GITANESの思い出はない町。
それとは無関係に・・・。
会社が所有するビルが隣町にある。
私が生まれて育った町でもある。
そのビルの管理も私の仕事の一つでもあるので
クルマでその隣町へ。
たびたびこのブログではその町が登場するが、
あの、別に何の変哲も特徴もない町である。
用事はそのビルの「消防検査立会い」。
約束の時間よりも30分早く着いたので
目的地近くのハンバーガーショップに入る。
この店はこの町で最初にできたハンバーガーショップで、
その登場は確か中学生のころだった。
美味いなあ!
と感じたのを覚えている。
その頃はあたりにマックもモスもなかったのだ。
そこでバイトをしていた先輩たちが、どういう訳か
羨ましくて仕方なかった。
なにしろ町に1軒きりのハンバーガーショップ。
そこでバイトする学生という境遇がとにかく
眩しく見えた。
(四捨五入すると)30年ぶりに入るその店は
昼時だというのに客はまばら。
昼のセットを頼んだら、最初にコーヒーカップを
渡された。
コーヒーは自分で注ぐらしい。
お、根拠はないがアメリカっぽいな と感じてしまった。
フィッシュバーガーを注文したが、他に注文待ちの客が
いないにもかかわらず、なかなか品がこない。
自分で注いだコーヒーを8割ほど飲んでしまったところで
やっとフィッシュバーガーが登場。
齧ってみる。
熱い。揚げたてだ。
イチから揚げていたので遅かったのだ。
久しぶりに口中をやけど。
それにしても、そうか?
こんな味だったのか?
バーガーを持ってきてくれた、私と同年代の女性スタッフは
そのあと制服のキャップを脱ぎ、ちょっと離れたところの
老夫婦のテーブル(おそらく知り合いなのだろう)に行き、
腰をおろして会話し始めた。
アメリカっぽい。
根拠はないけど。
消防の、頼りない担当官と検査立会い。
検査結果を郵送する際の送り先と氏名を書かされた。
「はい、お名前はSGCさんですね」
「はい」
「ええと、階級は何ですか?」
「階級?」
「はい、あの書類を送るときに宛名に書くときの・・・」
「階級って、別に二等兵でも軍曹でも警部でもいいんですが」
「いや、あの」
「役職とか肩書きとか?」
「そうそう、それそれ」
「(『階級』と言い間違うかねえ・・・)ああ、平社員なんで、
『ヒラ』でいいです。というより肩書きなしでいいですよ。」
「そうなんですか?」
「はい。その苗字は社内に一人なので、間違いなく私に届きますので」
まさか、階級を尋ねられるとは思わなかった。
用事が済んで、昔よく行った本屋に入ってみた。
もっと小奇麗だったはずのその本屋は、うすら寂れていた。
イメージより寂れていたのだが、冷静に考えるとそのハンバーガーショップ
も書店もまったく変わっていないだけだったのかもしれない。
変わったのは私のほうだ。
物を見る目も感じ方も、味覚も変わったのは私のほうだ。
フィッシュバーガーは、
二口目からが「作業」になってしまうほど、
あの頃感じた「美味い!」とはかけ離れたモノだった。
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