GITANESなどまだまだ知らなかった時代。
それとは無関係に・・・。
ラジオ体操なんて行きたくはないが、2学期が始まったら暴力的な先生が
うるさいだろうから仕方なく早く起きる。
神社でラジオ体操。
5年生6年生は石段の上で手本のように体操をやる。
下級生の我々から見ると大人びていて眩しい。
自宅に帰ってももちろん寝床など
とうに払われていて、もう一度寝ようなんてことはできない。
大体、そんなことしようものなら母親からゲンコツが飛んでくる。
クーラーなんてまだ自宅になかった。
扇風機が忙しそうに、右に左に首を振っていた。
羽根に向かって「あーーーーーー」なんて声を出して遊んでいると
「夏休みの宿題!まだ全然やってないやろ!」と母親の声。
最初から疑ってかかっている。
やってないけどな。
適当に宿題をやって、昼ご飯。え、ソーメン?
そんなの、チカラ出ないよ・・・。
昼過ぎ、ソワソワし始める。もうすぐ学校のプールへ行くために
また神社へ集合の時間だ。
上級生が引率する。
ラジオ体操は行きたくないけど、学校のプールだけは欠かさない。
何があっても欠かさない。
プールから帰ってくるとどっと疲れている。
それでも近所のみっちゃん(男)やタケシが誘いに来て
遊びにでかける。
単純に山へ登って遊ぶか、空き地で野球の真似事をするか、
なんだろう。
それとも、ワイドショーの心霊写真特集を見るか?
でもあれ見てしまったら、夜中にトイレに行けなくなるし・・・。
晩ごはん。その後に、スイカ半分がどんとちゃぶ台に出てくる。
兄、姉とそれを食べる。
開けっ放しの窓からは、蛍の群れ灯かりが明滅している。
蚊帳にもぐりこんで、ねる。
次の日も同じ。
また次の日も同じ。毎日同じように、楽しい。
そして、ある日
空き地を飛んでいるオニヤンマたちが減っていき、
なんだか違うトンボばかり飛ぶようになる。
赤とんぼが主役になる。
そうすると、まだまだ暑いのに
夏休みの残りが少ないことに気付く。
あぁあ、まだ宿題終わってないのにな。
まだ、もっと遊びたいのにな。
暑いけど、学校のプールもあるし、楽しいのにな。
もっと夏休みが続いてくれるのなら、ラジオ体操も我慢して
通うのになあ・・・。
キラキラの夏休みは終わって、
しかしながらキラキラの2学期が始まる。
クーラーもないが、
夏バテなどなかった。
小遣いも毎日使い果たして、体力も毎日使い果たして
それが夏休みだったと思う。
こんな贅沢な夏休みの記憶は、ずっと枯れないままである。
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