Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

無知ではないと思うが

2009-06-26 12:50:11 | ひとから学ぶ
 ばかだろうが田舎者だろうが地域エゴだろうが言われれば良い、という具合に先日「迂回したらいい」で述べた。リーダーたちとして何が益になりうるかを考えるのは当たり前のこと。批判などは誰にでもどんな状況でもあるもの。とくにこれだけ世の中が口すべりな状況になってくると深い知識などなくとも、そして深い思いなどなくとも言葉は発せられる。しかしそのいっぽうで口にしてはならないことというものもあって、同じ話し合いの中にも表裏が見え隠れする。役所と住民の話し合いなどというものはそんな駆け引きがあったりする。いや役所だけではないだろう、どこにでもある。果たして本意は、あるいはその裏に蓄積はあるのかと思っても、答えは鸚鵡返しのように進展しない。これもまた日本人らしいといえばそういうことなのだろう。

 長野県議会でやはりという感じにリニアに関する質問がいくつか出ている。リニアに惑わされて大事なことを失わないようにという言葉もある。むしろ南北横断鉄道を整備して連絡し易いようにした方がよくないかといったもの、また並行在来線として中央線や飯田線が廃止の道をたどるのではないかというような危惧。知事の答弁はいずれも表面的なものであって、「本当にその程度の意識なのか」と問いたくなるような内容である。冒頭でも述べたように、益を考え何を言われようと主張すれば良いといったが、何も前方が見えずにただ主張していても結果は得られない。知事も含めリニアに対して、実はそれほど重視していないということなのかもしれない。そもそも平行在来線と捉えられたらどうするのかぐらい頭の中に入れてBルートを主張するのなら良いが、人事のように「今は何も解らない」というようなことしか言わない。ふだんの議会の答弁もそれほど深いやり取りがないのだからこんなものなのだろうが、だからこそ表に無い蓄積があるのだろうと想定したくなるのだ。以前にも述べたが県議会こそ何の役割があって、何を県民のためにしようとしているか見えないところである。こんなものが必要なのかと思うのは当然であって、市町村議会で道州制に反対している人たちが多いようだが、こんな県議会を見ていると、県をなくして道州制にした方が無駄な場面が省けると思うのだが…。

 さて、知事の認識のなさはもちろんだが、横断鉄道を整備しろとか飯田線の複線化をしろとか言うが簡単には言えないことだとわたしは思う。そしてそれらを網羅して知事たちはBルートを主張しているとわたしは思いたいのだが…。飯田線の距離は200キロほどある。ローカル線では最長というのはよく知られている。数年前から駒ヶ根-小町谷間に鉄道の下をくぐりぬけるアンダーパスの道路の工事をずっとしていて、いまだ完成していない。予算付けが少ないのかもしれないが、既存施設を利用しながら拡張工事をすることの難しさは、新設するよりははるかに高い。既存在来線に併設して複線化するとしてもその工事は高度なものになるだろう。ましてやただでさえカーブが多く、軌道の耐力もそれほどない路線をそのまま利用して高速化などというのもなかなか難しい工事である。全線を複線化するとしたらリニアに匹敵するほど金がかかるかもしれない。まさか飯田まで複線化すれば良いと考えているのならこんな袋小路に駅を造るメリットはない。飯田線はJR東海、それより北はJR東日本という分割の駆け引きもある。そのくらいは認識して実益のあるやり取りをしてほしいものだ。
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