GITANESのストックだけで舟一艘分は要っただろう。
それとは無関係に・・・。
生まれ育った家(小さい借家)には一応本棚があり、
多分見えの産物だとは思うのだが百科事典が並んでいた。
棚の下から2段分はその百科事典が占めており、
その上に並んでいたのは、私の兄や姉に読まそうと
親が企んだと思われる「少年少女世界文学全集」という
全集物が並んでいた。
ところが親の目論見は大外れ、私の兄や姉はそれらに
見向きもしなかった。
期待していなかった末っ子の私だが、これもほぼ
全集には興味を示さなかったのだが、その中で
多分それだけは部分的にではあるが100回も開いただろう
という記憶があるのが「ロビンクルーソー」だった。
読んだのはその一冊だけ、通読も10回や20回では
なかった。
7歳とか8歳とか、その頃だったと思う。
こんなに面白いものはもうこの全集の中にはあるまい、
いや、全集どころか世の中にはもうロビンソンクルーソーを
超えるようなものはなかなかないんじゃなかろうか
と少年SGCは読書習慣の先行きに軽い悲観を抱えていた。
その後すぐ、学校の図書室で何の気なしに借りたのが
「十五少年漂流記」である。
これがまた、「早く晩飯を食え!」という命令にも
応じず一気に読んでしまい、一気に読んでしまった後すぐ
再読し始めたもんだから両親兄姉は呆れかえってしまったらしい。
こうなると、借り物では済まなくなる。
図書館に返却したあとは近所の本屋でそれを探すが
田舎の町の小さな本屋だからか、店内を探すだけでは
見つからなかった。
そこで、どうして親の力を借りて取り寄せの注文をする
などしなかったのかはわからないが、買わずじまいになった。
読みたくなったら図書室で借りる日々になり、
やがて少しずつ「ロビンソンクルーソーとか十五少年以外にも
本はいくらでもあるんだ」ということが分かってくるから
十五少年たちは私の記憶から消えていった。
で、月日は乱暴に過ぎるのだが(50年近く)、
昨日本屋で「十五少年漂流記を読みたい」発作に襲われた。
棚に椎名誠の「十五少年漂流記への旅・幻の島を探して」
という文庫が並んでいるのを発見したからである。
ここでこの本を読んでいる場合ではない。十五少年漂流記を
読まないと!」という流れで、店内を探し回る。
アマゾンで検索しながら、いくつかの出版社の文庫のコーナーを
探す。
新潮にも創元にも岩波にも角川にも、一応出版されたことが
あったようだが、この本屋にはない。
本屋の検索システムを使って探したが、在庫なし。
児童書のコーナーには「漫画版」が複数あった。
50年前ならこれが欲しかったかも知れないが、とにかく
文字で読みたい訳である。
で、その後発見したのがこれだ。
Deux Ans de Vacances~2年間の休暇
原題を直訳するとこれになるらしい。
福音館文庫のもので、「古典童話」というカテゴリー。
十五少年漂流記 というのは日本語版タイトルだった訳だ。
邦題の罠である。
この本も、児童書のコーナーに置かれていた。
しかし、文字はやや大きいものの上下巻でボリュームもあり
大人にも読みごたえのある「分量」だろうと思われる。
ひょっとしたら数十年前に読んだものは子供のために
読みやすくカットされたものだったのかも知れない。
大人の私にはほとんど夏休みなどないのだが、
それでも休日に、家の中で一番涼しい場所を探して
移動しなら読んでいる場面を想像すると楽しい。
| Trackback ( 0 )
|
|