Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

カツ丼

2007-08-11 08:47:18 | ひとから学ぶ
 ボッケニャンドリさんが、しばらく前に「食えず嫌い王」という日記を書いていた。トンカツを食べに外食に行って、厚ーいカツが出てきて〝食えず嫌い〟になりそうというのだ。「暫くの間は家でも豚肉を食べたくない気分。でもこれを平気で食べれる人の方が多いのかなぁ。」と感想を漏らす。そうなんです。これを平気で食べる人たちが多いからますますトンカツが好かれる。このごろご当地丼なんていってあちこちでやっているけれど、やはりカツ丼に勝つことなどできるはずもない。巷に出回っている丼といえば、カツ丼の他に、天丼、肉丼、焼肉丼、親子丼、鉄火丼にうな丼あたりが一般的だろうか。そうはいってもカツ丼ほどメジャーなものはないし、並んでいれば毎日はともかくとして、どれを食べる、と聞かれればけっこうカツ丼が多いはずだ。特別に豚肉だけが嫌いという人とか、肉そのものが嫌いな人ならカツ丼ノーと言うかもしれないが、そうでなければまずカツ丼に手を出すだろう。わたしのように肉はあまり好まない者でも、カツ丼なら・・・という気になる。肉が嫌なら天丼とか鉄火丼なんていうのも選択肢の中では上位にくるのだろう。実際わたしもカツ丼の次に選ぶならそんな部類に目が行く。

 さて、カツ丼についてはずいぶん前のことだが、ホームページに記事を載せた。同僚の若いのが現場に行くと、必ずカツ丼のある店を選択していたからだ。若いからやはり厚いトンカツが一番。そんな噂にあがる店を必ず聞いてきて、今度は「あそこに行く」みたいに行ったものだ。ボッケさんが言うように、これでもか、みたいなカツが乗っかっていると、なかなか食べるのも大変なものだ。まさに額に汗をかかないと食べられるものではない。でもそんなカツが評判になることはよくある。近在なら飯島町の千人塚というところにある〝しおじ〟という食堂だ。名古屋あたりでもそのカツの量が噂になって客が来るほどだ。もちろん量が多いから全部食べられず〝お持ち帰り〟なんていうのが当たり前になっているが、そこまでして乗っかっていても仕方ないように思うのだがどうだろう。近在ではそんな噂の店はいくつかある。カツ=量という図式が成り立つほど、量が多いと噂にあがる。

 再び伊那に戻ってきてこんなカツのことを思い出していたら、もっとすごい話を思い出した。かつて伊那に通っていたころ、夕食をとると言ってある店(店の名はもう覚えていない)のメニューを見せてくれた。その中から頼もうとしたら、誰かが笑っているのだ。「何で・・・」と思って聞いてみると「本当にとるの」という具合だ。「なんで取っちゃまずいの?」と言うと「きっと食べられないよ」みたいなことを言う。単純に肉の量が多いだけではなく、味もすごいと言う。わたしのように本来肉好きではなかった者にはつらそうだったので、その店で注文するのは辞めた。誰かがそんな説話を無視して取ったら、見てびっくり、「とらなくて良かった」と素直に思ったものだ。よほどの料理でも根を吐きそうもない人が残したくらいだ。美味しくても量が多ければ飽きてくるし、腹の容量というものもあるから勘弁して欲しいのに、不味いときたらショックは大きい。そういえばそんな店に伊那ではいくつか遭遇した記憶もある。食事で期待を裏切られるほどダメージの大きいことはない。

 話を戻して、カツ丼といえば駒ヶ根市ではソースカツ丼で売っている。そのこともホームページで触れているので詳しいことは省くが、ソースカツ丼なら桐生の方が早かった。わたしが社会人になったころには、外食といえばカツ丼がほとんどだった。それほどメニューもなかったからそんな具合になったのかもしれないが、何十年か前のメニューというものを見てみたいものだ。田舎でも田舎の町場でも、どこへ行ってもカツ丼は定番だった。そしてそんなカツ丼はすべて玉子とじのカツ丼だったから、カツ丼とはそういうものだと思っていた。ところが駒ヶ根でソースカツ丼を売り出した頃からか定かではないが、ソースカツ丼なるものがしだいにメニューに現れるようになった。そんなころは玉子とじかソースのどちらかしかメニューにはなかったものだが、このごろは両方をメニューに載せる店も多くなったし、従来の玉子とじをカツ丼として出していた店では、わざわざメニューに「玉子とじ」と説明書きをするようにもなったのだ。いかにソースのカツ丼を好む人が多くなったか、ということが解るわけだ。

 ボッケさんが、どことなく豚カツ屋に現れる風体は太り気味なものがあると言っている。そんな店のカツは厚いともいうから、分厚いカツが食べたい人は、ちょっと店の外で観察していればその店の肉の様子が目に浮かぶようになるかもしれない。
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