Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

もう一度ホトケノザ

2006-04-11 08:15:01 | 自然から学ぶ
 以前「ホトケノザ開花」で触れたホトケノザについて、小林正明先生が「伊那谷自然友の会報」124号で素人向きに説明してくれている。ホトケノザの場合閉鎖花(へいさか)のものがけっこう多いという。わたしが以前触れた「ホトケノザ開花」の際のものも、正確にいくと開花まではいっていなかった。そしてその花は閉鎖花のままだった。閉鎖花とは、花が開かないまま中でおしべとめしべが自然について、自家受精して種子をつくる花のことという。ホトケノザの場合はこの閉鎖花の方が開放花よりも多いともいう。

 さて、同記事の中で、ホトケノザの生えている場所は、ほとんどが畑で多年草の多い土手にはないと書かれている。そして、路傍に生えていることもあるが、その場合は掘り返したところとか、何らかの撹乱があったところだとも書かれている。わたしの見たホトケノザは傾斜のある土手に生えているもので、小林先生がいうような場所ではなかった。そのことについて妻と「あの場所は普通の土手だったけれど、この話と違う」というような話をしたわけである。そして考えているうちに妻はこう言ったのである。

 「あの場所はモグラがきてけっこう空洞なんかができたりして土手の表面が崩れたりする。そんなことが影響しているかも。」

 なるほどこれは「撹乱」にあたる。そう考えると山間部の傾斜地の土手の場合、自然状態でも撹乱は生じることがある。もちろんそれが動物によって撹乱されるということもある。「こんなところに」と思うようなところに意外なものが咲いていたりすれば、その背景はさまざまなんだと気がつく。加えて、その場所はわたしが年に3回程度草刈をする。傾斜地でかつ高い土手ということもあってわたしの担当する土手である。基本的には草だけ刈っているつもりだが、土手が一様ではなくデコボコしているから、時には土を切っているなんていうこともよくある。とすれば、わたしが草刈の際に撹乱を起こしているのかもしれない。自然というものも人間がどの程度そこに加わっているのか、あるいはいないのか、そんな微妙なことでさまざまな顔を見せてくれることを知る。


 日曜日にだいぶ草が伸びてきて自宅の草をむしった。その中にホトケノザがあった。畑にしてあるところで、一株だけあったホトケノザは開放花だった。ほかにもあるのだろうかと探してみたら、垣根の外の道端にも数株あったが、そちらは閉鎖花であった。写真は一株あった開放花である。
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