こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

今度は『父親が教えるツルカメ算』

2006年08月13日 | 読書ノート
父親が教えるツルカメ算

新潮社

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 『パパは塾長さん』に続き,今度は,『父親が教えるツルカメ算』を読んだ。7月20日に発売されたばかりの本だ。(三田さんの書いた新書本。たぶん,編集者が『パパは塾長さん』の読んだことのある人なんだろうな。売れ筋の企画出版という気がする。)

 それにしても,『パパは塾長さん』の出版から18年。にもかかわらず,息子さんは30台に到達し算数とは無縁の関係になっている。にもかかわらず,・・・。なお,三田氏は,算数を学ぶことの効用を主張してやまない。売れ筋の企画出版とは言え,底には何か真理めいたものがあると思わざるを得ない。

 「昔の子供は,山野で遊んだり,仲間と野球をやったり,それなりに前頭葉を鍛える遊びをしていたから,何の問題もなかったのだが,最近の子供は,友だちと遊ぶことは少なく,部屋に閉じこもってゲームに集中する。その結果,体は育っても前頭葉の発達が遅れる。そのため思考力や情操がも育たずキレやすくなっている子供に,中学になってから,高校受験の勉強を強いるとどういうことになるか。
 最近の若者が,思考力に欠け,情操も育たず,キレやすく暴力的になっているのも,算数を勉強しなかったからだというと,言い過ぎになってしまうけれども,算数というものが思考力の基礎を育てることは間違いない。・・・算数はシミュレーション能力を鍛える。(P11)」

 「子供の頃,適切なスポーツをして身体を鍛えることが,子供の肉体の成長を促すのと同じように,成長期に適切な頭脳のトレーニングをして,脳(とくに前頭葉)を鍛えることは大切である。わたしはそのためにも,中学受験というのは子供にとって有意義な体験だと思っている。・・・
 しかし,何よりも大切なのは,その頭脳のトレーニングを子供自身が望み,楽しみながら,自主的に努力を重ねることだ。
 遊びたい盛りの子供に勉強を強いることに,疑問を感じる人もいるだろう。しかし,持続的な努力が,やがて手応えのある成果に結びつくことを,子供の頃に体験した子供は,人生そのものにい自信をもつことができる。それは貴重な体験である。(P170~171)」

 『パパは塾長さん』から18年。中学受験に向けた勉強,とりわけ,算数の勉強の意義を主張してやまない。少なくとも,三田さんの主張にはブレがない。その一貫性は美しくもある。

 だが,それほどの意義があるものなら,受験算数を義務教育の正規科目に組み込んで,誰もが思考力を鍛えるというのが筋ではないのか。少し,ひねくれた見方もしたくなる。それがキレる児童をなくす妙手なら尚更だ。

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