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子ども兵の戦争

2006年10月27日 | 読書ノート
子ども兵の戦争

日本放送出版協会

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 小型軽量で扱いやすさ抜群のカラシニコフ。安価で手入れも簡単なため,世界の多くの紛争地域で流通している。一方,これまた,安価で純粋無垢。一度仕込めば,たちまち,暗殺マシーンと化す子供たち。チープな組み合わせが奇妙に合体し,無差別殺戮が繰り返される。

「いま世界中の戦場で,子ども兵士が前線にたっている。大人より安上がりに勇敢な兵士になるという理由で,軍や武装組織が好んで子どもを徴兵するためだ。紛争地域に派遣された国連平和維持部隊でさえ,小中学生の年頃の兵士に銃口を向けなくてはならないのが現実だ。(同書扉)」

 映画『カンダハール』にも子ども戦士が登場した。神学校でコーランの暗唱に明け暮れるこどもたち。アラーに感謝の祈りを捧げながら,カラシニコフで殺戮を学ぶ。神学校は,同時にタリバンの戦士養成場であり,子ども戦士とカラシニコフは切っても切れない間柄なのだ。

「かつては「戦争」といえば,確立された国家の軍隊同士が,たいていは領土の征服といった戦略上の明確な目的をもって交戦することを意味した。だが現代の紛争は,こうした基準と似ているところがほとんどない。大部分が単一の国家の中で発生し,準軍事組織や非正規軍が,略奪,レイプ,あるいは民族的殺戮-もしくは三つのすべてを目当てに,丸腰の民間人を攻撃することにある。(同書P17)」

 武士道や騎士道精神などは,どこかに吹き飛ばされ,民族浄化や大量殺戮が日常化している。第一次大戦で10%に満たなかった民間人の犠牲者は,第二次大戦時には50%と激増し,20世紀後半のアフリカやバルカン半島での犠牲者は9割ちかくが民間人という。子ども兵は,そんな現象の象徴とも考えられる。

 果たして,解決の糸口はあるのだろうか。そんなことを考えながら,そして,つくりだす平和というものをイメージしながら,本書を読み進めていこうと考えている。


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