メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

アイネクライネナハトムジーク

2019年09月21日 | 映画
アイネクライネナハトムジーク
を観ました。


仙台駅前。大型ビジョンを望むペデストリアンデッキでは、日本人初の世界ヘビー級王座を賭けたタイトルマッチに人々が沸いていた。そんな中、訳あって街頭アンケートに立つ会社員・佐藤(三浦春馬)の耳に、ふとギターの弾き語りが響く。歌に聴き入るリクルートスーツ姿の本間紗季(多部未華子)と目が合い、思いきって声をかけると、快くアンケートに応えてくれた。紗季の手には手書きで「シャンプー」の文字。思わず「シャンプー」と声に出す佐藤に紗季は微笑む。
元々劇的な〈出会い〉を待つだけだった佐藤に、大学時代からの友人・織田一真(矢本悠馬)は上から目線で〈出会い〉の極意を説く。彼は同級生の由美(森絵梨佳)と結婚し、2人の子供たちと幸せな家庭を築いている。変わり者ながらも分不相応な美人妻と出会えた一真には不思議な説得力がある。佐藤は職場の上司・藤間(原田泰造)にも〈出会い〉について相談してみるが、藤間は愛する妻と娘に出て行かれたばかりで、途方にくれていた。一方、佐藤と同じく〈出会い〉のない毎日を送っていた由美の友人・美奈子(貫地谷しほり)は、美容室の常連客・香澄(MEGUMI)から紹介された、声しか知らない男に恋心を抱き始めていた。
10年後―。織田家の長女・美緒(恒松祐里)は高校生になり、同級生の和人(萩原利久)や亜美子(八木優希)と共にいつもの毎日を送っている。そして佐藤は、付き合い始めて10年になる紗季に、意を決してプロポーズをするが…。 果たして佐藤と紗季の〈出会い〉は幸せな結末にたどり着けるのか。美奈子の恋は、藤間の人生は―。思いがけない絆で佐藤とつながっていく人々が、愛と勇気と幸福感に満ちた奇跡を呼び起こす。


今泉力哉監督作品です。
今年”愛がなんだ”で絶賛したばかり、それが大好物の伊坂幸太郎作品と斉藤和義音楽ということで。
キャスティングも森絵梨佳を筆頭に好みの感じで、企画としてはもう大好物ばかり並べられた定食のよう。

その分期待しすぎて若干の怖さはありました。
無心で見に行く殆どの作品とは違いました。
今泉力哉作品もまだひとつしか評価してないので、愛がなんだは神がかっていたのかも?なんて気持ちでしたが。
めちゃくちゃ良かったですねー、ただのハイセンス監督でした。

原作を読んでいないのですが、物語は思ってたのと違って、出会いをテーマにいろいろな人々を描いた群像劇でした。
伊坂幸太郎作品だとちょっとラッシュライフを思い出しました。

序盤は長いこと多部未華子も出てこないし、貫地谷しほりが主役のようで。
なにか間違えたかな俺?って思うくらいでした。
三浦春馬は主演だと思いますが、舞台が10年後になる後半は出番はかなり少なかったです。

今泉力哉作品は生活臭を出すような演出がとても好きなのですが、今作もそれはとても良かったですね。
コンビニの弁当の袋持ってるシーンとか、ぼんやり部屋で座ってるだけのシーンとか。
予告にもある多部未華子の手の甲にシャンプーってメモが書いてあるのを三浦春馬が気付くシーンでかなり泣いてしまいました。
感動というよりは繊細な描写とそれを描こうと思った作り手の心理がビシビシと伝わって泣けるのです。

出会いのシーンがめっちゃ素敵なのですが、ラストシーンもめちゃくちゃ良かったです。
群像劇なので何処で映画が終わるかわからなかったのですが、個人的にはそこで終わるとは思わず。
なんて素敵なシーン!!と泣いてたらそこで映画が終わりだったので、更にそれが素敵すぎてエンドロール中に号泣に変わってしまい。
場内が明るくなってめちゃくちゃ恥ずかしい思いをしました。
とても混んでいましたが号泣していたのは僕だけだった気がします。

出会いと言うものの考察、それを既婚者に問うようなシーンも多くめちゃくちゃ良いテーマでした。
自分が人生をかけて追求してるテーマでもあるので。
出会いというものを哲学的に論理的にめちゃくちゃ考察してきたので。
その分未だに独身であり長年恋人もいませんが。

出会いが完璧じゃないと全部受け入れられないので。
愛はコンビでも買えるけれどもう少し探そうよ、を続けているので。
合コンも出会い系も紹介も一切やらないです、生活の延長上で出会わないと、別の人物でも成立してしまう出会いは駄目なのですね。

様々な人物やエピソードが巧妙に組み合わさって、人生の交差点っぷりが見事で。
それらが全て優しい描写で見せていて。
説明が全然ないので状況やら人物描写やら関係を掴むのには時間がかかります。
見ていくうちに自然にわかる、って手法ばかりで。

さらにこの人物とこの人物は奇跡的な関係性で繋がっているのに登場人物たちはそれがわからず。
見ている人たちだけがそれをわかっているというハイセンス過ぎる作りでした。
ああ、ここはバラさないのか、開放されずに劇中の人物たちの人生は続くのか、、、って感じです。
明確な勧善懲悪も無くヒーローがあるわけじゃなく。
逆転劇で悪者が痛い目見るわけでもなく。
なのにイチイチ素敵な気持ちになるという。

何より斉藤和義の音楽が作品にマッチしていて劇中で歌われる曲がめちゃくちゃいい曲でした。

作品まるごと人生の一部分を切り取った感じで、その先も続いて行くのが明確でとてもハイレベルでした。

三浦春馬は個人的には良い時と悪い時が両極端な俳優ですが。
今作は彼の良い部分がめちゃくちゃ出る役どころでした。
言葉じゃなく表情で、ちょっと何かを気付いたり、心情を隠す時のあの表情が良いですよね。
クライマックスに走るシーンがあるのですがそこでのとある素敵演出がめちゃくちゃ良かったです。

多部未華子は一般的な良い子を演じさせるとピカイチですね。
若手の頃から少しずつ少しずつ評価を上げて今トップに居るのはすごいですね。
この普通の感じに時代が追いついた感じがありますね。

大好きな矢本悠馬は言わずもがな最高で彼の良さがめちゃくちゃでるナチュラルないい加減男でした。
この人はもうスペシャルな領域だと思います、阿部サダヲとか濱田岳とかみたいに名脇役から主演俳優にのし上がるべきですね。

そしてもう問答無用で好き過ぎる森絵梨佳がらしい素敵な女性役で最高でした。
森絵梨佳をこの役で見れただけで自分はリピートする価値があります。
日本人女性で一番顔美人くらいに思っていますので。
最近ちょっと女優業が少なかったので反動でよりトキメキました。

そして後半の主役的な女子高生を恒松祐里が演じていました。
結構いい作品で印象的な役で出てる事が多いので、しかも演技力もしっかりしてるので非常に評価高いですが。
今作の彼女はめちゃくちゃ素晴らしかったですね。
これは俺アカデミー賞ノミネートでしょう。
主演か助演か難しいところですが素晴らしい演技だったと思います。
ラストの動きが相手含めてキュートで繊細過ぎて超泣けました。

萩原利久は近年3年A組や十二人の死にたい子どもたちなどで印象的でしたが。
今作はとてもいい演技で印象的で一気に評価あがりました。

成田瑛基がヘビー級ボクサー役でしたがなんか朴訥としていい感じでした。
わかり易いフリが後の感動になるのが明白でしたがそれでも感動しました。
逆にそこをちょっとチープに描いたのがハイセンスでした。

他も沢山のキャスティングでしたが全員良かった気がします。

期待通りの名画、今泉力哉監督は個人的にAクラスの引き出しに入れておきます。
原作も読まないとですね。


そんなわけで9点。

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