<ニュースレターNo.14> 4段目
一方、工事主体の岩手県は、10.4メートルの防潮堤や水門は明治三陸津波を基準にして決めたもので、先きの東日本大震災の津波には対応していないと再三再四言及している。防潮堤、水門は岩手県知事の諮問機関「津波防災技術専門委員会」(2011.5~)で決めたもので規模が比較的多い津波に対応しているに過ぎない。宮古湾の場合は明治の津波が基準である。防潮堤の高さは明治津波の最高せり上がり地点(津軽石といわれ鍬ヶ崎ともいわれる)の 9.4メートル、に1メートルの余裕をプラスして決定した。──山本市長はそれを東日本大震災クラスの津波にまで拡大解釈して津波を防げるとしている。計画主体の岩手県とは大きな喰い違いを見せている。
<解説>
県は防潮堤の高さについては震災直後の平成23年度に開催した「岩手県津波防災技術専門委員会」で検討した結果を踏まえ設定した、としている。 ※拙速…ずさんな…
「岩手県沿岸の防潮堤の高さ設定」(岩手県 平成23年9月)より
宮古湾については上図のとおり設計津波(防潮堤の高さを決める基準津波=オレンジ色)を設定、最大クラス津波(=緑色)を除外設定した。9.4メートルの設計津波に余裕の1メートルをプラスして10.4メートルにした。岩手県の設定では宮古湾では東日本大震災津波級の9.4〜12メートル以上津波は除外され、防潮堤の制御対象津波ではないとされている。
※宮古湾のような大きな湾でどこが観測地点だったのか?9.4メートルは浸水高なのか?せり上がり高なのか? また一般に、防潮堤の「高さ」設定だから津波の「高さ」が基準になるという事か?あまりにも幼稚な投げやりな基準選択だ。ほか最大クラス津波の除外等、設計津波の設定のコンセプトが説明されていない…
宮古湾の場合は中央で決められた一湾一律にそって、全湾一律10.4メートル高で設計・施行されてそれ自体はでたらめな事であるが、明らかな事は防潮堤は「最大クラスの津波群」を除外した限定的な防災対策という事である。岩手県は再三その事は明言している。「10.4メートルの壁で津波を押し返す」という宮古市長の考えは主観的で間違っている。