■ 鍬ヶ崎住民への救いとなるか
2012-05-23 岩手 宮古ジャーナル | 復興関連(IBCニュース『平野復興相「要件緩和も」』より)
本日宮古を訪れ被災地区を視察した平野復興大臣が、高台移転の条件緩和の方針を示した。以前の当ブログの記事でも指摘していたことだが、鍬ヶ崎のように防潮堤が作られて「安全」とみなされた地区においては高台移転したい人がいたとしても何の支援もなされない、という問題があり、鍬ヶ崎住民のグループが市に意見書を出すなどして復興政策への課題となっていた。
平野大臣の発言はこのような問題を念頭においたもので、「住民合意」があれば鍬ヶ崎のような地区でも高台移転への支援をしたいというものである。「住民合意」とは地域住民同士の話し合いの上での合意のことであると思われ、田老のように移転するしないで揉めた場合どうなるかという問題も別にあるが、少なくともこのように大臣から前向きな発言があるだけでもこの問題については大いに前進したと思われる。
国の政治家は中央で政界闘争に明け暮れるだけではなく、このように実際に被災地に赴き現場の声を吸い上げて政策に反映させることをもっと意識して行っていくべきだ。
■ 平野復興相「要件緩和も」
2012年05月23日 17:42 更新 IBC岩手放送ブログ
きょう宮古市内の被災地を視察した平野達男復興大臣は、高台移転を国が財政支援する現行の制度について、「住民合意があればこれまでの要件を緩和したい」という考えを初めて示しました。
震災後の住まいの高台移転に関し国は、防潮堤の整備後も一定の浸水が予想される地域において、「防災集団移転促進事業」という事業を適用し、移転先の整備費などの財政支援を行うとしてきました。しかし、この事業では防潮堤の整備により、一定規模の津波が防げると判断された地域は、今回の津波で大きな被害を受けていても、高台移転の支援の対象にはならず、移転を希望する一部被災者の大きな妨げとなっていました。
きょう宮古市内の被災地の視察を終えた平野復興大臣は、市との意見交換後の会見で、あくまで「住民合意」が前提としながらも、「希望があれば制度の適用外であっても、高台移転の支援を行いたい」という考えを初めて示しました。
市は制度上の理由から、高台移転の計画を見送っていた地区もあっただけに、今回の発言を歓迎しています。山本正徳市長は、「願ってもないこと。一歩前進だと思う」と話しています。
一方、震災により不通となっているJR山田線の復旧に関して宮古市は、きょう鉄路での復旧を求めて国の支援制度創設を要望。平野大臣は「山田線は鉄路での復旧が当然と考えていて、今後も協議していく」と述べました。