こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

ナルシスも真っ青

2009年09月20日 | 読書ノート
The Alchemist

HarperCollins

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  湖面に映し出された,己が姿に狂おしいまでも魅せられ,自己陶酔に極みに
 達する中で,身を投げ落とし,その姿をスイセンに変えたナルシス。

  その死を嘆き悲しむLake("I weep for Narcissus" the lake replied.)

  打ちひしがれた湖は,その悲しみの深さを象徴するかのように 塩のうみ に
 姿を変えるのであったが・・・。

    Lakeを思いやる森の精が,やさしく語りかけ慰める。
 「 ナルシスは,いつもお前さんほとりに跪き,来る日も来る日も,あの透き通るよ
 うに,美しく輝く姿を,お前さんに映し出していたものな・・・。
  そりゃ辛いだろうよ。あのナルシスがいなくなっちまったんだから!」

  しばらくの間,沈黙が続き,やっと口を開く Lake。

 「 確かに おいら ナルシスがいなくなって 悲しくて 泣いてたぜ!
    しかしよう,ナルシスって,何だ,お前さんたちがそんなに騒ぎ立てるほど,美し
 かったのかい? おいら,全然,そんなことには気づいていねえ。 」

 「 おいらは な

     ナルシスの奴が おいらに跪いて おいらのことを見つめるたんび
   に あいつの 眼(まなこ)の奥底に 映った おいらの超美しい姿が,
   見られなくって,打ちひしがれてるのさ。
                                       」
   
  自己陶酔も,上には上がいる。

  多少の自惚れを病むことはない。一度きりの人生,自分に惚れ込むくらい,の
 ナルシスが真っ青な自己陶酔があっても良い。


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