こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

五せる

2009年09月21日 | 読書ノート
Embracing Defeat: Japan in the Wake of World War II

W W Norton & Co Inc

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  「五せる」とは,終戦後に出回った新語。

   役人を懐柔するという,意味で,
   「「食わせる,飲ませる,握らせる,抱かせる,いばらせる。」 

   覚えやすく,露骨なこの言葉は,「官尊」の教えをものともしないもので,当時
  の因習打破の風潮を巧みに捉えている。(ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」上 
  P339)」

   虚脱,闇市,退廃的なカストリ文化が蔓延する中で,役人の生態だけは,敗戦
  後も不滅であったばかりか,むしろ,その腐敗振りは,混乱の中で旺盛であった
  ことは皮肉か?    

   「 新語集の編集者によると,この時期までに圧倒的に人気のあった言葉は,
     「民主化」であった。当時は「民主化の制服を着なければ配給も貰えない
   状態であったのである。

     こうした皮肉が言えるようになったことじたい,「民主化」の結果であった。
   それは占領軍による上からの革命が社会に根付きつつあることを示すもので
   あった。 」

    「敗北を抱きしめて」を,読み直している。
    考えさせられることの多い,重たい著作であるが,ジョン・ダワーの日本へ向
   ける眼差しはやさしい。
      

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