Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

イワツツジの世界

2006-04-23 10:23:57 | 自然から学ぶ
 「日々の記録」でも紹介している妻の実家の裏山にあるイワツツジ帯がピンクの色を見せてきた。2月に何日もイワツツジの周りにあった雑木や下草を処理しただけに、花が咲くのは待ち遠しかった。手を入れれば入れるほどに愛着もわく。地域の周辺のイワツツジはだいぶ前に咲いていたが、この裏山のイワツツジは日陰にあるということもあって、なかなか花が咲かなかった。南側に山があるため日陰になっているのだが、東側や山から離れた場所にあると日が当たるということもあって、咲き始めている。数えていないので何本あるか知らないが、数百という株はあるのだろう。そのほとんどは、まだこれから咲き始める。

 イワツツジは、一般にヤマツツジといわれる仲間のひとつで、正式にはミツバツツジという。このミツバツツジにも仲間があって、ミツバツツジより葉の小さなコバノミツバツツジは、長野県南部以西に分布し、ミツバツツジより標高の高いところに分布するものにトウゴクミツバツツジというものがある。

 落葉した木々がまだ芽吹きをする前の山肌に、ピンクの花を咲かせるイワツツジは、人の目を引く。冬の装いをまだまだ残している山がにわかに華やいで見えたりする。しかし、芽吹きには早い。そんなアンバランスな世界に色づけされるイワツツジの存在は大きい。伊那谷の落葉した山々にそうしたイワツツジの姿があちこちに見られる。飯田市ではこの花を市花に指定している。それほど目に焼きつものである。そう考えると、裏山にあるイワツツジ帯は、見事ではあるが、冬枯れの世界に点在する華にはなかなか見えない。「そろそろ芽吹きの季節ですよ」と教えてくれる山に点在するイワツヅシに比較すれば、裏山に密集するイワツツジにはそうした姿が見えなくて残念ではあるが、それは何にもたとえられる世界なのかもしれない。どんなに美しくあるいは光るものでも、集団に吸収されると人の目にはつかなくなる。いっぽうで色のない世界の美しさ、あるいは光はたいへん目に焼きつく。そんな世界を教えてくれたイワツツジの存在であった。

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