櫻井よしこ『何があっても大丈夫』。櫻井さんが二十歳前後の頃(1960年代半ばあたり),ハワイ州立大学で学んでいるあたりを読んでいる。離婚後,よしこたち母子(お兄さんもいる)を半ば捨てたような形で,東京の料亭の人と所帯をもつ父親。そんな父親がハワイでレストラン事業を始めたのを機会に,それを手伝う形でハワイに渡るよしこ。
同業者の罠にかかって経営権を乗っ取られ,撤退を機に帰国する父親。そんな父親に決別する形で,自力でハワイ州立大学での学業継続を決意するよしこ。まるで神を使い手のように,夫を許しすべてを前向きに受け入れる母親。その母親の溢れるばかりの愛情に育まれ,複雑な家庭事情の中で,揺れ動き翻弄されながらも,健気に生き抜こうとするよしこ。ここまでの母子の葛藤だけでも,読物として十分おもしろい。
わずか5ドルの所持金しか持たずに父親と決別したよしこ。自立するものを受け入れ支える米国社会。自主自立を尊ぶ,アメリカの良い面がさりげなく見えてくる。バングラデッシュやネパール,ミャンマーなど,様々な国からの学生たちで埋め尽くされたキャンパスと,よしこの学園生活。アルバイトで子供の面倒を見るうちに,ガキンチョのくせに小理屈をこねまくる米国気質にも触れる。何もかもが瑞々しく新鮮だ。読んでいると自分も留学してみたいなあという気になった。気持があれば年齢は問題ではないとすれば,まだ,チャンスはあるのかもしれない。このわたしにも・・・。
同業者の罠にかかって経営権を乗っ取られ,撤退を機に帰国する父親。そんな父親に決別する形で,自力でハワイ州立大学での学業継続を決意するよしこ。まるで神を使い手のように,夫を許しすべてを前向きに受け入れる母親。その母親の溢れるばかりの愛情に育まれ,複雑な家庭事情の中で,揺れ動き翻弄されながらも,健気に生き抜こうとするよしこ。ここまでの母子の葛藤だけでも,読物として十分おもしろい。
わずか5ドルの所持金しか持たずに父親と決別したよしこ。自立するものを受け入れ支える米国社会。自主自立を尊ぶ,アメリカの良い面がさりげなく見えてくる。バングラデッシュやネパール,ミャンマーなど,様々な国からの学生たちで埋め尽くされたキャンパスと,よしこの学園生活。アルバイトで子供の面倒を見るうちに,ガキンチョのくせに小理屈をこねまくる米国気質にも触れる。何もかもが瑞々しく新鮮だ。読んでいると自分も留学してみたいなあという気になった。気持があれば年齢は問題ではないとすれば,まだ,チャンスはあるのかもしれない。このわたしにも・・・。