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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

目を覚ませ宮古人!!しっかり「閉伊川」をみよ(1)前代未聞の祈願祭

2014年01月03日 | 宮古閉伊川水門

ここまで遅れて、なお完成が2年遅れると言いながら、市民には何一つ詳しい説明はなく年明けにも着工するという。年末ぎりぎりの祈願祭は焦っているとしか思えない。工期遅れの字幕テロップが入った安全祈願祭など前代未聞と言うべきである…

 

中途半端に安全祈願祭
(2013.12.27 NHK 岩手県のニュース)

 

設計間違い、見積もり間違いをどう修正して、どのような工事入札を行い、どこの企業が落札したのか? 宮古市民のどのくらいの人が知っているというのか。宮古市民に関係あることだ。

 

 

市民から離れる閉伊川水門

 

「藤原側に地盤の弱いところが見つかった」「したがって」「予想以上の日数がかかることが分かった」、「予算も40億円増え約190億円の見込み」という、このような聞いたこともない杜撰(ずさん)な理由で、その詳細や調整も発表されないで、突然の工事安全祈願祭ということである。こんなことでは予算の増加、工期の延長はこれからも、何回も、つづくはずである。2年遅れるということ、40億ふくれるということがそれだけの言葉で終わっていいというのか? とんでもないことだ、予算主義の役人だけでなく、市民感情の方もどうかしている。宮古市民、岩手県民の反応は鈍(にぶ)すぎる。復興予算だからなにをしてもいいというのか? そうではないでしょう、全国の人が関心を持っているのだ…

 着工の実績をつけて、国からの予算が逃げないように形式的セレモニーをしている工事関係者と役人だけの茶番となった。国に対してだけでなく、市民、県民に対しても既成事実化したいからである。完成が2年ものびて平成29年になること、工事費用が40億円も膨らむこと、藤原側、光岸地側のネック、何よりも閉伊川水門の防災効果など、市民への説明や確認もなしにただただ着工を急いでいる。県内の放送局や新聞社のマスコミもいい加減で役所の言うことをただ流しているだけだ。知らされずに市民の大半が何も理解していないのにマスコミは掘り下げようともしない、役所は説明する気もないという最悪の状態である。

沿線の宮古市民からだけでなく、市議会の内部からも疑問の声が出ている。

 

 

合理性を欠く水門の建設

 

私は宮古湾の下図を再三引用している。前回は宮古湾と北上山地の水資源交流を分断する防潮堤の説明のために引用した。今回は津波に対するリアス式海岸のV字形の宮古湾のイメージを示すためである。

 水かさと破壊力が湾奥にむかって逓増(だんだん増加)することは宮古市民なら誰でも知っている。問題は県庁や宮古市の役人がそれを知らないということである。今次津波は閉伊川への水勢の遡上や湾口地帯・市街中心地などへの浸水で湾奥への水勢がある程度弱まった。湾奥の被害が地形のわりに僅少だったのはその理由によるところも大きい。 閉伊川水門や防潮堤が出来れば津波を劇的に湾奥に追いやる結果になる。(図の中の双矢印は役人がそのことを知らない根拠を示している…)


県土整備部が考えている宮古地区「防潮堤」のイメージ。 

 

この図の計画では事情は一変する。閉伊川水門やぐるりの防潮堤できっちりV字に固められた湾奥の悲惨な被害発生はいうまでもなく、湾口地帯や、月山対岸一帯の状況はどう変わるのか、宮古人は目を覚ますべきである。このような計画を言い出した国土交通省は今頃になって「決めるのは市町村」と言い、県も工事利権は手離さずに「国や市が決めたことだから」と微妙に態度を変えてきている。市も市民との合意がある、とあらゆるところで言い立てている。宮古市の危機も足もとに迫っているということだ…

 大局的にみて、今次津波は震源地の関係で宮古湾には重茂半島を迂回して進入してきたが問題は北方を震源地とする将来の津波の発生である。いま宮古人には過去ではなく未来のそこのところが問われていると言っていい。

 

 

 水門より「堤防のかさ上げ」に合理性

 

 盛岡(岩手県県土整備部)のする工事でも、現在の技術水準でも津波の遡上によって閉伊川が決壊することはない。今次震災でみた通り河口から数百メートルにわたって閉伊川は溢流し(あふれて)、市街地中心部に大きな被害をもたらしたが、しかし、川沿いの防潮壁、堤防は決壊することはなかったのである。将来の閉伊川への津波遡上への備えは水門がない場合、どの程度のものなのかは、土木建設関係者なら計算は出来るはずである。高さについては部分的に防潮壁・堤防の高さをかさ上げするだけで十分であり、その強度については、最大でも直撃に備えた津波防潮堤や河口水門の強度の1/2以下で足りる。


※ 数字は少し違っているが概ね正しい…

 

遡上水量を心配するあなたの考えている水勢(量)では、強過ぎ、多過ぎのため、もともとの閉伊川水門は耐え得ないで越流し崩壊する。言い方を変えれば、閉伊川水門が阻止可能な津波の高さ、強さ、水量であれば楽々と閉伊川のキャパシティー(容量)が対応することが出来ると言うことです。絶対0(ゼロ)or ネガティブ期待の水門ではなく閉伊川の自然に助けを求めた方が良い。

 

 

津波による宮古橋の崩壊は取り越し苦労

 

以上は当初の議論の蒸し返しになっているが、もともと、閉伊川河川事情、閉伊川沿い道路事情、宮古橋・JR鉄橋事情からいっては東日本大震災の復興期の今が宮古市都心部区画整理の議論時期なのである。そこのところが忘れられている。いまのみやこ橋や鉄橋はもう時代遅れである、早晩架け替えなければならないものである。前回の議論の時、県庁などから、閉伊川堤防のかさ上げ工事にすると、宮古橋、JR鉄橋が、高さの点で、堤防から取り残されるという理屈まで持ち出された、まこと権力者のへ理屈というべきである。

あるべき橋梁実情とは閉伊川を渡る「橋」という発想ではなく、宮古都心幹線道とか宮古臨海バイパスの発想でなければならない。

 


閉伊川河口/宮古臨港バイパスとかさ上げされた防潮壁イメージ
(下のNHK祈願祭映像を借用して作図)


閉伊川河口(2013.12.27) ◯◯

         

 

 

☆ 

 

 

[関連記事] 鍬ヶ崎「防潮堤」(7)閉伊川水門の見直し  2013.11.12

 

[関連記事] 県土整備部と住民(5)水門にのみ込まれる景観と環境  2013.1.24

 

 [関連記事] ▲▲宮古湾(津波)防災コンセプト(1)  2012.5.27

 

[関連記事] ▲宮古湾の津波防災はどうあるべきか ?  2012.1.9

 

 

(2)につづく

 

 

 

 

 

 

 

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