宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

ニュースレターNo.14(おもて面)

2017年02月16日 | ニュースレター


市内に8000部配布(2017.2.16)

ニ ュ ー ス レ タ ー  No.14

 

1、震 災 復 興 の 満 6 年 目 を 前 に し て

 宮古市内でも被災地とそうでない地区での温度差に加え、地区内でも復興への意識はまちまちである。ある意味で仕方がない事ではあるが復興の大きな柱である防潮堤や閉伊川水門の認識はどの地域の住民であれ、市民は少なくとも無関心であってはならないと思う。宮古市政が一本でなければならないという事のほかに、西日本の南海トラフ地震等、そして将来の予測される津波災害にとって3.11に東日本に位置した宮古市の防災市政、復興への道のりは全国的に大きな関心であり励みになるからである。全国からの目がそそがれている。 (解説)


 

2、子どもたちに曖昧なまま防潮堤を残してはならない

だから、問題点は何一つ曖昧のままであってはならないということだ。昔の人は、子どもたちに、津波が来たら高いところへ逃げろと、しっかり伝えてきた。しかし今の防潮堤からは(親から子に)しっかり伝える事が出てこない(市民が自分で)考える事は何一つ出てこない。市民にとっては負の存在感だけで共感も芯もなく意識をただ混乱させる存在である。孫や子に残してはならない。   (解説)



3、宮古市の市長はこのように言っている

宮古市長は、防潮堤と水門の壁で宮古湾を桶(おけ)のようにかこみ、入ってきた津波が10.4メートルの高さによって遮(さえぎ)られて沖に去っていくように──湾内各地の防潮堤と津軽石水門、閉伊川水門を造っている、という。「要するに宮古湾を10.4メートルの防潮堤で囲む事にしている」(2014.12.15 市議会 建設課長)と職員も同じことを何度も口にしている。

津波を経験し、津波を知っている宮古湾沿岸の市民なら湾口と湾奥、戻り波、反射波や海底や地形の違いで同じ湾内でも浸水や遡上が異なり、場所場所によって津波が一律でないことを認識している。宮古市民は鍬ヶ崎の例、閉伊川の例、津軽石地区の例など山本市長がいうようには単純ではない事を一通り考えている。住民の経験・常識と市長の考えには微妙な、しかし大きなズレがある。  (解説)


 

4、岩手県は 3.11 クラス 津波は防げないとしている

一方、工事主体の岩手県は、10.4メートルの防潮堤や水門は明治三陸津波を基準にして決めたもので、先きの東日本大震災の津波には対応していないと再三再四言及している。防潮堤、水門は岩手県知事の諮問機関「津波防災技術専門委員会」(2011.5~)で決めたもので規模が比較的多い津波に対応しているに過ぎない。宮古湾の場合は明治の津波が基準である。防潮堤の高さは明治津波の最高せり上がり地点(津軽石といわれ鍬ヶ崎ともいわれる)の 9.4メートル、に1メートルの余裕をプラスして決定した。──山本市長はそれを東日本大震災クラスの津波にまで拡大解釈して津波を防げるとしている。計画主体の岩手県とは大きな喰い違いを見せている。  (解説)


 

5、若い人は浸水跡地に家を建てていない。これからも建たない

被災地に、被災跡地に家は建つのか? の深刻な疑問がある。鍬ヶ崎地区では区画整理がほぼ完成して、新築が競って建ち始めている。もう一息という希望もあるが、深刻な疑問とは、若い家族の家が建つのかどうかという事である。独身でもいい、若い人が家を建てて、そこに住むかどうか? 家族持ちは嫁さんとの話し合いが進んでいるのかどうか? 子どもの教育環境をどう思うのか? お年寄りの災害避難に心配がないかどうか? 建築資金や仕事の関係もある。…若い人たちの鍬ヶ崎が復活するかどうか…の疑問である。

そもそもマグニチュード 9 の東日本大震災クラスの津波には通用しない防潮堤では浸水跡地に家を建てる根拠がなくなっている。避難道すら整備されずセーフテイネットが無いに等しいところに帰還する家族は少ない。  (解説)


 

6、市長の暴走。災害危険区域「条例」の制定(2012.10.20)

山本市長は、田老以外は宮古湾岸地帯ではごくわずかの地区の高台移転を実行したが、鍬ヶ崎を始めとして宮古湾沿岸のほとんどを防潮堤、水門、区画整理事業を理由にして「可住」安全地帯とした。山本市政の暴走というしかない。鍬ヶ崎地区の根拠の薄い「可住」判断の宮古市の呼びかけは鍬ヶ崎だけではなく都心部を含む宮古湾岸一帯の被災住民に受け入れられていない。宮古市災害危険区域「条例」の基準津波は東日本大震災の津波であり、明治三陸津波でない事を強く自覚するべきだ。東日本大震災規模とは先きの3.11津波規模とは限らない。少なくとも、より北方寄りの太平洋プレート震源地を含み、地震の大きさはマグニチュード 9 以上という事になる。山本市長は防潮堤、水門を過大に評価し、将来の津波を過小に評価している。  (解説)


 

7、「後出しじゃんけん」のシミュレーションには意味がない

山本市長は「シミュレーションの結果、鍬ヶ崎地区は、浸水しない区域である」といっている。シミュレーションをしてみたら防潮堤で東日本大震災規模の津波も防げるというのだ。間違いだらけの条件によるシミュレーションで国や県の有識者委員会の指針や県庁の設計を無視したものである。もともとシミュレーションとはコンピューターなど机上の仮説のことである。現実の科学や安全設計、将来設計の「参考」にするものであって生(なま)のまま政策の根拠にする事など考えられない。市長の持論である「宮古湾=桶」理論を跡づけるために後出しじゃんけんのように意図的条件でつくったシミュレーションと言わざるを得ない。  (解説)

(次ページにつづく)


(前ページよりつづく)

8、宮古市長は「条例」を廃棄し防潮堤・水門の見直しを始めるべきだ

当然の事である。なんら根拠・整合性のない安全区域の指定を繰り返す「条例」は法律としても全国に例がない。また、岩手県の防潮堤・水門工事については直ちに中止して地域ごとの合意形成を図るよう知事に申し入れるべきだ。住民への説明もない独善の設計変更、度重なる工期の延長、予算の倍々ゲーム化が無制限に行なわれている。異常事態がつづき、当初計画は破綻、正常修復は不可能だ。  (解説)


















 

 

 

 

 

 

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