アメリカ外交の魂―帝国の理念と本能 集英社 このアイテムの詳細を見る |
中西輝政著『アメリカ外交の魂』を読んでいる。第一部が4章,第二部が7章で構成されるこの本の,一部を飛ばし,二部の4章までたどりついた。
第1章 「三つの誕生」に見るアメリカ精神の深い淵
第2章 独立革命そして「ローマの堕落」へ
第3章 南北戦争と「試練を求める魂」
第4章 「ペリー来航」から「マッカーサー進駐」への衝動
の計4本である。この第二部のタイトルは「アメリカ外交を洞察する視座」だから,いわば,京都大学の先生の講義をタダで受講できているような感じである。
とりあえず,新鮮味を感じた分析視座は,2つ。その一つは,
アメリカが帝国,とりわけ,ローマを徹底的に模範としながらも,その没落の歴史を憂えて,衆愚化を阻止する権力のチェック・アンド・バランスを二重・三重に,これでもかとばかりに仕掛けたこと。そのしかけの仕上げがアメリカ憲法であること。そして,まさに,この生まれ成り立ちの中に,現在に連なる倣岸な帝国主義の萌芽があるということである。
もう一つは, 「ペリー来航」から「マッカーサー進駐」への一連の日本とのかかわりを日本からではなく,アメリカ側から見つめ直すという視座転換の妙味である。それは,帝国の拡張主義の衝動と現される。視座を転換し,その意味・意義の問い直しを中西さんは問いかけている。もっともだと思った。