Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

信州人は関西人が嫌い?

2006-04-17 08:06:00 | ひとから学ぶ
 先日の信濃毎日新聞に興味深い記事があった。「信州人は関西人が嫌い?」というもので、「くらし」欄にある「私の声」という投稿欄に大阪から長野に移り住んだ方の声が掲載され、それに対する反響が大きかったということで、新聞でも特集を組んだわけである。その新聞記事に要約された投稿記事の内容がある。次のようなものである。

 大阪から長野に移り住んで四カ月ほどしたころ、次のようなことを言われた。
 ―あなたはどこの出身?
 イントネーションが違うね、え~関西の人とはおもわなかったね~関西弁出ないようにしているの? 関西弁は怖いからね~信州人は関西人のことはっきり言って嫌いだよ~息子が大阪の人と結婚しないかと今から心配しているよ・・・。
 長野はよそ者を受け入れたくない、閉鎖的な気持ちの人が多いのかも・・・。

 何人かのこの記事に対してのコメントが載せられている。まあ、個人的に嫌いでも、「信州人は」なんてひとまとめにしてしまうから、聞いた方もそう思ってしまう。仕方ないことではある。不運といえば不運だが、それはよそから来た人にとっても、そして地元に住んでいる人にとっても不運。

 ただ、わたしは何度も言ってきているように、伊那谷、ことに飯田下伊那地方の人々は、どちらかというと西を見ている。だから同じ県内であっても少しであるが違和感がある。昔はそれほどではなかったのかもしれないが、このごろよけいにそんな雰囲気を感じる。それはなぜかといえば、やはり中京圏の人たちがけっこう足を伸ばしてやっ来るようになったからだ。もちろん中京ばかりではなく、東京方面からもそこそこやってくるようになった。やはり高速道路が開通後の変化といえる。そして、高速道路ばかりでなく、一般道もそこそこ改良されて、けして都会は遠くはなくなった。長野県の場合は、公共交通網がくまなく行き届いていないから、本当の意味での田舎を味わうには、車で来ないとなかなか難しい。そういう面では長野県内でもいち早く高速道路が開通した伊那谷は、自家用車で都会からやってくるには、そう遠くはないのだ。そんな視点で見ると、北の方に比べるとよその者が入りやすい。もちろん著名な観光地は北にあるが、地味な見所はけっこう南にもある。そうしたよそ者の受け入れ方という面では、北より南の方が先進的なのかもしれない。そうした変化が、違和感を増幅してきたのかもしれない。独特なことをやっても多様な都会の人々には理解をもらえる。

 そんな環境をちょっと頭においておいてこの投稿を読むと、そしてわたしのように伊那谷のなかでも狭間に育った人間が読むと、こんなことが浮かぶ。

 北の方は巨人ファンが多い。かつてはとくに顕著であった。そして南の端っぽにくるとけっこう中日ファンが多い。方向性といえば、もちろん北は東京だ。しかし、南の端っぽは当然名古屋、そして京都大阪だ。もしこの投稿をした方が、南の伊那谷に移り住んでいたとしたら、もしかしたらそんな気持ちにならなかったかもしれない。確率的にいえば、雰囲気でしかいえないが、おそらくそうであったと思う。反響を呼んでコメントされた方たちは改めて信州人の欠点を見出したり、あるいは「そんな人は自分の周りにはいません」などと言うが、「大阪と東京、どちらが好きですか」と質問すれば、長野県の場合は「東京」が多いと予想できる。それはどちらが身近かということになる。投稿された方への言いようはちょっときつすぎるが、どこかにそんな感情が少しくらいはあっても不思議ではないと思うがどうだろう。それは同じ信州人といわれるものであっても、一様ではないし、同じ県内であっても南の者に対して北の人がきつい言葉を投げるなんていうことは、昔からある程度あったことだ。だから、投稿された方への送りたい。「関西人が身近じゃないから出た言葉なんですよ」と。
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