Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

団塊世代、そして格差

2006-04-09 10:39:28 | ひとから学ぶ
 団塊の世代の退職が近づくに従い、世の中はそれらの人々をターゲットにしたビジネスはもちろん、受け入れに関するさまざまな動きが報道されている。おそらく団塊世代とひとまとめには言っているが、そうした人々にも格差があるのだろう。ちまたでいわれているような団塊世代は、わが社ではとうに退職してしまっている。会社の行く末が奈落の底なら、高額所得者には鋭意退いていただくしかない。そんな状況だったから、団塊世代といわれる年代の人たちは会社にはいない。不況に陥るなかで、同じような境遇の人々は多い。だから、退職年齢までしっかり働けた人たちと、そうでない人たちでは当然格差があるのだろう。あまりそういうことは論じられていないが、きっと余裕な暮らしをしている退職世代をみながら、現役世代で厳しい現実にさらされている人も、団塊世代と言われながらに早くに失職して暮らすのに精一杯な暮らしをしている人たちも、そんな報道をどう見ているのだろう。

 息子の通っているピアノ教室にとてもピアノの上手な女の子がいた。しかし、「とても上手」とはいえるが、それ以上ではなかったのかもしれない。本格的な音楽家でも目指すのなら、さらなる環境も努力も必要だったのだろう。田舎で上手だからといってもお金があればそれなりの道を歩ませることもできるのだろうが、なかなか金銭的な面では親は子に必ずしも希望の道に歩ませてあげられない。その子は高校を卒業して音楽専門の道を歩むべく短大に進んで音大への編入を目指していた。しかし、音大の授業料の負担が大きいということでその道はあきらめたという。何百万かの負担は人によって受け取り方はことなる。わたしが「そのくらいであきらめるのはもったいない」というと、妻は「そのお金を工面するために親はかすみでも食っていくのか」という。確かにそうではあるが、人にはない技術を持っているのなら、音大を出てどうなるともいえないが、可能性のあるうちはなんとかしてあげたい、と思うだろう。しかし、現実に田舎の所得状況やさまざまな家庭的理由を考えればしかたがないのだろうか。

 4月に入って豪華客船が100日間余の旅に発った。380万から1千万余の価格だという。多くは高齢の方々なのだろうが、そんなところをみても格差は歴然としている。たかが何百万の授業料が負担なため、子どもの進学をあきらめる話を聞いて、田舎には予想以上に格差があると感じるのである。事実都会に住むのと田舎に住むのと、それをくらべただけで格差なのだから。
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