こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

構造改革の真実

2007年09月15日 | 読書ノート
構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌
竹中 平蔵
日本経済新聞社

このアイテムの詳細を見る


blog Ranking へ


 アメリカに阿る新自由主義者。格差社会を演出した男。小泉の腰ぎんちゃく。学者というよりは野心家の政治屋。竹中に対して持っていた印象は,どちらかと言えば否定的。むしろ,竹中バッシングのマスコミ論調に与していた。
 不良債権処理は金融の甘やかしだし,新自由主義の徹底は,富める者と富まざるものの格差を拡げるだけだ。何が郵政民営化だ。という具合である。

 だが,彼の主張に耳を傾け,彼の打った政策を辿ってみて,少し,認識を改める必要性を感じてきた。
 不良債権処理が,日本の決済システムの機能不全を救ったこと。構造改革を通じて,ダイエーなどの再構築すべき企業群のリストラクチャリングを行ったこと。それによって,デフレを脱却し,日本経済復活の素地を創ったこと。などである。

 秀逸なのは,あれだけのバッシングを受けながらも,粘り強く戦い続けた,彼自身の胆力だが,見逃せないのは,
 第一に,戦略は細部に宿る,という教訓。第二に,官僚なり組織というものの無謬性をつくという戦略。
 間違いや過ちを隠す無謬性こそが,改革抵抗勢力の原点にあることを肝に銘じ,物事を真に変えるきめ細かな戦略があって初めて,官僚や守旧派大企業の組織防衛を打破できるという,現実である。

 もちろん,メモを取らず,相手の話の要点を腹に入れ吸収し,一度繰り出した政策は曲げない,小泉のリーダーシップ。その強力な後ろ盾がなければ実現しえなかった改革でもある。

 共に,参考になる生き様だ。それにしても,この本を読んでみて,改めて,マスコミの論調に迎合する怖さを感じた。易々とマスコミの論調に乗ってはいけない。いつも少し距離を置いて,冷静に世の中の動きを見る必要がある。今後,安部から福田へ。或いは自民から民主へ政局が動いたとしてもである・・・。

blog Ranking へ

 


最新の画像もっと見る