Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

夫婦って?

2007-08-21 08:27:36 | ひとから学ぶ
 中日新聞を眺めていると、なんともいえない記事が曜日ごとに特集されていて笑ってしまうことも多い。以前触れた火曜日の亡き人への言葉もそうだが、翌日の水曜日には生活面に「つれあいにモノ申す」という投稿が掲載される。毎回6編ほどの短文の投稿記事が紹介されるのだが、8/8付けの新聞に掲載されたものから、ちょっと考えてみたい。

①お父さーんと呼べば…
 夫と久しぶりにデパートへ行ったというのに、自分一人でどんどん歩いていってしまう。「お父さーん」と大声で呼ぶと、走ってきた赤いふくれっ面した夫に「バカヤロー、周りの人に夫婦と思われるじゃーないか!」と怒られた。「エッ、私ってアンタの何なのサ!!」と、大声で叫んでやりたい私の胸の内。(管理事務 59歳)
②♪あなたのせいよ
 胸が締め付けられ苦しいので、「救急で病院に行く」と言ったら、「連れて行くから、この大河ドラマが終わるのを待て」とおっしゃったあなた。病院に運んでくれたのはいいけれど、待合室では高いびき。ほかの患者さんからは白い目で見られるし…。もしかして、(病気の)原因はあ・な・た?(会社員 54歳)
③一枚ならぬ四枚上手
 「今夜は焼きそばがいい」と言われた。ハムを使って作ったら、「何でこんなもったいない使い方するんだ!」と夫。スライスハムをくっついたまま、一パック(四枚)使ったのが気に障ったらしい。めったにハムを使ったことがない(子どもには出すけど)ので、喜んでくれると思ったのに。そんなことでしかられるのは心外。でも、それ四パック三百九十八円だし、賞味期限が昨日で切れてるのよ。(希望の肉 33歳)

とまあ、こんな感じの文が綴られている。「つれあいにモノ申す」だから妻でも夫でもどちらでもよいはずなのに、いつも妻の言葉が多い。夫は忙しくてこんなくだないことに時間を掛けられないのか、はたまたこんな視点でモノが見られないのか・・・。日常の暮らしに多様な視点を持てるのは女か男か定かではないが、やはり忙しさでなかなか変化のあるモノの見方ができなくなるのは、男も女も同じだろう。この日の記事に唯一夫が投稿しているものがあるが、自ら妻に問うものの、逆に「そういう意味なんだ」という答えを妻からもらって自分で納得してしまっている。ところが紹介した三つの例は、夫に文句を言いたいものの夫から言葉として答えはもらっていない。夫婦間でどちらかというと夫強しという従来の関係がそこに生きていたとしたら、妻は文句を言いたくとも、自ら答えを出すことに専念してきただろう。ようは言葉で示すよりは態度で示す、という内向的な解決策を女は経験してきたのだ。そこへいくと男は外交的な立場が多いから、文句があればすぐに相手に言葉で返しがちだ。時代は変わり、必ずしも男が夫婦間で強いというものではなくなったが、こうした意識を変えられないのも男であって、だからこそ、今は言葉ではなく暴力という、やはり男の方が力がある、という先天的な刀を振ることになってしまうのだ。致し方なし、といったところだが、それも変化する過程の1コマであって、これからその関係はどう変わり続けるのかが楽しみではある。

 さて、投稿された記事を読んでいると納得してしまうことが多い。こんな関係今でもあるの?という人も多いかも知しれないし、自分には該当しそうもないこともある。しかし、納得できるということは、自分にも似たような経験があるということになるのかもしれない。年配の方が夫婦で買い物に行くという姿をこのごろよくみる。デパートなんていうところにはわたしは行かないからわからないが、田舎でも老夫婦が日常の買い物に出かける姿をよく見る。むしろ若い夫婦より時間を共にすことが多いということもあって、より一層共に出かけるという形になるのだろう。その一つの要因に、老夫婦であっても妻は免許を持っていないというケースが多い。だから買い物の運転手に夫がなっているということも考えられるだろう。これは一時の時代だけであって、いずれ総ドライバー時代の夫婦が老いてきた時は、必ずしもそういう図式は成り立たなくなる。こうした「夫婦で出かける」という〝かたち〟のことはともかくとして、「お父さーん」と大声で呼ばれるのは年老いてくるほどに嫌なものかもしれない。そうは言っても「夫婦と思われるじゃないか」という夫の言葉はどう捉えればよいのだ、と考えてしまう。夫婦で外出しているということそのものが、この男性にとっては許せないのかもしれない。ようは家を出たら夫婦は友達なのだ。でもこの気持ち、わたしにはなんとなく解るから笑ってしまったのだ。

 ②の事例なんかはわたしには絶対ない世界だが、ここからも解るように男ってこんなところが絶対あるね!というホンネの部分のように思うのだが、反論はあるだろうか。
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