミ処分料1ヵ月いくら、という具合に給与明細から引けば良いなんていう意見も出てくるだろう。それでもって、例えば阿久根市の懇談会での要望「市の行事について、市職員は振替や時間外でしているらしいが、ボランティアで頑張ってほしい」なんていうのはこの竹原市長なら頷くかもしれないが、到底働いている者には受け入れられなくなるだろう。働いている者の権利などほとんど剥奪されていく。それでもって、竹原市長はブログで「辞めさせたい市議」の実名アンケートをとったり、全職員の給与を匿名で市ホームページなどで公開したりと人の心を踏みにじるようなことをやる。まともな市役所になるはずもない。

 近ごろはトップが代われば大政奉還のごとく空気が変わることが目立つようになった。そしてこんな阿久根市のような事例をみていると、そのうちに市長が変われば職員も総入れ替え、なんていうことが起きかねなくなる。あくまでもトップは変わっても組織を実働させている人々は変わらない。その変わらない人たちをどう導いていくかが問われるものなのだが、今やそうではなくなりつつある。

 騒動になっていることから大きな市なのかと思えば人口は2万4千人ほど。近くに同じような規模の市がないかと見渡したとき駒ヶ根市が浮かぶ。駒ヶ根市は人口3万4千人で阿久根市よりは1万人ほど多い。面積は駒ヶ根市166km2に対して阿久根市134km2と少し駒ヶ根市が大きい。しかしそれほど変わらないといって差し支えないだろう。そんななか阿久根市には小学校9校、中学校4校、いっぽう駒ヶ根市には小学校5校、中学校2校である。ホームページを見ると市長の交際費執行状況というものが公開されているが、これを「見事」と思うか「くだらない」と思うかである。そもそもこんなことを公開する手間が必要なのかと思うとともに、学校のことはその一例で、ほかにやらなくてはならないことがたくさんあるのではないだろうか。実働する職員と上手くやれないでどうするという感じがしてならない。
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