宮古のX型防潮堤、月内着工 地盤沈下でかさ上げ
県は、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮古市田老の防潮堤(海抜10メートル、総延長2433メートル)の復旧工事を今月中にスタートする。世界に類を見ないX型の二重防潮堤のうち、今回は地盤沈下した2線堤(山側)を平均70センチかさ上げする。2015年度の完成を目指した防潮堤復旧の皮切りとなり、市街地の生活、産業再生に向けた防災機能の復活へ弾みがつきそうだ。
同センターによると、2線堤の965メートルの部分を平均約70センチかさ上げし、震災前の海抜10メートルまで復旧する。今月中旬に測量を始め月内に着工。工期は9月15日までを予定し、事業費は約6770万円を見込む。
かさ上げするのは、2線堤の上面(幅2~4メートル)の海側先端部。いったん一部を壊し、小型コンクリート擁壁(幅50センチ)と一体的な構造物として整備する。海側先端部が平均高さ70センチ、幅50センチ突き出た格好となる。
【写真=平均約70センチかさ上げされる防潮堤の2線堤。上面の左側が突き出た格好となる】
☆
沈下した70センチメートルをかさ上げし元の高さに復元する。
果してこの思想で田老の1線堤の方も進めるのであろうか? それでは3.11の防潮堤の崩壊の意味をあまりにも考えていないように思う。
高さの高低の問題もさることながら、まえと同じような防潮堤の復元に、田老地区の町づくり、津波等防災の命運を任せようというのであろうか? 防潮堤そのものの役割が不明であったり、 先に指定している災害危険地域との関係が不確かであるように思う。
一番の問題は、住民の問題意識であり、議論であるが、それと裏腹の「住民が口出しする問題ではない」という工事主体の県土整備部の考え方である。
ここでは、ジャーナリズムのあり方に注文をつけたい。
この記事に見る通り、工事の詳細を書いてあるように見えるがよく伝わってこない、という報道のあり方についてである。
完成したかさ上げ防潮堤は丈夫そうに見えないのだ。本体をスクラップ&ビルトするのではなく、沈下している既存堤の海側に厚さ50センチ、高さ不明のコンクリート擁壁(パネル)を平均70センチの頭出しで全長に貼付けるという理解でいいのであろうか? 擁壁と本体の一体性はどのように担保されるのか? 等、丈夫な作りには思えない。…
記者もこの工事には批判的なのであろうが、自分の考えというより、もっと事実をていねいに、イメージが読者に伝わるように、そして出来れば、その記事を巡って住民の問題意識が喚起され、話題になり、コミュニティの議論になるような報道をしてもらいたい。
県土整備部も、一般に役所は、口をぬぐってあまり自分らの仕事のことを言いたがらない。明治以来の官僚主義の流れでイージーな「由らしむべし,知らしむべからず」の伝統を守ろうとする。形式的にいろいろな数字や期日や事業費のことを並べ立ててぱたぱたと終わろうとするのだ。批判精神がなければ突っ込んだ記事にはならないということを言いたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます