
当時は高度に専門化されていた時代ではなく、さまざまな分野が渾然一体となっていた。
彼の人生の絶頂期は1482年から1499年のミラノ時代だった。
レオナルドは宮廷に雇い入れてもらうための自薦書に、軍事技術に関する事項をずらりと書き連ねた。
戦乱期の世にはアピールしやすかったということも事実。
だが、この軍事研究を通じて治水術、工業技術、解剖学など、彼の探求の幅は広がっていった。
万能型の先人は他にもいたが、彼ほど観察、分析、合理性、先見の明を備えた人物はいなかった。
天才画家レオナルドの図の美しさは他の追随をゆるさない。
本書は「評伝レオナルド・ダ・ヴィンチ」。「レオナルドの芸術と思想」の二部構成になっている。
膨大な資料を可能な限り整理し、レオナルドの実像に迫る待望の一書である。
没後500年。膨大な資料を元に、世界史上最大の変革期・ルネサンスに生きた巨人の足跡と実像に迫る、第一人者による、本格評伝。
内容(「BOOK」データベースより)
彼は何者だったのか。世界史上もっとも大きな変革をもたらしたルネサンス時代にその中心地イタリア・フィレンツェにほど近い町に生を受け、その後も幅広い分野で多大な影響を与え続けてきた巨人。遺された絵画作品、手稿、メモ、日記、公文書、歴史書など膨大な資料群をもとに世界最先端の研究成果も踏まえながら、今もなおわれわれを魅了する万能人(ウオーモ・ウニヴェルサーレ)の実像に迫る。没後500年、第一人者による本格評伝。
著者について
1967年広島生まれ。東京芸術大学卒業、同大学院修士課程修了。専門はイタリアを中心とする西洋美術史・文化史。海外での研究活動、恵泉女学園大学人文学部准教授、10年國學院大學文学部准教授を経て、16年東京造形大学造形学部教授。『西洋美術史入門』『同<実践篇>』(ちくまプリマー新書)、『官能美術史』『残酷美術史』(ちくま学芸文庫)、『レオナルド・ダ・ヴィンチ―西洋絵画の巨匠8』(小学館)、『ダ・ヴィンチの遺言』(河出書房新社)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(編著、東京堂出版)、『ダ・ヴィンチ全作品・全解剖。』(pen Books)、『レオナルド・ダ・ヴィンチ ルネサンス「万能人」の生涯』(編著、新人物往来社)、『レオナルド・ダ・ヴィンチ<受胎告知>』(岡田温司と共著、平凡社)、『ルネサンス 三巨匠の物語』(光文社)、『ルネサンス 天才の素顔』(美術出版社)など多数。美術史家、日本文藝家協会会員。