MBA裏話

2006年06月02日 | 教育関連話
ファイナル結果は本日お休みして、大学院に関する話題をひとつ。

少し前のことですが、パブリックライブラリーで借りてきたBusiness Weekというマガジンで
Business Schoolの特集が組まれていて、そこに書かれていたことがとても興味深かったのでココでご紹介します。

Undergraduate Levelでのビジネス専攻は歴史的に見ると比較的新しい分野らしく、
そしてビジネス専攻の学生は大学を出た後すぐに就職する目的でこの専攻を選択するらしいです。(納得)
が、もしもいずれMBAに進む予定をしている場合、Undergraduateではビジネスではなく
Liberal ArtsのHumanityやScienceを専攻することがBusiness Weekで薦められていました。

なぜかと言うとまず最初に、大学院:ビジネスプログラムはUndergraduateのそれとほぼ同じだからだそうです。
ビジネスに限らず、分野によってはUndergraduateとGraduate Studentが同じクラスにいる場合があり、
たとえば私が大学で履修したLinguistics(言語学)には必ず数名のGraduate Studentがいました。
課題に多少の違いがあるものの、同じクラスにいるということは、学ぶことは同じなわけで、
これがビジネスのクラスでもあることなのだと思います。つまりUndergraduateでビジネスを学んだ場合、
MBAに進んでも既に学んだことのある内容のクラスを履修することになる可能性が高いらしいのです。

さらには、MBAはビジネスのフォーマル・トレーニングを受けたことのない人を対象にカリキュラムが組まれているらしく、
そのためUndergraduateでビジネスを専攻した場合、既にフォーマル・トレーニングを受けたことになるので、
MBAに進んだとしても、必ずしも上のレベルの新しいスキルを身につけられるというわけではないようです。
(MBAにも分野が色々あるので、Undergraduateで学んだ分野と別のものを選べばこれに限らないとは思います)

そして共感を覚えた記事内容は、雇う側からすると、例えばFinanceの話しかできないような社員はいらないということ。
つまりビジネス専門分野のみの教育を受けた場合、たとえその分野に強かったとしても面白みのない人間として見られるのではないかと。
これは私が留学当初はビジネス方面のスキルを得る予定でいたのが、一般教養のクラスを幾つか履修したことにより、
以前は全く考えもしなかった一般教養の必要さを感じ、四大に進学し、様々な方面の教養をまず身につけるべきだと感じたことと同じで、
たとえばマーケティングをするにしても、多様に渡る分野の基礎知識は多少なりともあったほうがいいと私は思うのです。

このような理由から、ほとんどのアイビー・リーグのUndergraduate にはビジネス専攻はないそうで、
とあるアメリカ人学生はビジネス専攻を考えていたものの、いずれMBAに進む計画の上、
HarvardのUndergraduateでは生物学専攻にしたとか。

Business Week記事の最後に書かれていた言葉は、大学卒業後すぐに希望の職につけなくとも、
たとえ遠回りに見えたとしても、長い目で見て、Be Patientで焦らずじっくり学ぶことでした。
もちろん記事どおりの道を辿る必要はありませんが、もしも将来的にMBAを考えているならば、
私もUndergraduateではHumanityやScienceでまず視野と教養の幅を広げる機会を持つほうがよいと思います。


私はUndergraduateでLiberal Artsの政治学専攻をしましたが、
実際こういうタイプの専攻はなかなか仕事が見つかりません。キッパリ
でも私の場合、留学して生まれて初めてこのLiberal Artsの魅力に惹かれたことと、
無知なまま大人になった自分としては、今後社会人として生きていく上でも、
一般教養的知識の重要さをひしひしと感じたので、すぐさまの就職はまずおいて、
自分が興味の持てた分野でもある政治学専攻を貫きました。

実際政治学を通じ、リーディング・ライティングを含む基礎的学習能力が鍛えられたと同時に、
政治を中心とした教養もかなり得られたと思います。(専攻してたので当然ですが)、
今後どの分野に進んだとしても、これらの経験は何かしら役立つはずですし、
その前に読み書きの能力は社会で生きていく上で欠かせないもののはずです。
(英語圏で働く希望があるなら特に↑)

今現在の私の読み書きのレベルはまだまだ低いですが、以前と比べると確実にその力は伸びました。
これは政治学を学んだおかげだと思っています。(政治学に限りませんが)
とにかく私は元が元ですから(相当学力が低い)大学でこういった教育を受けられたことで、
一回りまともな社会人に近づけたと感じており、自分の選択:政治学は間違っていなかったと確信しているわけです。
(元が元なので)←しつこい


念の為、Undergraduateでビジネス専攻されている方々に反感を買うような記事ですみません。
これはあくまでも参考意見であり、私のような学力・知識のない人間には特に、
Liberal Artsは必要だということをお伝えしたかっただけです。
一般教養は学校に通わずとも、自主的にプライベートで学べるものが多いですから、
既にビジネス専攻されている方はどうかお気になさらずに。

でもこれから進路を決める段階の方々にはこの記事は多少なりとも参考になると思います。