心にナイフをしのばせて 文藝春秋 このアイテムの詳細を見る |
年度替り。子どもの進学・進級があり,我が家も何かとあわただしい。そんなわけで大阪から義母が来てくれている。
新年度も1週間が経過し,慌しさも幾分緩和し生活もやや落ち着きを取り戻してきたので,今日は骨休めにリーガロイヤルで食事をすることになった。
ほろ酔い気分で帰宅後のリビングでのくつろぎのひと時。話題は何故か被害者の人権のことになった。そして,義母に紹介したのが,ルポライターの奥野修司さんの『心にナイフをしのばせて』だ。
それは,28年前の酒鬼薔薇事件。同級生の首を切り落とし惨殺した加害者は,その後,名をかえ2つの大学で法律を学ぶ。そして弁護士となり地方都市の名士に。
一方,被害者の家庭は?放心の父親。寝たきりになる母親。世間の好奇な目に晒されグレル妹。被害者の家庭は,まさに崩壊状態。その償いは,わずかに30万円。
日陰者暮らしを余儀なくされているだろうと同情心すら寄せていた母親にとって,取材の過程で明るみになった加害者の社会的な成功はまさに驚愕の真実であった。渾身の力を込めて書いた鎮魂を求める手紙を,その弁護士は無視するばかりか,謝罪の一言もなく暴力的に排除する。
こんなことが許されて良いのか。本来なら,人生のすべてをかけて償いをすべき者のこんな暴挙が許されざるものではないか。世に不条理というものは,必要悪とでもいうように存在する。確かに巨悪はなくならない。正しきもの,誠実なものは,そのピュアリズムゆえに強きものに飲み込まれる。
しかし,それを自然の理と諦めてよいのだろうか。人間は考える葦だと,パスカルは言った。人間の英知によって不条理を克服するのが,考える力の役割ではないのだろうか。
昨年12月。職場のパワーポイント研修で,この本を素材に,そんなメッセージを同僚・上司たちに問いかけた。たった一人でも良い。共感してくれた人がいるならうれしいのだが・・・。
この本読んだことありません。ちょっと読んでみたくなりました。
でも、今は読む時間がありません。
うちの課長は、何だか手持ち無沙汰げですよ。
知的資源は有効活用してください。隠居するには,
10年早い!