創作 彩音(あやね)との別離  9)

2024年07月01日 09時25分57秒 | 創作欄

例年5月に開かれる天神祭が終わり、7月の上野夏まつりが行われる時節には、不忍池畔は赤と白の大輪の蓮の花が見事な彩をそえる。

だが、 彩音の心は沈んでゆくばかりとなった。

彼女が住むマンションの2階に住む10歳の少女が行くへ不明となったのだ。

疑惑の目が北朝鮮出身者たちに向けられる。

そして、行方不明の少女のポスター写真が街に掲載され、目撃情報が呼びかけられた。

団扇を持つ浴衣姿の彼女は長い髪をアップにしていた。

昭は彩音に惚れ直す思いがした。

「浴衣姿もいいね」

「そうなの」彩音の笑顔のない素っ気ない反応であった。

「何か、元気ないね」

「そうなんの、いろいろあってね。あなた、私を支えてね」彩音は右手の薬指に指をしていた。

「指輪しているんだ」

「そうなの。もしも、あなたと別れる日が来たら、この指は外すつもりよ」

彼女はその指輪に口づけをする。

2人は水上音楽堂での納涼演歌まつりへ向かった。

彩音とは3度、上野のカラオケ店へ行っていた。

彼女は、テレサテンの歌を好んで歌った。

時に、感情を移入し「別れの予感」を涙を浮かべて歌唱した。

 

参考

上野公園不忍の池の近くにあり、学問の神様を祀っていることで知られる湯島天満宮の例大祭で別名「天神祭」とも呼ばれています。
毎年5月25日に祭典が行われ、その週の土曜日には本宮神輿渡御が開催。

神社正面鳥居から三組坂上まで、片道約300メートルを往復します。
境内では江戸里神楽や和太鼓が奉納され、生花の展示もあります。

露店も立ち並び、お祭りムードに。

上野夏まつり

7月16〜7月31 うえの夏まつり

氷の彫刻 不忍池畔でのとうろう流し

骨董市や猿回し、納涼ゆかた撮影会、水上音楽堂での納涼演歌まつりなどの音楽ステージ等が催さる。

うえの夏まつりパレード

 

 

 

 

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