こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

RX-8

2005年02月06日 | 読書ノート
  かつて,まだ,今より随分若かった頃,僕は,初代「RX-7」に乗っていた。サードにギアチェンジし時速60㎞を超えた当たりからの,この車独特の加速感は,言葉に言い表せないくらいの快感だった。世界のどの企業も商用化を断念したロータリーエンジンを積んだ車。それを広島の企業が造ったこと,そして,その技術の恩恵を一人のユーザーとして楽しめたことは,広島県に生まれ育った僕にとっても小さな誇りであった。
 
 そんな地元企業も,1990年代の半ばには,外国人に社長の席を譲る。バブル以降売り上げは落ちる一方だし,下請企業群の,世界レベルのオンリーワン・ナンバーワン技術も流出の一途をたどった。かつて,○○○城下町と揶揄されたこともあっただけに,地域の中にも,その凋落ぶりに,出口の見えない不安と諦めが充満していた。

 『マツダはなぜよみがえったか~ものづくり企業がブランドを再生する時』 は,そんな暗雲を吹き飛ばしてくれる,地元民を勇気付けてくれる1冊だ。スポーツカーの常識「2ドア2シーター」を覆し,「4ドア4シーター」の家族で楽しめるスポーツカー「RX-8」の誕生は,確かな技術力の継承と,意欲的で挑戦的なマーケティング力の融合の産物。マツダ復活の象徴だ。日産の復活劇が「ゴーン」というカリスマに依存するのと違い,マツダの復活劇は,長期戦略で組織的なものだ。地元との共生路線をとったフォード経営者の卓見,それに応えたマツダ技術陣のプロ魂,長期戦略に即した会社組織のリストラクチャリング等々,派手さは欠けるが,その復活は継続的発展性を予感させる。地元民としても応援したい。(株をかちゃおうかなあ)

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