Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

図書館のはなし

2006-04-04 08:14:07 | 農村環境
 NHKのニュースウォッチで合併による不効率に関する報道をしていた。滋賀県の旧志賀町は大津市に合併したが、旧庁舎に何十億もかけたのに合併後は30人程度の職員がいるだけで、利用されない部屋がたくさんあるようだ。同じようなことは全国のあちこちであるのだろう。長野市に一昨年合併した旧豊野町も旧戸隠村も、そして鬼無里村も立派な庁舎があった。それほど昔に建てられた建物ではない。そこそこ合併が視野に入っている段階で建てられたものもあるのだろ。そうした建物が、今や支所としてこじんまりした利用に留まっている。地域で何らかの利用ができないものなのか、とは部外者が心配していても仕方がない。

 先日旧鬼無里村へ向かったが、まだ合併する前に鬼無里村を訪れていたころに比べると、その街道の車の数が少なくなったような気がする。明らかに人の訪れは減っている。当たり前といえばあたりまえで、役所がひとつなくなっただけでも、そこで生まれていた交易は著しく減るだろう。とくに村の最も中心といえる役場となれば大きい。現在は合併間もないということもあって、支所の役割が大きいが、いずれは人口並みの役割に縮小されていくのだろう。

 なぜこんな立派な建物が必要だったのか、疑問もあるがそれについては触れない。しかし、やはり旧鬼無里村を訪れて「図書館はありますか」と質問したら、公民館の一部に図書コーナーがあると聞いて行って見た。図書館とはとてもいえないし、わたしの地元で考えれば、児童館の図書コーナー程度であった。もちろん今は合併して長野市になっているのだから、市の図書館に行けばよいことなのだろうが、そうはいってもつい先ごろまではひとつの行政区域だったわけである。わたしのイメージでは、どんなに古くても、あるいは狭くても図書館ぐらいはあるというのが当たり前だと思っていた。そう思って周辺の村を見てみると、どうも長野市近辺では、図書館が整備されていない村がけっこうあったようだ。地域によって文化行政にも差があることを改めて認識したことと、田舎ではあったが、図書館のあったわたしのふるさとはよい環境だったのかもしれないと認識した。

 さて、合併はひとまず落ち着いた。長野県は村の数が全国で最多という。そして、人口1万人以下の町村が全国の1割近い43あるという。長野県は合併に対しては消極的であった。しかし、これほどまでに全国の情勢が合併に向かっているなかで、本当にそれでよかったかは、何年か後に示されるのかもしれない。日本の中央にある立地だけが頼みの長野県であるが、それを越えて遥かなる秋風が吹いているような気がする。
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